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ファイナリスト
フォローグ・アラエイ(イラン)
Forough Alaei (Iran)/© Tina Nekoofar
写真家 1989年、イラン生まれ。2015年に写真を始め、イランで最も有名な経済日刊紙であるドニャ・エ・エグテサド紙のフォトジャーナリストとなる。イランの女性サッカーファンを撮影した作品で、2019年に世界報道写真(スポーツ部門)、POYi(マルチメディア日常生活部門)、イスタンブールフォトアワード(スポーツ部門)の3つの最優秀賞を受賞。
Underneath the Calm Streets of Iran
2022年9月に22歳の女性マフサ・アミニさんが警察に逮捕された後に急死した事件を契機に、イランでは国の法律に臆することなく反抗する女性が増えています。本作品シリーズは、「女性、命、自由」というスローガンどおりに胸を張って生きるイランの若い女性たちが描き出されています。
アヌシュ・ババジャニャン(ドイツ)
Anush Babajanyan (Germany)/© John Stanmeyer
写真家 1983年、アルメニア生まれ。現在はドイツに在住。ニューヨークタイムズ、ワシントンポスト、ナショナルジオグラフィック、フォーリンポリシーマガジンなど、国際的な出版物に多数の作品が掲載されている。2019年に、ナゴルノ・カラバフでの活動により、キヤノン女性フォトジャーナリスト助成金を受賞。中央アジアで撮影した「Battered Waters」プロジェクトで、2023年世界報道写真コンテストの長期プロジェクト部門を受賞。 写真エージェンシー「VIIフォト」のメンバー。
Nagorno-Karabakh War and Exodus
本作品シリーズの背景にあるのは、小コーカサス山脈の南東に位置するアゼルバイジャン領ナゴルノ・カラバフを長年疲弊させてきた紛争です。ナゴルノ・カラバフの住民は大多数がアルメニア人でしたが、2023年9月にアゼルバイジャンが軍事行動を起こしたことにより、膨大な数のアルメニア人住民が避難を余儀なくされました。これらの写真には、ナゴルノ・カラバフに暮らしていた家族が体験した恐怖と強制的な移動、そして現在直面している不確かな未来が描かれています。
エミリー・ガースウェイト(イギリス)
Emily Garthwaite (United Kingdom)/© Leon McCarron
フォトジャーナリスト 1993年生まれ。ライカ アンバサダー。ウェストミンスター大学でドキュメンタリー写真とフォトジャーナリズムの修士号を取得。スイスのダボスで開催された世界経済フォーラム、ドバイの「EXPO 2020」及び「Xposure Festival」、フランスの「Visa Pour L'image」及び「Palais Royale」、イギリスののライカ メイフェア ギャラリー、サウス バンク センター、サマセット ハウス、自然史博物館など、国際的に作品を発表している。
Tears of the Tigris
本作品シリーズは、トルコに源を発してイラクの河口へ達する全長1,900kmのチグリス川を巡りながら、川にまつわる政治的忠誠、民族的な絆、国境、変わりゆく地形が写真に収められています。チグリス川は現在、深刻な環境破壊にさらされていて、流域に暮らす約3,000万人の生活が影響を受けるおそれがあり、周辺地域の文化遺産も危機に瀕しています。
クセーニャ・イワノワ(ドイツ)
Ksenia Ivanova (Germany)/© Maria Pavlovskaya
ドキュメンタリー写真家 1990年、ロシア生まれ。現在はベルリンとサンクトペテルブルクを拠点に活動。ルーシー財団ドキュメンタリー・プロフェッショナル奨学金(受賞)、Pictures of the Year International、Online Storytelling project of the year (ファイナリスト)、The Picture of the Year Asia (第3位)などを受賞。
Between the Trees of the South Caucasus
2019年から2023年にかけて制作されました本作品シリーズは、未だ解決に至らない南コーカサスの紛争に深く切り込んでいます。2008年8月、ロシアは隣国ジョージアに軍事侵攻し、南オセチアとアブハジアの独立を承認しました。紛争に巻き込まれたこの地域に待つ未来とは、そしてそこに暮らす人びとへの影響とは。ウクライナ侵攻を見ればそれは明白ですが、この作品は今一度、そうした根本的な問いを私たちに投げかけています。
マリア・グツ (モルドバ)
Maria Guțu (Moldova)/© Maria Gutu
ドキュメンタリー写真家 1996年生まれ。モルドバ出身。2020年にキシナウ芸術アカデミーで映画映像を専攻して卒業。2018年にArtpilの30歳未満の女性写真家30人の一人に選ばれ、2020年にはThe Independent PhotographerのThe People Photo Awardのファイナリストに選ばれる。写真とコラージュの作品では、旧ソビエト連邦の領土、母国、辺境、そして人間と環境の関係を探求している。
Homeland
モルドバには親がいない状態で生活している子どもが大勢います。また、過去20年で国民の4分の1ほどが経済的な事情から他国へ移住しています。この作品シリーズの原点は、1996年に生まれて祖父母に育てられて成人した、モルドバ出身の写真家である作者自身の過去のストーリー。ルーツとは何か、故郷とは何かという探求が詩的にとらえられた作品に仕上がっています。それらの意味は、大人はもちろん子どもの中でも繰り返し変わり続けています。
ルーカス・レンシ (ブラジル)
Lucas Lenci (Brazil)/© Lucas Lenci
写真家 1980年生まれ。2000年代半ばに商業、編集、文化プロジェクトのエグゼクティブプロデューサーとして働いた後、写真家としてプロとしてのキャリアをスタート。2010年に写真へのアクセスを民主化するブラジルの先駆的なギャラリー「FOTOSPOT」を設立。著者として7冊の写真集を出版しており、その多くは国際的な賞を受賞している。
Inattention Era
日常生活は感覚への過度な負荷の連続だと感じる人は多いでしょう。本作品シリーズで写し出されているのは、何もない公共の空間。作者はそれを、処理できないほどの極度の情報過多のメタファーだと考えています。至る場所で生じている注意散漫や注意不足――そんな時代の様相がそこには表れています。
2024年度ライカ・オスカー・バルナックアワード 情報
・ウェブサイトでは、コンテストの概要が閲覧可能。
・過去の審査員と推薦者のインタビューも掲載されています。