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プロフィール
AOI
映像クリエイター/コンテンツクリエイター 東京、高知、オーストラリアをはじめとする海外。多拠点生活を送りながら、日常に潜む美しさを独自の視点で切り取り、写真、映像、デザインを通して表現するコンテンツクリエイター。近年は国内外でのワークショップなどを通じて、写真やアートの楽しさを共有しながら活動の幅を広げている。
オーストラリアンネイチャー探求
自分の旅の記憶の中でも未開拓が多かった南半球。その未知なる探求心に導かれてオーストラリアへ。
この時期の北半球は夏真っ只中、私は、暑い日差しが痛いくらいに照りつけるドバイから、14時間のフライトで遠く離れた南半球のオーストラリアへやってきた。
季節をびゅーんと乗り越えて、冬を迎えたオーストラリアのひんやりとした冷たい空気が身体をクールダウンしてくれた。
南半球では、季節や天体の動きが全て北半球と逆さまに。太陽の動きも逆。こっちでは、南風が冷たい風。今までいた自分の場所と真逆に動いていくさまざまなことが身体のリズムを少し混乱させたような。
今回もお気に入りのカメラを片手に。目の前のランドスケープをお気に入りの画角におさめて。
モルディブからはじまり、インド、ドバイを経て、この場所が旅の終着地。何度か訪れたオーストラリアだったけど、寒い時期に旅することも自分の中では新鮮だったから、新しい土地にやってきた!という気持ちで少しの緊張とワクワクでいっぱいに。
まずは、この土地と自分をゆっくり馴染ませながら、のんびりと過ごすことにした。
オーストラリアの多様な生物のネットワークに入り込む
拠点としている家の窓からは、さっそくトロピカルな野鳥を観察することができた。巣作りシーズンなのか、鳥たちが並んで可愛く木にとまっている。
新しい場所にやってきたら、まず歩いてみることからはじめる私にとって、道に咲いている草花や、鳥や蝶はいつもいちばん先にようこそと迎え入れてくれるような気がする。
冬のこの時期は陸にいながら、時おりホエールウォッチングをすることだってできた。生まれてはじめての光景。
人も生き物も、植物も、この場所では個性が生かされながら、みんなのびのびと暮らしているなぁ。
アートやデザインに興味を持ってから、目の前にある景色を形や色で捉えることが多くなり、抽象的な模様や線など、自然の中に溢れているインスピレーションをかき集めるのが楽しくなった。
とある日は、ゴールドコーストの郊外にある、ネイティブプランツ(固有植物)のマーケットにも訪れた。定期的に開催されているそう。
オーストラリアのネイティブプランツは、姿形がとてもユニーク。受粉を助けてもらうために、自ら鮮やかな色や独特な形をした花を咲かせることで、鳥や昆虫を惹きつけている。
乾燥した地域でも、力強く成長できるように適応して、水分が少ない環境でもしっかりと根を張り、過酷な気候の変化に耐えながらも、鮮やかで美しい花を咲かせ続ける力を持っているそう。
地元の人たちもマーケットを訪れ、そこで草木を買うのを日常の楽しみのひとつにしているようだ。
気候も良くて、庭も広いから、ガーデニングもきっと楽しいんだろうな。
スプリングブルック国立公園へ
ゴールドコーストから更に、内陸に車を走らせ、その先にあるスプリングブルック国立公園にも出かけた。
ゴールドコーストといえば、サーファーズパラダイス。太陽がいっぱい降り注ぐキラキラとしたビーチのイメージだったけど、こんな大自然が広がっている場所があるんですね。ここは世界遺産にもなっているそう。
いろんな国の自然を見てきたはずだったけど、さすがオーストラリア大陸。
ワイルドに生えるプランテーションやSF映画で宇宙船が不時着したジャングルのような(?)景色が、目の前に広がっていく。
自然へのリスペクトが込められたサインボードが至るところにあり、人と生き物がイコールに共存している場所だと感じた。ローカルの人々も、タンクトップにショートパンツ、片手にマイボトルという身軽なスタイルでトレッキングを楽しんでいた。
夏にふたたび訪れたいウォーターホール。
豊かな水の流れが緑を潤して、自然の循環が静かに息づいているのを感じる。
この日は、Airbnbでスプリングブルックスにあるゲルテントに宿泊。森の中のスペシャルタイムのはじまりはじまり。
テントサイトの中には、オーナーの集めた可愛い家具があり、マヌカハニーとティーのセットなどがテーブルの上に並べられていた。
この地域の周辺の観光スポットが書かれているガイドブックや、オーストラリアらしいヒーリングセッションなどのフライヤーもあった。
夕食は、テントの横にある森のキッチンで、虫の音を聴きながらクッキング。
寒空の下で、暖炉のぬくもりに包まれながら、テントの中で過ごした至福の時間は忘れられない。
この場所の見どころといえば、もう一つ有名なのが「グローワーム(Glowworm)」という土ホタル。ヒカリキノコバエという昆虫の幼虫が青白い光を発光する様子が蛍のように見えると人気になったスポット。
生育地域が限られていて、オーストラリア国内でも何カ所かに限定されているらしく、そのうちのひとつがゴールドコーストのナチュラルブリッジという場所にあるそう。暗い洞窟の中を進んでいくと、いくつもの青い光の粒が広がり、吸い込まれてしまいそうな幻想的な世界に包まれていく。
好きな場所を見つけて
お気に入りのビーチもいくつか見つけることができた。
この場所には、どこか私の祖父母の住む、高知に似ているところがいくつかあって嬉しくなる。
高知にいる時も、この場所からやってきた人たちに出会うことが多かった。声を揃えて、どこか似ているところがあるんだよね、とみんなが言っていた。
実はこの記事を書いている今も、またオーストラリアにやってきている。日本が冬を迎えているこの頃に、こちらは少しずつ夏の気配がしてきている。これからも何度か足を運ぶことになるかもしれないから、少しずつゆっくりこの場所のことを深く知っていこうとしてみることにする。
いつも歩いている通り道には、夏の草花が咲き始めて、鳥たちも活動的に。海は眩しい太陽にキラキラとライトアップされて美しい。この場所の自然や環境にゆっくりと自分が馴染んでいくのを楽しんでみたい。