茂木モニカ(Monika Mogi)
アーティスト、写真家、ディレクター 1992年生まれ。アメリカと日本にルーツを持ち、独学で写真を学ぶ。10代の頃よりアートやファッション雑誌でキャリアを積み、すべての作品でクリエイティブディレクターを務める。現在東京とニューヨークを拠点にし、国内外で活躍する。
愛用カメラ:PENTAX K1000、PENTAX MX、Yashica T4
愛用レンズ:PENTAX-DA 50mmF1.8
Dream Blue with you
「私と、女優でモデルの水原希子、UNIFというブランドをやっているクリスティーン・ライの、仲のいい友達3人の旅。この場所は静かで、本当に誰もいなくて、ちょっと怖いぐらいだった」。
本当のリレーションシップから 生まれる美しさがあると思う
「温泉から出た後に、みんなで気持ちよく動いていた時の写真。アメリカには露天風呂みたいに裸で自然にコネクトできるものがないから、すごく解放されたし、自由さを感じられた」。
「希子がすごく自然に動いていて、決して美しい表情だけを見せようとしていない。だから、この写真からは100%その瞬間にいる感じがするんだと思う。私たちのリレーションシップを感じられる一枚になったかな」。
「シエラネバダは砂漠の何もないところに突然温泉があったり、雪景色になったりする不思議なところ。この温泉は本当に気持ちよかった!」。
「これは牧場付近で撮影したもの。自然の中で楽しく撮っているうちに、じゃあ次のところではキャラクターを変えてみようとなって、古着の水着で撮ったんだ。映画のキャラクターのようにも見える一枚」。
今だったら、私たちのやりたかったことが伝わると思った
水原希子さんを撮り下ろした写真集『夢の続き Dream Blue』から、2017年にカリフォルニアのシエラネバダを訪れた時の写真を見せてくれた茂木さん。
「最初は撮影に行くというよりも旅行という感じだったの。どこかで出版する予定もなかったし、撮る時にやっぱり裸の方がかっこいいねとなって、結局3人とも脱いで(笑)。砂漠から雪景色に変わるシエラネバダの自然の中で、どんどん撮っていったんだ」。
今回の作品は、意外なことに篠山紀信氏の『Santa Fe』からも影響を受けているのだそう。
「私が生まれて初めて見た写真集で、とても好きな作品。今でももちろん美しい写真だと思うけれど、でもやっぱり今の私から見ると男性の目からみたセクシュアリティが強いと感じていて。それは悪いことではないんだけれど、自分たちが砂漠を背景に裸を撮る時に、本当の友達同士、本当のリレーションシップから生まれる写真を撮ってみたいと思ったんだ」。
「この付近を車で通った時に『誰もいないね』という話になって、車からちょっと降りてパパパッと撮ったもの。初夏で、雪も柔らかすぎるからスキー客もいなかったんだと思う。暑くもなく、寒くもなく、気持ちいい気候」。
本書は撮影から4年の月日を経て、今年の春に出版された。「この4年で、世界はすごく変わったよね。今だったら私たちのやりたかったことが、この写真を見る人に伝わるかなって思ったんだ。私自身、もっと若い頃はカーブを強調したようなセクシーな写真を撮ったりもしたんだけれど、最近はあまり興味がなくて。そういう写真ももちろん悪くはないんだけれど、セクシャルなものを入れればLikeが得られるというようなインスタントな写真は世の中にいっぱいありすぎると思うから。その人がナチュラルに動いて、自然にセクシーになった写真がやっぱり一番かっこいいと思うんだ」。
Information
「VISION GATE」展
文化庁による文化発信プロジェクト「CULTURE GATE to JAPAN」の一貫として、8組のアーティストが参加する展示が羽田空港と成田空港にて開催中。日本文化に通底する過去から未来へと続く「VISION」を、それぞれのアーティストが表現しており、茂木さんは映像作品で参加。作品は全てオンラインでも視聴できる。
会期:2021年2月27日(土)~
会場:羽田空港第3ターミナル到着コンコース&
成田空港ターミナル内デジタルサイネージ(映像作品)他
GENIC VOL.59 【女性写真家が見つめる女の子の世界】
Edit: Yoko Abe
GENIC VOL.59
特集は「だから、人を撮る」。
最も身近にして最も難しい、変化する被写体「人」。撮り手と被写体の化学反応が、思ってもないシーンを生み出し、二度と撮れないそのときだけの一枚になる。かけがえのない一瞬を切り取るからこそ、“人"を撮った写真には、たくさんの想いが詰まっています。泣けて、笑えて、共感できる、たくさんの物語に出会ってください。普段、人を撮らない人も必ず人を撮りたくなる、人を撮る魅力に気づく、そんな特集を32ページ増でお届けします。