ヨシノハナ(Hana Yoshino)
フォトグラファー 1996年生まれ、東京都出身。東京造形大学デザイン学科写真専攻卒業。元フォトグラファーの父の影響で写真を始め、現在は、ブランドのルックやファッション誌、広告撮影など多岐にわたり活躍。各方面から注目を集める写真家のひとり。
愛用カメラ:Nikon FM2
あなたと私の間に
「この日の撮影が初対面だった彼女。ヘアメイクさんやスタイリストさんにセットしてもらっていますが、彼女の表情に惹かれてすごく寄って撮ってしまった一枚。私が無言だったから、困らせたと思います(笑)」。
体調で変わる肌、身体。女性は全てが美しい
「風で髪の毛がなびいた瞬間が綺麗で。彼女は高校時代からの友達で、実は初めて自分の作品の被写体になってくれた人。モデルとしても活動していて、他のカメラマンさんが彼女のいい表情を撮っているとちょっと嫉妬しちゃうぐらい大好きな人です」。
ヨシノさんがカメラを構えた時に大切にしていることは、向き合う相手を感じること。そのため、撮影中は被写体へあまり話しかけないのだそう。
「相手との間に生まれる空気を感じ取りたいという意欲が高すぎて、しゃべりたくなくて。今この場のいい意味での緊張感や、距離感を大切にしたいんです」。
そんなスタンスに惹かれるからか、ヨシノさんの周りには女の子たちが集う。
「一時期は私の家が女の子たちの”助け小屋”みたいになっていて(笑)。彼女たちから”どうしよう”と連絡があると、迎えに行って、話したければ話してって伝えて。何かアドバイスできるわけじゃないんですが、その時の気持ちを一緒に感じてあげたくて」。
「待ち合わせした公園に、たまたま彼女の服と同じピンクの花が咲いていて。”彼女との初対面”が今この時にしか撮れないって改めて素晴らしいなと思いました」。
「4連撮影ができるおもちゃカメラに、あえて消費期限切れのフィルムを使ってみた一枚。仲のいい子とのお散歩風景。この一枚でストーリーができている感じが気に入っています」。
私というフィルターを通して、相手の良さを引き出したい
「女の子の体って、胸や足よりも骨に色気が宿っている気がします」。
女性は全てが美しい、と語るヨシノさん。だからこそ心がけていることがある。
「誰か一人でも違和感を感じていては良い撮影はできないと思っています。だから、撮影後に被写体になってくれた子にも写真を見てもらって、嫌な写真があれば消してねと伝えています。ただ撮るのではなく、そのカメラにヨシノハナというフィルターがかかることで、その子自身も見たことのない表情が引き出せたらいいなと思います。自分が撮る意味、を大切にしたいです」。
「大学で写真を勉強していたのですが、最初の授業がモノクロ写真。だから、私の原点はモノクロです。理想と現実の間をちょうど写しとってくれるところが好きですね。これはこの春の一枚」。
GENIC VOL.59 【女性写真家が見つめる女の子の世界】
Edit: Yoko Abe
GENIC VOL.59
特集は「だから、人を撮る」。
最も身近にして最も難しい、変化する被写体「人」。撮り手と被写体の化学反応が、思ってもないシーンを生み出し、二度と撮れないそのときだけの一枚になる。かけがえのない一瞬を切り取るからこそ、“人"を撮った写真には、たくさんの想いが詰まっています。泣けて、笑えて、共感できる、たくさんの物語に出会ってください。普段、人を撮らない人も必ず人を撮りたくなる、人を撮る魅力に気づく、そんな特集を32ページ増でお届けします。