menu

違和感の美しさ/古屋呂敏のFocal Length Vol.29

古屋呂敏<連載コラム>第3月曜日更新

その瞬間を永遠にしたいと願いながら、シャッターを切る。
心の揺れるままに、心の色のままに。
自分だけに見えていたその一瞬の世界は、
写真に残すことでさらに愛しく想えるものになる。
だから僕は、きっと永遠に写真を撮り続ける。

───俳優、カメラマンとして活躍する古屋呂敏の「Focal Length」。
連載を通して、写真だけではなく、
人との距離感、 生きるスタンスなど
さまざまな「焦点距離」をお届けします。
【撮影&テキスト:古屋呂敏 撮影機材:Nikon Zf】

  • 作成日:

Focal Length
今回のテーマは「違和感の美しさ」。

この世界にはいろんな形の美しさが存在する。
その価値観は個々で違うし、文化によっても異なる。

人はそれぞれのフィルターを通して、何が好きかを感じ、
それを共有したり、一人で楽しんだりする。

そんな「美しさ」の中で個人的に好きなのは違和感の美しさ。

写真の世界で目を引く写真の多くには、この違和感が散りばめられていることが多い。
例えば、それは日常と非日常が交じり合う瞬間。

決して交わることのないものが混在した瞬間には心が奪われる。

古屋呂敏(ロビン)がNikon Zfで撮影した写真 作例

Zf + NIKKOR Z 70-200mm f/2.8 VR S

古屋呂敏(ロビン)がNikon Zfで撮影した写真 作例

Zf + NIKKOR Z 70-200mm f/2.8 VR S

ここで生まれる違和感は、決して「不自然さ」ではない。

むしろ、見慣れたはずの世界にほんの少しズレが生じることで、私たちが無意識に受け入れていた常識が静かに揺さぶられる感覚に近い。

花は、自然の中にあるとき最も美しいとされがちだ。
風に揺れ、土に根を張り、季節とともに姿を変えていく。
その循環の中にあるからこそ、生命としての説得力を持つ。

古屋呂敏(ロビン)がNikon Zfで撮影した写真 作例

Zf + NIKKOR Z 70-200mm f/2.8 VR S

けれど、無機質な金属や人工物と並んだ瞬間、花は「自然物」という役割を一度手放す。

そこに現れるのは、
生命としての強さでも儚さでもなく、“存在そのものの輪郭”だ。

金属のアームに固定された花が、守られているようにも、拘束されているようにも見える。
どちらとも言い切れない曖昧さ。

人の手によって設計された道具が、命を扱うように花に触れている。
その距離感は冷静で、どこか優しい。
本来は感情を持たないはずの無機物に、感情の気配を感じてしまう瞬間だ。

古屋呂敏(ロビン)がNikon Zfで撮影した写真 作例

Zf + NIKKOR Z 70-200mm f/2.8 VR S

古屋呂敏(ロビン)がNikon Zfで撮影した写真 作例

Zf + NIKKOR Z 70-200mm f/2.8 VR S

ここで惹かれるのは、「かわいさ」や「綺麗さ」ではなく、
なぜか目を離せなくなる感覚。
理解しきれないのに、強く惹きつけられる感情だ。

違和感のある美しさは、ただ問いだけを残す。

これは正しいのか。
これは美しいのか。
それとも、自分がそう感じたいだけなのか。

この写真たちは、
美しさを定義するためのものではない。
自分がどんな違和感に惹かれ、どんな瞬間に心を動かされるのかを静かに確認するための装置だ。

古屋呂敏(ロビン)がNikon Zfで撮影した写真 作例

Zf + NIKKOR Z 70-200mm f/2.8 VR S

古屋呂敏(ロビン)がNikon Zfで撮影した写真 作例

Zf + NIKKOR Z 70-200mm f/2.8 VR S

そこにも、物語はあるのか・・・

プロフィール

古屋呂敏

俳優・フォトグラファー 1990年、京都生まれ滋賀/ハワイ育ち。2016年より独学でカメラを始める。Nikon Zfを愛用。父はハワイ島出身の日系アメリカ人、母は日本人。MBS/TBS「恋をするなら二度目が上等」(2024年)などに出演。俳優のみならず、フォトグラファー、映像クリエイターROBIN FURUYAとしても活動。2022年には初の写真展「reflection(リフレクション)」、2023年9月には第2回写真展「LoveWind」、2025年6月、ニコンプラザ東京 THE GALLERY、2025年7月、ニコンプラザ大阪 THE GALLERYにて、写真展「MY FOCAL LENGTH」を開催。写真集に『MY FOCAL LENGTH』(ミツバチワークス)がある。

おすすめ記事

連載コラム【古屋呂敏のFocal Length】

アイコニックなデザインのフルサイズミラーレス「Nikon Z f」が新登場

Zfにも新搭載!「フレキシブルカラーピクチャーコントロール」で切り取る、古屋呂敏の新たな世界

次の記事