目次
一般部門「ライカ・オスカー・バルナックアワード」受賞者
アレハンドロ・セガラ(ベネズエラ)
プロフィール
Alejandro Cegarra(Venezuela)/© Elsa Acare
フォトジャーナリスト・ドキュメンタリー写真家 1989年生まれ。現在メキシコシティを拠点に活動。World Press Photo Award(複数回受賞)、W. Eugene Smith Fund Fellowship、Pictures of the Year Internationalなどを受賞。
受賞作「The Two Walls」
かつて、亡命希望者にとって安全が保証される避難先として知られていたメキシコ。しかし近年、本国へのさらなる流入を阻止しようとする米国の移民排斥政策を支える形で、その立場は大きく変わりました。ベネズエラ出身で現在はメキシコに住むアレハンドロ・セガラは、モノクローム写真のシリーズで、メキシコ国境地帯で厳しい現実に翻弄される人々の運命を描いています。
受賞コメント
2018年から今年1月まで、私は常に国境地帯を行き来しながらこのシリーズ作品に取り組んできました。人間らしさ、普遍的な人の感情に焦点を当てたかったのです。撮影した写真は3万5,000枚以上。その中から20点をLOBAへの応募作品として選びました。
── アレハンドロ・セガラ
新人部門「ライカ・オスカー・バルナック・ニューカマーアワード」受賞者
セルゲイ・ドゥヴェ(ドイツ)
プロフィール
Serghei Duve (Moldova)/© Alexander Duve
フォトジャーナリスト 1999年、モルドバ共和国 キシナウ生まれ。現在はドイツを拠点に活動。2021年よりVisual Journalism & Documentary Photography 修士課程在籍。
受賞作「Bright Memory」
「明るい記憶」というロシア語の表現に込められた感情を、写真というかたちで捉えたシリーズ。 日常のひとコマに「郷愁」や「分断」の記憶が滲む作品です。モルドバ生まれのドイツ人写真家 セルゲイ・ドゥヴェは、ロシア政府の支援を受ける国際的に未承認の地域 トランスニストリアにルーツを持つ家族の視点から、同地域との繋がりを写真で表現しています。トランス二ストリアは1990年、モルドバからの独立を宣言しました。
受賞コメント
私は、自分自身の個人的な経験を語ると同時に、それを入り口にしてより大きなテーマにも目を向けてもらえるような作品づくりを心がけています。タイトルに「Bright Memory」を選んだのは、2023年3月に祖父が亡くなった際、親戚からかけられた弔いの言葉がきっかけでした。そのとき使われたのが、まさにこのロシア語の表現“Swetlaja Pamiat(明るい記憶)”だったのです。ロシア語ではほとんど決まり文句のような表現ですが、私はその言葉に心を動かされ、このシリーズにふさわしいと感じました。
── セルゲイ・ドゥヴェ
受賞者とファイナリストの作品が世界各地で展示予定
両部門の受賞者は、現地時間2025年10月9日夜、ライカ本社にて行われた授賞式で表彰されました。ライカ・オスカー・バルナックアワードの授賞式は、「100 years of Leica I: Witness to a century (1925-2025) | ライカIの100年:世界を目撃し続けた1世紀」をテーマに掲げた「ライカI」誕生100周年記念行事を彩るもうひとつのハイライトとなりました。今年の受賞作品は、すべてエルンスト・ライツ・ミュージアムにて展示されます。この展覧会は、WhiteWall社協力のもと開催され、充実したカタログも併せて刊行されます。ウェッツラーでのこの写真展を皮切りに、LOBA 2025受賞者とファイナリストの作品は世界各地のライカギャラリーや写真フェスティバルでも順次展示される予定です。
2025年度ライカ・オスカー・バルナックアワード 情報
・ウェブサイトでは、コンテストの概要が閲覧可能。
・今年度の受賞者についての詳細が閲覧可能。
・過去の審査員と推薦者のインタビューも掲載されています。