目次
プロフィール
花盛友里
フォトグラファー/IKKAディレクター 1983年生まれ、大阪府出身。雑誌・広告・カタログ・CDジャケットなどを中心に活躍。「女の子の“ありのままの姿”をテーマにした作品づくりに力を入れ、『寝起き女子』(2014)、『脱いでみた。』(2017)、『NUIDEMITA-脱いでみた。2-』(2020)を発表。2021年にはアンダーウェアブランド「IKKA」を立ち上げ、表現の場を広げている。2025年秋、5年ぶりに第3弾『nuidemita - 脱いでみた。3 -』を発表。
愛用カメラ:Nikon Z7II
愛用レンズ:Carl Zeiss Planar T* 50mm F1.4
脱いでみた。
女の子たちの“そのまま”を写すヌードのプロジェクト
生まれてきてくれて
ありがとうって言いたくて。
肉割れがあって、虫刺されがあって、
首をかしげればシワがよって、
手の関節もこめかみの血管も浮いていて、
少し前のニキビもずっと治らないままで。
今の時代ボタンひとつで消せるそんなひとつひとつが、私たちを作ってる。
これが私たちだ。
こんな私たちが素晴らしくって愛おしいのだ。
── 花盛友里
私たちは、そのままで、こんなにも美しい
アイデンティティや女の子たちと向き合って生まれたプロジェクト
「はじめて『脱いでみた。』を撮ったのは、11年くらい前のこと。妊娠して体型が変わって、仕事も思うようにできず、このまま母親になっていくのかな。自分って何だったんだろう?、ってアイデンティティについて考えるようになりました。そこで、昔みたいにちょっとトンがったことがしたくなって生まれたのがこのプロジェクト。SNSや広告の中に“理想の姿”ばかりがあふれていて、“自分には価値がない”って思い込んでしまっている女性があまりにも多いと感じました。みんな、実は同じことで悩んでるんだ、って思ったら、もっと自分のことを肯定して、褒めまくらなくちゃ!って思うようになりました。あざも、たるんだ胸も、傷跡も、その人が生きてきた証。そのままでこんなにも美しいんだよって伝えたいです。だからこそ“加工をしない”、“モデルの選考をしない”これはプロジェクトを始めたときから大切にしているマイルール。年齢や体型、職業や経験に関係なく、応募してくれた人を先着順で撮っています。それにヌードって、どうしても“エロい”とか“アートっぽい”とか、どこか構えてしまう印象があるけど、本当はもっと裸って普通のものでいいと思うんです。“とりあえず脱いでみたよ”っていう、軽くてフラットな気持ちが伝わればいいなと思ってこの名前をつけました。できることなら、おばあちゃんになっても撮り続けたいです。見る人も、写る人も、撮っている私も、みんなが同じ場所に立てるような、あたたかいコミュニティであり続けたいたいと願っています」。
このプロジェクトは私にとってもカウンセリングみたいなもの
プロジェクトをカタチにして届けることを、これからも大事にしていきたい
「お仕事の撮影は、モデル、スタイリスト、ヘアメイク、スタジオが整っていて、私が頑張らなくても“いい写真”ができてしまう環境が整っています。でもオリジナルプロジェクトは、アイディアから編集まで全部自分。その分、力が試されるので、スキルや自信も積み重なってきました。何より、撮影に来てくれる方たちとの時間が、ものすごく濃密で、あたたかい。これまでに取り組んできたパーソナルワークは、女の子の家に朝おじゃまして、寝起きのままの姿を撮るプロジェクト『寝起き女子』(2014)とスピンオフの『寝起き男子』(2015)。そして『脱いでみた。』(2013~)。振り返ると、どのプロジェクトでも相手のエネルギーや想いに触れることで、私自身『自分のことちょっと好きかも』って肯定できるようになるものでした。私にとってプロジェクトはカウンセリングみたいなもの。撮ることで癒されて、出会うことで救われているのは、実は私のほうかもしれません。そして、展示や写真集という“カタチにして届けること”も、すごく大事にしています。5年ぶりとなる写真集『nuidemita-脱いでみた。3-』も完成しました。SNSだけだとどうしても流れていってしまうから、展示に足を運んでもらったり、写真集を手に取ってもらったりすることで、“ちゃんと伝わった”っていう実感が生まれる。それは、フォロワーが増えたことや“いいね”の数なんかより、何倍も心に響くんです。だから私は、プロジェクトをカタチにして届けることを、これからも大事にしていきたいと思っています」。
Photo Book「nuidemita - 脱いでみた。3 -」
GENIC vol.76 【脱いでみた。】
Edit:Megumi Toyosawa
GENIC vol.76
2025年10月号のテーマは「 撮ることのその先へ This is My Project.」
あなたは「何」を撮っていますか? 自分の表現を説明できますか?
タイトルをつけることができますか?
オリジナルのプロジェクトを持つことは、自分の写真を「言語化」すること。
1つの企画によってまとめられた作品群からは、“作家の声”が聞こえてきます。
あなたも、写真プロジェクトを始めませんか。
一歩進む。撮ることのその先へ。