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2025年度ライカ・オスカー・バルナックアワードの受賞者が決定

ライカカメラ社による、国際写真コンテスト「ライカ・オスカー・バルナックアワード(LOBA)」の受賞者が決定。LOBAは世界的な権威を誇る写真コンテストで、1980年から始まり、今回は45回目です。
授賞式が現地時間10月9日夜に、ドイツ・ウェッツラーのライカ本社にて開催され、受賞者2名が発表されました。厳正なる審査の結果、一般部門「ライカ・オスカー・バルナックアワード」の受賞者は、ベネズエラ出身で現在メキシコに拠点を置く写真家 アレハンドロ・セガラに決定。受賞作は「The Two Walls」で、世界約50カ国・120名の写真のエキスパートによって推薦された、約300件を超える応募作品の中から選ばれました。そして、30歳未満の若手写真家を対象とする新人部門「ライカ・オスカー・バルナック・ニューカマーアワード」に輝いたのは、ドイツ人写真家の セルゲイ・ドゥヴェ。受賞作は「Bright Memory」で、17か国にわたる20の国際的な教育機関および大学との連携により決定されました。

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目次

一般部門「ライカ・オスカー・バルナックアワード」受賞者

アレハンドロ・セガラ(ベネズエラ)

プロフィール

Alejandro Cegarra(Venezuela)/© Elsa Acare

フォトジャーナリスト・ドキュメンタリー写真家 1989年生まれ。現在メキシコシティを拠点に活動。World Press Photo Award(複数回受賞)、W. Eugene Smith Fund Fellowship、Pictures of the Year Internationalなどを受賞。

受賞作「The Two Walls」

01. A migrant walks on top of a parked freight train known as “The Beast” on the outskirts of Piedras Negras, Mexico 2023.From the series “The Two Walls”/© Alejandro Cegarra/LOBA 2025

03. Ruben Soto (right) a migrant from Venezuela, with Rosa Bello, a Honduran migrant, on top of the train known as “The Beast”. Samalayuca, Mexico 2023. From the series “The Two Walls”/© Alejandro Cegarra/LOBA 2025

10. Eddie, Carolina and their four-year-old daughter Valentina, hide inside of an abandoned house before reaching the Rio Bravo in Piedras Negras, Mexico 2023.From the series “The Two Walls”© Alejandro Cegarra/LOBA 2025

11. Asylum seekers wait at the gates of the Mexican Commission for Aid to Refugees (COMAR) for an asylum hearing. Tapachula, Mexico 2019.From the series “The Two Walls”
© Alejandro Cegarra/LOBA 2025

12. Ever Sosa carries his daughter on his shoulders as they cross the Suchiate River from Guatemala to Mexico, Mexico 2020. From the series “The Two Walls”© Alejandro Cegarra/LOBA 2025

かつて、亡命希望者にとって安全が保証される避難先として知られていたメキシコ。しかし近年、本国へのさらなる流入を阻止しようとする米国の移民排斥政策を支える形で、その立場は大きく変わりました。ベネズエラ出身で現在はメキシコに住むアレハンドロ・セガラは、モノクローム写真のシリーズで、メキシコ国境地帯で厳しい現実に翻弄される人々の運命を描いています。

受賞コメント

2018年から今年1月まで、私は常に国境地帯を行き来しながらこのシリーズ作品に取り組んできました。人間らしさ、普遍的な人の感情に焦点を当てたかったのです。撮影した写真は3万5,000枚以上。その中から20点をLOBAへの応募作品として選びました。

── アレハンドロ・セガラ

新人部門「ライカ・オスカー・バルナック・ニューカマーアワード」受賞者

セルゲイ・ドゥヴェ(ドイツ)

プロフィール

Serghei Duve (Moldova)/© Alexander Duve

フォトジャーナリスト 1999年、モルドバ共和国 キシナウ生まれ。現在はドイツを拠点に活動。2021年よりVisual Journalism & Documentary Photography 修士課程在籍。

受賞作「Bright Memory」

04. Valera and Artjom argue about the war in Ukraine. Tiraspol, Transnistria, Republic of Moldova 2023. From the series “Bright Memory”
© Serghei Duve/LOBA 2025

06. Valera on the sofa in his living room. Tiraspol, Transnistria, Republic of Moldova 2023. From the series “Bright Memory”/© Serghei Duve/LOBA 2025

12. Family shooting with an air rifle. Tiraspol, Transnistria, Republic of Moldova 2024. From the series “Bright Memory”/© Serghei Duve/LOBA 2025

14. Saying goodbye before the flight back to Germany. Tiraspol, Transnistria, Republic of Moldova 2024. From the series “Bright Memory”/© Serghei Duve/LOBA 2025

16. Sasha and Kira on their last evening before he
begins his military service. He would like to move to Europe. Tiraspol, Transnistria, Republic of Moldova 2023. From the series “Bright Memory”
© Serghei Duve/LOBA 2025

「明るい記憶」というロシア語の表現に込められた感情を、写真というかたちで捉えたシリーズ。 日常のひとコマに「郷愁」や「分断」の記憶が滲む作品です。モルドバ生まれのドイツ人写真家 セルゲイ・ドゥヴェは、ロシア政府の支援を受ける国際的に未承認の地域 トランスニストリアにルーツを持つ家族の視点から、同地域との繋がりを写真で表現しています。トランス二ストリアは1990年、モルドバからの独立を宣言しました。

受賞コメント

私は、自分自身の個人的な経験を語ると同時に、それを入り口にしてより大きなテーマにも目を向けてもらえるような作品づくりを心がけています。タイトルに「Bright Memory」を選んだのは、2023年3月に祖父が亡くなった際、親戚からかけられた弔いの言葉がきっかけでした。そのとき使われたのが、まさにこのロシア語の表現“Swetlaja Pamiat(明るい記憶)”だったのです。ロシア語ではほとんど決まり文句のような表現ですが、私はその言葉に心を動かされ、このシリーズにふさわしいと感じました。

── セルゲイ・ドゥヴェ

受賞者とファイナリストの作品が世界各地で展示予定

両部門の受賞者は、現地時間2025年10月9日夜、ライカ本社にて行われた授賞式で表彰されました。ライカ・オスカー・バルナックアワードの授賞式は、「100 years of Leica I: Witness to a century (1925-2025) | ライカIの100年:世界を目撃し続けた1世紀」をテーマに掲げた「ライカI」誕生100周年記念行事を彩るもうひとつのハイライトとなりました。今年の受賞作品は、すべてエルンスト・ライツ・ミュージアムにて展示されます。この展覧会は、WhiteWall社協力のもと開催され、充実したカタログも併せて刊行されます。ウェッツラーでのこの写真展を皮切りに、LOBA 2025受賞者とファイナリストの作品は世界各地のライカギャラリーや写真フェスティバルでも順次展示される予定です。

2025年度ライカ・オスカー・バルナックアワード 情報

・ウェブサイトでは、コンテストの概要が閲覧可能。
・今年度の受賞者についての詳細が閲覧可能。
・過去の審査員と推薦者のインタビューも掲載されています。

Leica Oskar Barnack Award 2025 WEB

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