目次
ファイナリスト
ヴァレリー・メルニコフ
Valery Melnikov®Alexandra Anikeeva
Mariupol – Open Wounds
ロシア人写真家メルニコフ(1973年〜)による作品シリーズでは、ウクライナの港湾・工業都市マリウポリに住む人々が主題として描かれています。2022年2月末から始まったロシアによるウクライナ侵攻と都市の包囲に伴い、容赦ない戦闘が続き、民間人にも甚大な犠牲者が出ました。メルニコフが現在取り組んでいるドキュメンタリープロジェクトは、戦争が街に残った住民たちに与える、耐え難い人道的影響に焦点を当てています。
ベネディクト・レンチ
Benedikt Renč®Tess Rencova
Cairo
チェコ人写真家レンチ(1982年〜)は自身の作品シリーズで、エジプトの首都と、そこで劇的に進む変化に対する独自の視点を提示しています。彼の目標はありのままの日常を捉えることにあります。「この荒々しく手つかずの現実をいまだ生きる最後の世代を記録したいと思いました」とレンチは語ります。「今、埃と石に囲まれたこの場所にいて、カイロが見分けのつかないほど変貌する中で失われてゆくひとつの雰囲気を、自身の手でとどめておきたいと思いました」。
エリオット・ロス
Elliot Ross®Miguel De Leon
A Question of Balance
米国最大の先住民族保留地ナバホ・ネーションでは、水は決して当たり前のものではありません。米国南西部が史上最悪の干ばつに見舞われる中、台湾系アメリカ人の写真家であるロス(1990年〜)は民族的な境界線によって分断された水供給の物語に光を当てています。一人当たりの水使用量という点で見ると、ユタ州ワシントン郡で裕福なコミュニティが過剰な量の水を消費している一方で、その対角線上に位置するナバホのコミュニティは、日常生活に必要な水を欠いています。
アニー・サッカブ
Annie Sakkab
We Used to Watch the Rivers Go By
ヨルダンにおいて水は単なる物理的資源ではなく、石や土、さらには歌のなかに現れる「記憶」でもあります。「ある資源への好奇心として始まったことがやがて自分自身の歴史と受け継いできたものをより深く探求する営みへと変わり、何世紀にもわたる変化と困窮によって形づくられてきたこの国における、自らのルーツを探す旅となりました」。パレスチナ・ヨルダン系写真家サッカブ(1969年〜)は次のように語ります。「これは単なる水に関する研究ではなく、人々についての物語でもあるのです」。
デイヴィッド・スラーデク
David Sládek
People of Šumiac
旧チェコスロバキアで生まれ、イギリスとアイルランドを拠点に活動する写真家スラーデク(1976年〜)は20年近く前にスロバキアの小さな山村シュミアツに第二の故郷と呼べる場所を見出しました。それ以来、スラーデクはこの村の人々の生活や日常、そして伝統を記録し続けています。彼にとってこのモノクローム写真シリーズは、地元住民と、同じくその地に住みながらも、一本の小川によって物理的に隔てられているだけでなく、社会的にも完全に疎外されているロマという、二つの集団をつなぐ一種の架け橋となるものです。
ライラ・アンマリー・スティーブンス
Laila AnnMarie Stevens®Amber N. Ford
Clayton Sisterhood Project
祖先を追憶したいという切なる思いに着想を得たアメリカ人写真家スティーブンス(2001年〜)は、自身の作品シリーズを通して、規範にとらわれない現代の親族関係や、力強く自信に満ちた黒人女性たちが後に続く世代へと残す遺産を探求しています。作品の中心に据えられているのは、写真家の2人の姉妹と4人の姪たちが自ら築き上げた生き方です。彼女たちはニューヨークのクイーンズからノースカロライナ州クレイトンに購入した一軒家に移り住み、共同生活を送っています。
2026年度ライカ・オスカー・バルナックアワード 情報
2026年10月8日(木)に予定されている授賞式の後、受賞作品およびファイナリストの作品はエルンスト・ライツ・ミュージアムにおいて2027年2月4日(木)までの期間、作品について詳細に説明するカタログとともに、大規模な写真展で紹介されます。ウェッツラーでの写真展を皮切りに、作品シリーズは世界各地のライカギャラリーや写真フェスティバルでも順次展示される予定です。LOBAは写真作品に授与される国際的に最も権威ある賞のひとつであり、賞金額においても世界有数となっています。一般部門の受賞者には賞金40,000ユーロと10,000ユーロ相当のライカカメラ製品が、新人部門の受賞者には賞金10,000ユーロと「ライカQ3」がそれぞれ贈呈されます。
・ウェブサイトでは、コンテストの概要が閲覧可能。
・過去の審査員と推薦者のインタビューも掲載されています。