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【顔のないポートレート #1】you.co.co / 金曜日のミニシアター

普段、顔やその表情が物語ることはとても多い。けれど、時には顔が見えないからこそ、その場の空気や思いをより強く感じるということが、確かにある。それは一体どうしてなのだろう?
今回は、あえて顔を写さずに写真を撮る、5名の表現者をフィーチャー。それぞれの思う、顔と表現の関係についてお話を伺いました。
#1は、映画のワンシーンのような情緒を”切り撮る”、you.co.co / 金曜日のミニシアターさんです。

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you.co.co / 金曜日のミニシアター

休日写真作家 香川県出身。小さい頃から写真を撮ることが好きで、2018年よりフルサイズミラーレスやフィルムカメラを使い始め、今のスタイルに。同年フォトラボKの作品展に出展。2019年には個展「乗合馬車」を開催。以降、グループ展などに参加するとともに、SNSでの発信を続ける。
愛用カメラ:Sony α7R Ⅱ、Hasselblad 500C/M、Olympus Pen FTなど
愛用レンズ:AI Nikkor 50mm f/1.4S

ノスタルジアに寄り添って

「排気口とモデルさんが同じモノになるような”物質化”をイメージして撮った一枚。光も直線に見えるタイミングで、よりソリッドに。イキモノとして抵抗の意味を込め、服を黒にして周りと対比させています」。

顔はその人を表すけれど、その人を表すのは顔だけじゃない

you.co.co/金曜日のミニシアターさんのポートレートのルールは”人を感じられること”。
「例えば誰かが食事をした後の写真も私にとってはポートレート。逆に人が写っていても、その人の想いや温度などに少しもフォーカスしていなければポートレートではないと考えています。顔が写っていることよりも、体温や湿度を感じる、つまり人を感じることが大切で、その写真からストーリーが聞こえてくることが必要だと思っています」。

「明るい方向を見ているのに、後ろ髪をひかれるように背後には影が落ちている。いつだって出発の季節は、希望と切なさが混ざっていると思うのです。人間の感情はどうしてもシンプルにいかないんです」。

幼少期からフィルムカメラに親しみ、中でもポートレートに興味を持ったのは、3人の写真家がきっかけだったそう。
「川島小鳥さん、高橋ヨーコさんの写真に出会って、人物写真の魅力に引き込まれました。さらに撮り続けていく中で、どこか現実に頼りすぎていると感じ悩んでいた時に、奥山由之さんの写真に出会いました。流れた時間やそこにあった音、存在した人の感情を伝えるために、必ずしも顔がはっきりと見えている必要がないと感じ、私もより自由に表現したいと思うようになったんです」。

「顔が影で隠れていると、どこか不安定さやネガティブなイメージが生まれます。その中でも、強く輝く光があるということを表現したくて。手前にはユーカリ。”再生”の花言葉があります」。

ポートレートに大切なのは、顔が写っていることより、人を感じられること

you.co.co/金曜日のミニシアターさんにとって、顔を写さない写真の魅力とは?
「足音でその人を知覚したり、手の振り方で誰かを思い出すみたいに、その人を体現する部分は顔以外にもあります。むしろ顔がないからその人を強く感じたり、その時の感情に寄り添えるということがあると思う。被写体と向き合った時に、顔というわかりやすさに流されることなく、もっと広い意味の”人”を捉えられたらと思うんです」。

「心がチクっとして撮ったもの。きっと私はひどく切ない感情を感じたのだと思います。窓からさす強い光の中で、ただ外を眺めている彼女がいなくなる未来と、ビンに入った花の存在から残される人を感じて……」。

「どこかで見たことがあるような夢や思い出のイメージを強く出せるよう、光と髪のなびきで動きを表現しました。私は笑顔の写真を見るとなんだか切なくなります。笑って”いた”の過去の部分に切なさを感じるのかな」。

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GENIC VOL.59 【顔のないポートレート】

GENIC VOL.59

特集は「だから、人を撮る」。
最も身近にして最も難しい、変化する被写体「人」。撮り手と被写体の化学反応が、思ってもないシーンを生み出し、二度と撮れないそのときだけの一枚になる。かけがえのない一瞬を切り取るからこそ、“人"を撮った写真には、たくさんの想いが詰まっています。泣けて、笑えて、共感できる、たくさんの物語に出会ってください。普段、人を撮らない人も必ず人を撮りたくなる、人を撮る魅力に気づく、そんな特集を32ページ増でお届けします。

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