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【顔のないポートレート #2】ユウスケ

普段、顔やその表情が物語ることはとても多い。けれど、時には顔が見えないからこそ、その場の空気や思いをより強く感じるということが、確かにある。それは一体どうしてなのだろう?
今回は、あえて顔を写さずに写真を撮る、5名の表現者をフィーチャー。それぞれの思う、顔と表現の関係についてお話を伺いました。
#2は、モードなポートレートフォトグラファー、ユウスケさんです。

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ユウスケ

フォトグラファー 1993年生まれ、神奈川県出身。主にポートレートを中心に撮影。
アパレルブランドやウェディングブランドのルック撮影等を行っている。2020年には写真展「流転」を開催。写真の学びサイト「CURBON」にて、写真教室も行う。
愛用カメラ:SONY α7 III、Nikon F801
愛用レンズ:ZEISS Batis 2/40 CF、AI Nikkor 50mm f/1.4S

BEYOND THE INVISIBLE FACE.

衣装協力:yui iwatsu

「モデルさんのブルーのタイツを見た時に、横断歩道の白線の間に足が来るタイミングでぴょんぴょん飛んでもらう絵が思い浮かびました。ちょっとした違和感を作りたくて、中心が少しだけズレたものを意図的にセレクトしています」。

顔を隠すことで生まれる、解釈のための余白

ユウスケさんが本格的なカメラを手にしたのは大学生の頃。
「卒業旅行で、大好きなロード・オブ・ザ・リングシリーズのロケ地のニュージーランドへ行くことになって、せっかくならちゃんとした写真を撮ろうと思い、初めてカメラを買いました。だから僕の写真のスタートは映画なんです」。

「昨年末に行った写真展『流転』のために撮ったもの。煙を一面に焚きたかったのですが、うまくいかなくて。実は後から見返した時に、偶然煙で顔が隠れて独特の空間が生まれていたことに気が付いたんです。決め打ちで撮ることが多い僕にとって、まさに奇跡の一枚です」。

ポートレートを撮影するようになったのは3年ほど前。
「自分だけではなく、モデルさん、スタイリストさん、ヘアメイクさんの力が合わさることで、想像を超えた写真を撮ることができるのがポートレートの魅力。その掛け合わさる感覚が面白くて、いつの間にか虜になりました」。

衣装協力:ATELIER-E8M

「雲と海の流れを見ているうちに、写真でも流れを表現したくなって。カメラを流すように動かして撮りました」。

被写体の顔を写さない写真は、意図して撮っているものがほとんどなのだそう。
「僕らが人を認識する上で、顔は重要な要素。例えば、その人を100認識するうちの40は顔が占めているぐらいの感覚だと思うんです。だからこそ、その40を隠すことで、写真にその分の余白ができるような気がして。そうすると見ている人にとっても解釈の幅が生まれるんじゃないかと思います。直球の笑顔の写真や彼女感のある写真も素敵ですが、それは僕が撮っても意味がない。見た時にいい違和感を感じる、解釈したくなるような写真が撮りたいですね」。

その場だけの掛け算が生み出す化学反応が面白い

「人物に当たる光の色と、背景に当たる光の色のバランスがポイントです。全体的にブレさせつつも、目にピントを合わせることで力強さを表現しました」。

衣装協力:yui iwatsu

「顔に影をかけることで、直球のポートレートやファッションシュートとは違う印象に。ブルーグレーの壁と木のあるこの場所を見つけた時は”よっしゃ”と思いました(笑)」。

「赤外線の域まで写すことができるという、変わったフィルムを試したくて撮った一枚。クロスフィルターを使い、フレームにかかった手をキラッと光らせています」。

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ユウスケ HP

GENIC VOL.59 【顔のないポートレート】

GENIC VOL.59

特集は「だから、人を撮る」。
最も身近にして最も難しい、変化する被写体「人」。撮り手と被写体の化学反応が、思ってもないシーンを生み出し、二度と撮れないそのときだけの一枚になる。かけがえのない一瞬を切り取るからこそ、“人"を撮った写真には、たくさんの想いが詰まっています。泣けて、笑えて、共感できる、たくさんの物語に出会ってください。普段、人を撮らない人も必ず人を撮りたくなる、人を撮る魅力に気づく、そんな特集を32ページ増でお届けします。

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