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瀧本幹也の写真集『LUMIÈRE』と『PRIÈRE』が2冊同時発売決定。生命の循環や、生きものと地球との共存に思いを馳せる

瀧本幹也にとって約10年ぶりとなる待望の写真集、『LUMIÈRE』と『PRIÈRE』の2タイトルが同時刊行。発売は、MT Galleryでは2024年8月下旬、青幻舎では同年10月初旬の予定。2020年初頭、COVID-19によって、人類は他者との接触を極端に減らし、限られた空間に閉じこもることを余儀なくされました。これまでの作品づくりができなくなった瀧本幹也は、惑星としての地球の力強い生命力や自然、静けさに満ちた寺院の建築や庭に着目。生命の循環や、生きものと地球という惑星との共存に思いを馳せる作品にフォーカスした新作写真集です。9月6日発売のGENIC10月号では、『LUMIÈRE』と『PRIÈRE』について、瀧本幹也にインタビューを敢行。そちらもあわせてお楽しみください。

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目次

プロフィール

瀧本幹也

写真家 1974年生まれ。代表作の『BAUHAUS DESSAU ∴ MIKIYA TAKIMOTO』では、現代デザインの基となったドイツの造形学校バウハウス・デッサウを構成的にとらえ、抽象絵画のような独特な視点で表現した。また『LAND SPACE』では長きにわたりこの大地に育まれてきた自然の壮大さと、人類の手によって生み出された先端文明である宇宙産業の造形美との相似形に着目し「LAND」「SPACE」という一見対極に見えるふたつの視点から、なぜか地球を俯瞰しているかのごとき感覚を与えた。写真と映像で培った豊富な経験と表現者としての視点を見いだされ、是枝裕和監督の映画『そして父になる』『海街diary』『三度目の殺人』では撮影監督を務め、独自の映像世界をつくり出した。主な展覧会に「CHAOS」(Galerie Clémentine de la Féronnière、パリ、2018)、「CHAOS 2020」(妙満寺、京都市、2020)、「PRIÈRE」(大阪市中央公会堂、大阪、2021)、「隈研吾展」(東京国立近代美術館、東京、2021)があり、『CHAOS 2023』(OGATA Paris、パリ、2023)および、パリ日本文化会館『丹下健三と隈研吾展』に参加。

瀧本幹也がパンデミックを通じて発見したもの

LUMIÈRE #03 © 2024 Mikiya Takimoto

PRIÈRE #10 © 2024 Mikiya Takimoto

2020年初頭、世界中で爆発的な感染を引き起こしたCOVID -19によって、人類は他者との接触を極端に減らし、自宅などの限られた空間に閉じこもることを余儀なくされました。写真とともに生きてきた瀧本幹也も、通常大人数で行われるCM撮影や広告などの仕事が軒並みストップしてしまったことはもちろん、世界各地に飛び、大型の機材を使って撮影するようなこれまでの作品づくりはできなくなりました。
そんなとき、偶然出会った河原に咲き乱れる小さな菜の花に、これまで撮影してきた、人の住めない辺境の地に見る、惑星としての地球の力強い生命力と、同じ自然の力を感じ、野の草花の撮影を始めました。連綿と続く命の瞬間を身近な草花に見出し、その内部に息づく「小宇宙」を3年かけて探求、LUMIÈRE(フランス語で“光”)シリーズとして完成させました。
また、2020年秋、京都で国際写真祭に参加した際に、「円融」(仏語。すべての事物が完全に溶け合い、互いに妨げないこと)を知り、静けさに満ちた寺院の建築や庭と向き合いました。そこで数百年、数千年前から現在に続く時間の流れに自らも連なっていることを感じ、さまざまな寺院を歩いてめぐり、撮影したPRIÈRE(フランス語で“祈り”)シリーズをまとめました。

LUMIÈRE

LUMIÈRE #32 © 2021 Mikiya Takimoto

2020年の初め、COVID -19 が引き起こした混乱は、多くの人々に自宅待機を余儀なくさせ、地球規模で先行きの見通しが立たない不安に包まれた。それは私にも写真を撮ることさえ自粛させ、その状況は大きな不安を引き起こした。しかし、その年の春、鬱屈とした隔離された状況を抜け出し、偶然たどり着いた河原での経験が重要な転機となった。そこには、これまでの世界となんら変わらず菜の花が咲き誇っており、その美しさと命の儚さに触れ、この感情を写真に留めておきたいという強い衝動に駆られた。初めてカメラを手にした子どもの頃のような高揚感を覚えながら、無我夢中に撮りつづけた。これらの花々が何十年、何百年、そして何世紀にもわたってこの場所で命を繋いでいることを想像し、地球の大地に根を張り太陽からの光を受け取る様子に、独り地面に寝転がりながら思いを馳せた。
この作品集のタイトルでもある“LUMIÈRE”は「光」を意味している。太陽が生み出す光は宇宙空間を旅して地球上のあらゆる場所へと降り注ぎ、命を繋げる源となる。しかし、その光が地上へ到達する間際、風が悪戯に葉や枝を揺らし、ほんの一瞬の出来事のように届くものと届かないものに岐れる。花々や虫の視点に近づくために態勢を低くし、身を屈めながらファインダーを覗くと、木漏れ日の下では必死に光を求め踊る生命体が存在した。移動が制限されて向かった先は、ごく身近に存在する「小宇宙」だった。目を凝らせば小さな世界にも宇宙のような無限の広がりがあることに気づいたのだ。それは自生する花に連綿と続く「命」の瞬間を、時空として捉えたいという欲求の現れなのだろうか? その瞬間の美しさと奥深さに触れ、新たな視点から「小宇宙」を探求する旅に出た。

瀧本幹也
ー本書あとがきより一部抜粋

PRIÈRE

PRIÈRE #09 © 2023 Mikiya Takimoto

2020年の秋、「KYOTOGRAPHIE 2020」に参加し、寺院で展示する機会に恵まれた。自然界の僻地で撮影した「大宇宙」ともとれる地球の原風景を捉えたこれまでの作品を、大書院に入る自然光を拝借し静粛な空間で展示した。ある日、閉門時間を過ぎてひとり作品と向き合ったことがある。時を忘れ、作品は闇に溶け込んでいきそうになっていた。COVID-19の流行のさなかに開催されたこともあり「私たちは、宇宙的な永い時間の一瞬を生きている。人類が我がものと思っているこの地球こそ、最も身近な天体である」という主題が、より現実味を帯びることとなった。この体験が転機となり、在廊の合間に京都の古寺を巡るのが日課となった。その頃は観光客が皆無で、枯山水の庭は本来の静かな姿を表していた。縁側に座り、目を閉じて暫くすると、網膜に浮かび上がってくる景色が見えた。それは目が見ているのではなく、身体が感じとった景色だった。もしくは自らが座った同じ場所で、数百年、数千年前に誰かが感じ得た景色を教えてくれているのかも知れない─。私たちは、一体今、どこで生きているのか? 小さな者として、途方もない宇宙的な時間の一瞬に震え、同時に自らの存在のなかに大きなものが美しく流れ込んで来るのを感じた時、「祈り」─“PRIÈRE”という、問いにも似た感情が湧き起こってきた。

瀧本幹也
ー本書あとがきより一部抜粋

瀧本幹也 写真集『LUMIÈRE』『PRIÈRE』情報

2冊セットで購入すると、期間限定特典として、ポストカード『LUMIÈRE』『PRIÈRE』と作品が表紙になった御朱印帳1冊が付きます。
※御朱印帳の絵柄の指定は不可。

『LUMIÈRE』

著者:瀧本幹也
寄稿:森田真生
装丁:須山悠里
編集:森かおる(青幻舎)
判型:A4変形/上製本
ページ数:248頁
定価:13,200円(本体 12,000円)
ISBN:978-4-86152-967-2 C0072
発行所:MT Gallery
発売元:株式会社青幻舎
発売:
2024年8月下旬 MT Galleryより先行発売 
2024年10月初旬 青幻舎より一般発売 

『PRIÈRE』

著者:瀧本幹也
寄稿:安藤礼二
装丁:須山悠里
編集:森かおる(青幻舎)
判型:A4変形/上製本
ページ数:248頁
定価:13,200円(本体 12,000円)
ISBN;978-4-86152-968-9 C0072
発行所:MT Gallery
発売元:株式会社青幻舎
発売:
2024年8月下旬 MT Galleryより先行発売 
2024年10月初旬 青幻舎より一般発売

『LUMIÈRE』『PRIÈRE』先行販売サイト

Items

ポストカードとご朱印帳は、個別に購入も可能です。

LUMIÈRE ポストカード
価格:660円(税込)

PRIÈRE ポストカード
価格:660円(税込)

PRIÈRE ご朱印帳_1
価格:2,420円(税込)

PRIÈRE ご朱印帳_2
価格:2,420円(税込)

PRIÈRE ご朱印帳_3
価格:2,420円(税込)

PRIÈRE ご朱印帳_4
価格:2,420円(税込)

PRIÈRE ご朱印帳_5
価格:2,420円(税込)

PRIÈRE ご朱印帳_6
価格:2,420円(税込)

MT Gallery Items

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