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プロフィール

瀧本幹也
1974年生まれ。藤井保氏に師事したのち、98年に写真家として独立。以後、広告写真やCM 映像をはじめ国内外での作品発表や出版など、幅広く活動を続ける。代表作に『BAUHAUS DESSAU』(2005) 、『SIGHTSEEING』(2007)、『LOUIS VUITTON FOREST』(2011)、『LAND SPACE』(2013)、『GRAIN OF LIGHT』(2014)、『Le Corbusier』(2017)、『CHAOS』(2018)などがある。また、写真と映像で培った経験と表現者としての視点が評価され、是枝裕和監督作『そして父になる』『海街diary』『三度目の殺人』『阿修羅のごとく』で撮影を務める。近年の展示では『CHAOS 2020』(妙満寺 京都 2020)『PRIÈRE』(大阪市中央公会堂 大阪 2021)、『CHAOS 2023』(OGATA Paris パリ 2023)、『丹下健三と隈研吾』展(パリ日本文化会館 パリ 2024)、『LUMIÈRE / PRIÈRE』(ヒルサイドフォーラム 東京 2024)などがある。作品は東京都写真美術館(東京)などに収蔵されている。
「Matterport」とは
360度の撮影が可能な特殊な3Dスキャンカメラを使用して、あらゆる建物や空間を高精度かつ高品質にデジタル化。自由な角度から空間を俯瞰的に眺めることが可能です。
ギャラリー内を実際に歩いているような、仮想ツアーを4Kの高画質で体験でき、当時の展示や空間を完全再現。時間や距離に制約されることなく、好きな時に鑑賞を楽しむことができます。
瀧本幹也 写真展アーカイブ
LUMIÈRE/PRIÈRE
コロナ禍を経て写真を撮る歓びを再認識して生み出したという2つの作品『LUMIÈRE』(フランス語で光)『PRIÈRE』(フランス語で祈り)を紹介。大型作品を含む65点インスタレーション作品・映像作品が展示された。『LUMIÈRE』は2020年初頭、新型コロナウイルス感染症の世界的な感染拡大によってこれまでのように世界各地で大がかりな撮影もできなくなった瀧本が偶然目にした野に咲く菜の花の内部に息づく「小宇宙」を探求すべく、小型カメラひとつで野の草花を見つめたシリーズ。『PRIÈRE』は2020年秋、京都で国際写真祭に参加し「円融」(仏語。すべての事物が完全に溶け合い互いに妨げないこと)という言葉に出会った瀧本が古都の寺社で数百年、数千年前から現在に続く時間の流れに自らも連なっていることを感じさまざまな寺院で撮影したシリーズとなる。
CHAOS 2020
KYOTOGRAPHIE 京都国際写真祭 2020 Associated Programs 世界屈指の文化都市・京都を舞台に、第8回目となる国際的な写真祭に初参加。瀧本自身初となるお寺での展示で、総本山妙満寺 大書院を舞台とした展示「CHAOS 2020」。 お寺に則した間を利用し、写真作品と共に、映像作品やインスタレーションも発表。
LAND SPACE 2020
KYOTOGRAPHIE 京都国際写真祭 2020 Associated Programs 「CHAOS 2020」(会場:妙満寺 大書院) と同時期開催として祇園のギャラリー Sferaにて「LAND SPACE 2020」開催。「LAND SPACE」に未発表作品と、「GRAIN OF LIGHT」「FLAME」を加え再構成。
地球内部からのエネルギーの捌け口である火山の噴火口や、大規模噴火の火山灰によって大地がリセットされた河川。溶岩流が固まった後、苔が生え再生を目指す大地。雪や氷が溶けて漆黒の大陸がむき出してきた南極の地表面。地球という生命の営みは四十億年以上もの間あらゆる活動が繰り返され、様々な大陸を形成し圧倒的な美しい大地を創造した。その歴史のほんの一瞬の断片にしか立ち会う事は叶わないが、生命が出現する遙か以前には、地球はこのような姿だったのかもしれないという、本来見てはいけない禁断の風景に出会うと魂が震えた。地球は今もなお活発に生きている。普段の都会生活では忘れてしまいがちだが、そのような大地に自らの身を置くと、立っている地面の地下深くが非常に不安定なものと感じられる。それは地震の多い日本人の遺伝子が無意識的に感じているのかもしれない。
── 瀧本幹也
PRIÈRE
2020年京都妙満寺で開催された写真展『CHAOS』人智の及ばない大自然をとらえた作品群の中に、南極大陸で撮影された7連作品がありました。そこに添えられた1点の菜の花の写真。その存在が示唆したのは、厳しい冬の先にある春を見つめる写真家のまなざしでした。コロナ禍における写真の在り方を問い続けてきた瀧本幹也による新作展。
太陽で煌めいた光が、地球に到達するまでに8分19秒かかるそうです。宇宙空間を旅してきたその光は、地面に到達する瞬間に樹木の枝葉をかいくぐった光と、遮られた影に分かれ陰影を描きます。太陽からの光は地球上へ平等に届きますが、風の悪戯で木漏れ日になって降り注ぎます。それは今の社会の不公平への喩えでもありますが、光と影が織りなすコントラストはどちらも美しいです。今回は作品よりも先に、国の重要文化財に指定される大阪市中央公会堂での展示が決まっていました。その特別室の荘厳な空間から "光と風の祈りのオーケストラ" という、テーマを思いつきました。祈りの情景を探し、今夏から秋にかけて京都の寺院に通い、写真と共に映像作品を撮り下ろしました。映像の冒頭では、降り続いた雨が次第に弱まり、一滴の雨粒が小さな波紋を起こし、やがて大海へと広がっていく様子を追いました。また手水舎の水口から流れる水の情景には、雨や雲など水を司る神様として崇められてきた龍を想像しました。そして水盤では光が描く小さな宇宙を見つけました。雨や嵐の先には、光と風が舞い踊る光景があるはずです。これは今、私たちが直面している社会情勢と照らし合わせることができるのではないでしょうか。京都の寺院で見つけた雨粒一粒や、光の瞬きは、かけがえも無く美しく、前向きな気持ちにさせてくれました。水面に落ちて徐々に波紋が広がり、まろやかに混ざり合う様子は、まさに美しい祈りの時間でした。
── 瀧本幹也 2021年12月
FLEUR
graf porchにて、2021年12月16日(木)- 12月19日(日)の期間、大阪市中央公会堂での瀧本幹也写真展『PRIÈRE』にあわせ、写真展『FLEUR』を開催。本展では、COVID-19が引き起こした世界の混乱の中、自生している花や植物の生命力の美しさ、儚さをとどめておきたいという強い衝動に駆られ撮影された作品を展示します。太陽からの光は、地球に平等に降り注いでいますが、地上に到達するその瞬間にそよ風が木漏れ日を揺らして、その光が、花にあたったり影の中に閉じ込められたりします。それは今の社会の不公平の比喩でもあるが、そこに宇宙を感じたりもします。COVID-19を経験してからは、自然をより受け入れる気持ちへと変化していきました。人が順応するというのは、人が進化したと言い換えられます。このパンデミックにどう順応して、いかに対処していくのか。一歩前進しては、後退して、試行錯誤を繰り返しながら、新たな表現でこの状況すらも明るく乗り越えていく、新しく進化した未来を想像しています。
※写真展の概要は全て、瀧本幹也 WEB EXHIBITIONSより引用
瀧本幹也 写真展アーカイブを手掛けるWondersotck Photo
瀧本幹也の写真展をはじめ、「Matterport」にあらゆる空間を、リアルと同じように再現するWondersotck Photo。コロナ禍をきっかけに、展示を1つずつ大切に記録しアーカイブとして残し、オンラインでいろいろなアーティストの展示をいつでも見れるようにしたいと思い3D撮影をはじめたそう。

Wondersotck Photo
美術館・アートギャラリーなどの展覧会を専門に3D撮影を行う。建築・カメラマン・展覧会の企画・設営経験を活かした、作り手と見る側の視点に寄り添った撮影が特徴。
撮影実績
東京都庭園美術館、POLA MUSEUM ANNEX、平塚市美術館、東京都現代美術館、東京都写真美術館、草間彌生美術館、上野の森美術館、松坂屋美術館、山梨県立美術館、富山県美術館、銀座メゾンエルメス、代官山ヒルサイドフォーラム、スパイラルガーデン、大阪市中央公会堂、小山登美夫ギャラリー、KOSAKU KANECHIKA、Taka Ishii Gallery、104GARELIAなど