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プロフィール

山根悠太郎
写真家 1998年生まれ、島根県出身。高校生の時に先輩から撮ることの楽しさを教わり、写真に興味を持つ。東京祐氏に師事し、2021年に独立。ポートレートやファッションなど、ジャンルを問わずに活躍中。
愛用カメラ:Canon R5、Leica M 10P/M10 Monochrom
愛用レンズ:RF24-70mm F2.8 L IS USM、Leica Summilux-M 35mm F1.4Titan
Q.14 ロケ撮影とスタジオ撮影の違いは?
A. ロケでは光を探し、スタジオでは光を作る。ロケとスタジオ、両方の経験が影響しあいながら光が読めるようになる。
自分ではコントロールできない余白や遊びに、ロケの面白さがある



「ロケと白ホリスタジオの違いといえば、まずは背景。人物以外の要素の情報も入れたければロケ、シンプルな空間で被写体にフォーカスしたい時はスタジオで撮ります。でも、僕にとって一番大きな違いは、光。スタジオでは撮りたい光を作りますが、自然光ロケの場合、欲しい光を探します。そして、その光に最適だと思う角度や画角を、さらに探していきます。当然、天候や時間によって光は変わるので自分ではコントロールできない部分が大きいですが、その決まりきっていない余白や遊びがあるところに面白さを感じます。光が変われば被写体の表情も変わるし、時間の移ろいを感じられる点にも惹かれます。天候によって思っていた光ではない場合でも、できるだけライトを足さずに撮ります。曇天の光もいいよね、と状況を受け入れて、その中で最適解を見つけたいと思っています」。
他人のライティングはあくまでも参考。自分の光は、自分で作る



「スタジオの醍醐味といえば、欲しい光を作れる、という点。僕はスタジオマンの経験はなく、スタジオワークに関してはすべて師匠に教えてもらいました。ライティング技術の習得は、失敗を恐れずにとにかくトライすることが上達につながると思います。流行りのライティングはどんどん変わるので、気になるフォトグラファーの作品を見て、どんな風に光を当てているかなどを考えたりもします。とはいえ、他人のライティングが僕の写真にそのまま合うわけではないので、あくまでも参考にして、自分の光は自分で作ります。また、スタジオマンたちはいろいろなフォトグラファーと仕事をしているので、彼らとコミュニケーションすることで学べることが多くあります。ロケで自然光を探す作業の結果、光の読み方がわかってスタジオ撮影に生かせることも多いです。逆にスタジオで、例えばトップライトをこうすると昼の曇り空の光に似てるな、などスタジオとロケの光の共通点を見つけて、その経験がロケ撮影に生きることもあります」。
ロケもスタジオも変わらずに自然体の姿を撮りたい

「ロケとスタジオで変わらないのは、僕の被写体に対しての姿勢。ロケだから自然に、スタジオだから強い表情で…といった差異をつけることはありません。捉えたいのは、その人のありのままの姿。ポージング指示もなるべくせず、できるだけ自然体でいてもらいます。気張ってない本質的な表情を狙うためにカメラの存在を可能な限り消したいので、シャッター音が小さいものを選んだりします。そして、光を探すのと同じように、限られた条件や時間の中でその人の素の魅力を引き出せたと思えたときに喜びを感じます。僕にとって親しい人を撮る行為は愛情表現ですが、仕事などで初対面の人を撮る場合でも、相手を肯定してポジティブな瞬間を捉えたいと思っています」。
GENIC vol.73【Portrait Q&A】Q. ロケ撮影とスタジオ撮影の違いは?
Edit:Satoko Takeda
GENIC vol.73

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