澤村洋兵
フォトグラファー 1985年生まれ、京都府出身。美容師、和食料理人、バリスタ、珈琲焙煎士などさまざまな職業を経験してきた異色の経歴を持つフォトグラファー。企業案件や広告写真、オンラインサロン主宰やSNSブランディングアドバイザーなど幅広く活動。YouTube「キョウトボーイズ|写真と京都と男旅」も人気。
愛用カメラ:Nikon Z 5、Leica M10、RICOH GR Ⅲ
愛用レンズ:NIKKOR Z 50mm f/1.8 S、Leica summicron M35mm f2 ASPH、Leica summilux M50mm f1.4 1st
SIMPLE IS BEST
その人が持ってる良さで"魅せる写真"にしたいんです
「雲の切れ間から少し太陽が覗き出して、窓から光が差し込んできました。陰影が美しく、モデルさんもその状況を活かすような表情とポーズをしていたのでシャッターを切りました」。
「一緒に休憩していたら『撮ってくださいよー』と言われ撮影した1枚。彼のかっこよさは作るものじゃなくてそのままがいいと思っていたので、彼のホームであるタトゥースタジオと彼の好きなワゴニアをバックに」。
「背景に使うつもりだった白い布。実際は風が強く難しい状況でした。でもそのおかげで風になびく白い布の美しさを表現できました。またモデルさんの大人っぽさの中に溢れ出る少女感、純粋さが白い布とあいまって引き出された気がします」。
「彼は付き合いも長く一緒に写真を始めたメンバーの一人。彼の良さをストレートに見せたかったのでシンプルに切り取ることを意識。喋りながら撮ってたら彼らしい少しはにかんだ感じの笑顔が出たのでシャッターを切りました。爽やかな光と影もあいまってボクの知る彼らしい写真になったんじゃないかなと思います」。
「この日初めて会ったモデルさん。純粋な少女感が引き立つようにあえて背景がごちゃつくような構図に」。
その人らしさを大切に。写真はいつだってシンプルでいい
「ミシンに向かって新作のパンツのサンプルを作っているシーン。彼は普段喋ってるといつもニコニコしてて、かわいげがあるめっちゃ良いやつって感じなんです。けど服を作ってる時は真剣な眼差しでかっこいいんですよね、邪魔できない感じで。好きなことに向かい合ってる時の素のかっこよさみたいなのを引き出したかったです」。
人を撮る理由は「ただただ人って魅力的だから」という澤村さん。
「同じ人っていないですもん。しかも毎日のように変化し続ける、こんな面白い被写体ってなかなかないですよね」。
自分らしい魅せ方、表現とは「人として色々経験していく上で写真や表現に対する考え方は変わっていきますが、一貫してあるのは”その人らしさを大切に、シンプルに表現する”ということ」。
「作り込んだ作品は"変身"という意味で魅力があると思うんですけど、僕はその人が持ってる良さで"魅せる写真"にしたいんです。だからあえてスタイリストさんやヘアメイクさんをつけない撮影も多いです。撮影場所もその人のライフスタイルに関わっている場所がいいなと思うし、その人から自然に出てくる魅力を切り取りたいのでポージングの指示も極力しないようにしています。写真の中から嘘が減るので。あとは自分が魅力的な人間であることが必要だと思っています。相手が好奇心を持って接してくれますし、それが写真にも表れるので、結果として魅力的な写真に繋がっていくんじゃないかなって。だからこそ自分も写真以外の好きなことを追求するようにしています。なんかこの人かっこいいから自分も写真やってみようかな、なんて思ってもらえたら本望ですね。写真も含めかっこいい男になりたいんです」。
Information
『あの人が自分らしい写真を撮れる理由』
自分らしい写真表現の「芯」を手に入れるためのヒントとなる1冊。
澤村洋兵著
(インプレスブックス)
1,980円(税込)
GENIC vol.65 "魅せる"ポートレート
Edit:Megumi Toyosawa
GENIC vol.65
GENIC1月号のテーマは「だから、もっと人を撮る」。
なぜ人を撮るのか?それは、人に心を動かされるから。そばにいる大切な人に、ときどき顔を合わせる馴染みの人に、離れたところに暮らす大好きな人に、出会ったばかりのはじめましての人に。感情が動くから、カメラを向け、シャッターを切る。vol.59以来のポートレート特集、最新版です。