目次
一般部門「ライカ・オスカー・バルナックアワード」受賞者
ダビデ・モンテレオネ(イタリア)
プロフィール
Davide Monteleone (Italy)
1974年イタリア・バジリカータ州ポテンツァ生まれ。現スイス在住。ビジュアルアーティスト兼研究者として、イメージデザインからビジュアルジャーナリズム、執筆まで幅広い領域で活躍。イギリスのロンドン大学ゴールドスミス・カレッジでアートと政治学の修士を取得しており、キュレーターとしても活動する傍ら、公立および私立の教育機関で教鞭もとる。2001年にはモスクワに移住して活動を開始。ここ数年は気候問題に関するテーマを重点的に取り上げ、経済的観点と地政学的観点が交わる部分にスポットを当てている。これまで手がけた作品は各地で展示されているほか、『ナショナルジオグラフィック』や『タイム』、『ザ・ニューヨーカー』などの雑誌にも定期的に寄稿。著書も多数。これまでに、フルブライト・ナショナルジオグラフィック・ストーリーテリング・フェローシップ、ナショナルジオグラフィック・ソサエティ・フェローシップ、アジア・ソサエティ・フェローシップを獲得しているほか、カルミニャック・フォトジャーナリズム・アワード、ヨーロピアン・フォト・エキシビション・アワード、ヨーロピアン・パブリッシャーズ・アワード・フォー・フォトグラフィー、世界報道写真財団の賞なども受賞。2020年度のLOBAでは「Sinomocene」で一般部門のファイナリストに選ばれた。
Portrait of Davide Monteleone © Lorenzo Poli
受賞作 『Critical Minerals – Geography of Energy』
エネルギー業界では今、再生可能エネルギーへの転換が進められていますが、それにまつわる問題点を指摘しているのが、現在も進行中のこの長期プロジェクト。チリ、コンゴ民主共和国、インドネシアの3カ国で撮影を敢行し、銅、リチウム、コバルトの採掘を具体例として取り上げて地政学的、社会的、生態的に複雑な影響を浮き彫りにしました。景観や採掘場など被写体は多種多様ですが、作品コンセプトの中心に据えられているのは現場で働く労働者たちです。
受賞コメント
新人部門「ライカ・オスカー・バルナック・ニューカマーアワード」受賞者
マリア・グツ(モルドバ)
プロフィール
Maria Guțu (Moldova)
1996年モルドバ生まれの写真家。2022年にロシア・サンクトペテルブルクのドクドクドク・スクール・オブ・モダン・フォトグラフィーを卒業、それ以前にはモルドバの首都キシナウにあるアカデミー・オブ・ミュージック・シアター・アンド・ビジュアル・アートで映画制作も学ぶ。2019年にはルーマニア・ブカレストのセンター・オブ・ドキュメンタリー・フォトグラフィー(CDFD)から助成金を獲得。2020年にはオンラインマガジン『ザ・インデペンデント・フォトグラファー』のピープル・フォトグラフィー・アワードのファイナリストに。2021年からは女性写真家のための非営利団体 ウィメン・フォトグラフのメンバーになっている。すでに写真関連の国際的な賞で何度もノミネートされている実績があるほか、さまざまなグループ展にも作品が出展されている。
Portrait of Maria Guțu © Maria Guțu
受賞作 『Homeland』
ポートレートを中心としたこの印象的な作品シリーズの原点は、モルドバの写真家 マリア・グツ自身の過去のストーリーです。モルドバでは、経済的な理由から子どもを残して国外へ出稼ぎに出る親が大勢いますが、作者の両親も同じで、作者は祖父母に育てられました。小国モルドバでは、過去20年に国外へ出稼ぎに出た人の数は人口のおよそ4分の1にのぼります。この作品ではルーツと何か、故郷とは何かという探求が詩的なビジュアルで綴られています。それらの意味は年月とともに大きく変わっていくのです。
受賞コメント
受賞者とファイナリストの作品が世界各地で展示予定
両部門の受賞者は、ドイツ・ウェッツラーで開催された「セレブレーション・オブ・フォトグラフィー」の一環として10月10日に行われた授賞式にて表彰されました。同時に、受賞者とファイナリストの全作品を展示する大規模写真展がエルンスト・ライツ・ミュージアムにて開催中です。この写真展を皮切りに、受賞者とファイナリストの作品は世界各地のライカギャラリーや写真フェスティバルでも順次展示される予定。また、受賞者とファイナリストの全作品と解説を紹介するカタログも出版されます。
2024年度ライカ・オスカー・バルナックアワード 情報
・ウェブサイトでは、コンテストの概要が閲覧可能。
・今年度の受賞者についての詳細が閲覧可能。
・過去の審査員と推薦者のインタビューも掲載されています。