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「日常と非日常」の距離感/古屋呂敏のFocal Length Vol.33

古屋呂敏<連載コラム>第3月曜日更新

その瞬間を永遠にしたいと願いながら、シャッターを切る。
心の揺れるままに、心の色のままに。
自分だけに見えていたその一瞬の世界は、
写真に残すことでさらに愛しく想えるものになる。
だから僕は、きっと永遠に写真を撮り続ける。

───俳優、カメラマンとして活躍する古屋呂敏の「Focal Length」。
連載を通して、写真だけではなく、
人との距離感、 生きるスタンスなど
さまざまな「焦点距離」をお届けします。
【撮影&テキスト:古屋呂敏 撮影機材:Nikon Z8】

  • 作成日:

Focal Length
今回のテーマは「日常と非日常」の距離感。

5月の頭から公演の舞台『春琴抄』が終わり、何年かぶりに連続した休みを取ることができた。
役者、そしてフォトグラファーという仕事は、自分が意識的に休みを取らなければ、いくらでも働き続けることができる仕事。
だからこそ舞台の終わりという節目に、インプットの時間を作りたいと思った。

選んだのは一人旅。
僕にとって一人の時間は、単に休息するための時間ではない。
立ち止まり、自分自身と向き合い、今何を感じているのか、何を求めているのかを確かめるための時間。

日常から少し距離を置くことで、普段は見えていなかったものが見えてくる。

今回訪れた場所はベトナム・ホイアン。

古屋呂敏(ロビン)がNikon Z8で撮影した写真 作例

Z8 + NIKKOR Z 24-120mm f/4 S

古屋呂敏(ロビン)がNikon Z8で撮影した写真 作例

Z8 + NIKKOR Z 24-120mm f/4 S

世界遺産に登録され、夜には無数のランタンが灯る美しい街並み。

古屋呂敏(ロビン)がNikon Z8で撮影した写真 作例

Z8 + NIKKOR Z 24-120mm f/4 S

古屋呂敏(ロビン)がNikon Z8で撮影した写真 作例

Z8 + NIKKOR Z 24-120mm f/4 S

多くの人にとっては観光地として知られている場所だが、僕が興味を惹かれたのはその奥にある「誰かの日常」だった。

ここに住む人たちにとっては、毎朝市場へ向かうことも、川沿いを歩くことも、店先で会話を交わすことも当たり前の日常だ。
けれど、その風景は僕にとって紛れもない非日常だった。

古屋呂敏(ロビン)がNikon Z8で撮影した写真 作例

Z8 + NIKKOR Z 24-120mm f/4 S

古屋呂敏(ロビン)がNikon Z8で撮影した写真 作例

Z8 + NIKKOR Z 24-120mm f/4 S

古屋呂敏(ロビン)がNikon Z8で撮影した写真 作例

Z8 + NIKKOR Z 24-120mm f/4 S

その事実が面白い。
自分にとって特別なものが、誰かにとっては当たり前であり、自分の日常もまた、世界のどこかの誰かにとっては非日常なのだと思う。

観光客の姿がほとんどない小さな市場へ足を運んだ。
そこにはSNSには載らない空気が流れていた。
顔見知り同士が言葉を交わし、商品を並べ、笑い合う。

Z8 + NIKKOR Z 24-120mm f/4 S

古屋呂敏(ロビン)がNikon Z8で撮影した写真 作例

Z8 + NIKKOR Z 24-120mm f/4 S

古屋呂敏(ロビン)がNikon Z8で撮影した写真 作例

Z8 + NIKKOR Z 24-120mm f/4 S

効率やスピードでは測れない、人と人との距離感がそこにはあった。
同じ時間が流れているはずなのに、その場所だけ別の時間軸が存在しているようにも感じた。

写真を撮るという行為は、時にただ景色を記録することではない。
その土地に流れる時間や温度、人々の営みを感じ取り、自分なりに解釈することだと思っている。
だから僕は旅に出ると有名な観光地よりも、誰かの日常が息づく場所にレンズを向けたくなる。

古屋呂敏(ロビン)がNikon Z8で撮影した写真 作例

Z8 + NIKKOR Z 24-120mm f/4 S

古屋呂敏(ロビン)がNikon Z8で撮影した写真 作例

Z8 + NIKKOR Z 24-120mm f/4 S

そこには演出されていない美しさがある。

役者という仕事も、写真家という仕事も、本質的には似ているのかもしれない。
どちらも人を観察し、人を理解しようとする行為だからだ。

旅先で出会う風景や人々は、自分とは違う人生を見せてくれる。
そしてその違いに触れることで、自分自身の日常を改めて見つめ直すことができる。

非日常を求めて旅に出たはずなのに、最後には日常の大切さに気付かされる。
その繰り返しが、僕にとって旅をする理由なのかもしれない。

Z8 + NIKKOR Z 24-120mm f/4 S

古屋呂敏(ロビン)がNikon Z8で撮影した写真 作例

Z8 + NIKKOR Z 24-120mm f/4 S

Z8 + NIKKOR Z 24-120mm f/4 S

写真は特別な瞬間を残すためのものだと思われがちだけれど、時にはむしろ何気ない日常の中にある美しさを残したい。

なぜなら人生のほとんどは日常でできているからだ。

Z8 + NIKKOR Z 24-120mm f/4 S

旅をしながら感じたのは、日常と非日常は決して遠く離れたものではなく、ほんの少し視点を変えるだけで入れ替わる存在だということ。

誰かの日常の中にある、誰かにとっての非日常を探しながら。

プロフィール

古屋呂敏

俳優・フォトグラファー 1990年、京都生まれ滋賀/ハワイ育ち。2016年より独学でカメラを始める。Nikon Zf、Z8を愛用。父はハワイ島出身の日系アメリカ人、母は日本人。MBS/TBS「恋をするなら二度目が上等」(2024年)などに出演。俳優のみならず、フォトグラファー、映像クリエイターROBIN FURUYAとしても活動。2022年には初の写真展「reflection(リフレクション)」、2023年9月には第2回写真展「LoveWind」、2025年6月、ニコンプラザ東京 THE GALLERY、2025年7月、ニコンプラザ大阪 THE GALLERYにて、写真展「MY FOCAL LENGTH」を開催。写真集に『MY FOCAL LENGTH』(ミツバチワークス)がある。

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