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【女性写真家が見つめる女の子の世界 #3】Fujikawa hinano

時には落ち込むこともあるし、泣きたいようなことも、正直たくさんある。けれど、女の子でいることはやっぱり面白い! 
女の子のパワーと美しさを写しとる、女性写真家たちにフォーカス。
彼女たちだから捉えられた、とびきりの女の子の世界を見せてもらいました。
#3は、肌感、温度感まで伝わる写真を撮る写真家、Fujikawa hinanoさんです。

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Fujikawa hinano

写真家 東京都出身。Instagramや展示で作品を発表。WEBメディアでの撮影・ライター、ブランドのルック撮影など、幅広く活躍中。日常と非日常の中にある曖昧さ、そして感情を丁寧に表現することを心がけている。
愛用カメラ:Nikon F3/FE2、CONTAX TVS、GOKO MACROMAX Z 3200など
愛用レンズ:Nikkor-S Auto 5cm F2など

彼女たちの距離、彼女たちの時間

Model:aotoakari、八木響生 Hair&Make:Nagisa

「友人のカメラマンたちにも声をかけて、学校をスタジオに改修したところを、一棟丸ごと貸し切りにして撮影しました。この子達は、いつも学校で2人きりの女の子という設定。枝優花さんの『少女邂逅』のような雰囲気をイメージしました」。

弱いフリして、実は強い。笑顔も弱さも、複雑だから愛おしい

Model:aotoakari、八木響生 Hair&Make:Nagisa

Model:aotoakari、八木響生 Hair&Make:Nagisa

「都会からの転校生と、クラスのヒエラルキーが高くも低くもないけれど毎日に退屈している女の子。2人はお互いがお互いにとって特別で、その中にちょっと影がある空気感を表現したくて。感受性が揺らいでいる年齢の、女の子同士の関係は見ていて尊いなと思います」。

自分では経験できない感情を、写真を通して経験できる

3組の女の子たちを撮った作品を見せてくれたFujikawa さん。どの作品でも表現されているのは、女の子同士の繊細な距離感。
「2人の”関係性”やそこに生まれる”体温”を撮りたいという思いがあります。そのため、撮影する時にはモデルさんたちに”クラスで浮いている都会からの転校生と、毎日につまらなさを感じている地元の女子高生”というような、写真には写らない設定をお伝えしていて。さらに表現したいものに合わせて自分の手段も変えます。例えばフィルターや接写リング、トイカメラなどを使って、写したい距離感を多角的に表現するようにしています」。

Model:高千真穂、Ren Hair&Make:缶ナ

Model:高千真穂、Ren Hair&Make:缶ナ

「girl in redというバンドの『we fell in love in october』という曲のイメージで撮った作品。曲ではもう少し恋愛寄りの描写がされているのですが、この写真ではまるで男の子の友達同士のような、じゃれている感じを出したいなと思っていました。モデルの2人が元々とても仲の良い友達同士なので、その距離感が落とし込まれたなと感じます。さらに2人の仲の良さを、リンクする衣装とメイクで表現しました」。

被写体としての女の子の魅力は”複雑さ”にあるのだそう。
「女の子ってわがままで、弱いフリして実は強いし、人一倍泣き虫で、たまに1人でいたくなって、笑顔も弱さも全部ひっくるめて愛しくて最高で。私は、そういうただ可愛いだけじゃない複雑な魅力を撮りたいと思っているんです。だからなのか、被写体になってもらう方が役者をやっている人だと、特に波長が合う気がしますね」。

Model:仲川リナ、仲川ネリ Hair&Make:Nagisa Stylist :Hayashi Yukino

Model:仲川リナ、仲川ネリ Hair&Make:Nagisa Stylist :Hayashi Yukino

「友達でも恋人でもない女の子同士の関係として、家族というものがあると思います。このモデルさんたちは実際に双子で、私は双子の撮影は初めての経験だったのですが、お2人の距離感や温度感がとても素敵でした。ベタベタしているわけではないけれど、家族だからこその、体温を感じるほどの距離の近さがあるんですよね。2人の間にある温度感を撮りたいと思った作品です」。

最後に、Fujikawa さんが人を撮る理由を聞いてみた。
「本を読む理由と一緒です。自分では経験できない感情を一緒に経験できるから」。

Fujikawa hinano Instagram
Fujikawa hinano Twitter
Fujikawa hinano HP

Information

Fujikawaさんがビジュアル撮影をした映画『愛のくだらない』が、テアトル新宿にて2021年8月27日から公開中。
第14回 田辺・弁慶映画祭にて弁慶グランプリ/映画.com賞を受賞。監督・脚本・編集 野本梢

GENIC VOL.59 【女性写真家が見つめる女の子の世界】
Edit: Yoko Abe

GENIC VOL.59

特集は「だから、人を撮る」。
最も身近にして最も難しい、変化する被写体「人」。撮り手と被写体の化学反応が、思ってもないシーンを生み出し、二度と撮れないそのときだけの一枚になる。かけがえのない一瞬を切り取るからこそ、“人"を撮った写真には、たくさんの想いが詰まっています。泣けて、笑えて、共感できる、たくさんの物語に出会ってください。普段、人を撮らない人も必ず人を撮りたくなる、人を撮る魅力に気づく、そんな特集を32ページ増でお届けします。

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