toshibo
写真家/会社員 珍スポットやB級スポットと言われる人目につかないスポットを紹介するブログの運営をしている中で、廃墟に強く惹かれるように。これまで1000を超える廃墟や廃墟に親和性のある場所を訪れ、撮影。廃墟の写真集などにも作品が採用されている。
愛用カメラ:Sony α7R III、DJI Mavic3、iPhone 14 Pro Max
愛用レンズ:ZEISS Loxia 2.8/21、SIGMA 24-35mm F2 DG HSM | Art、SIGMA 14mm F1.8 DG HSM | Art
Q.toshiboさん流!“手動HDR合成”のやり方を教えてください!
A.LightroomのHDRプリセットは使わずに、Photoshopを駆使!
写真の隅から隅まで、限りなく肉眼で見たままに表現したい
「廃墟の隅から隅まで、なるべく肉眼で見た印象を一枚に込めたいという思いから、写真はすべて“HDR(ハイダイナミックレンジ)合成”で仕上げるようになりました。HDRは、例えば室内から窓を撮るような、明暗差の高い場所の撮影において、室内も窓の外の景色も両方写したい!というような時に最適です。僕がやっている写真を合成して行うHDRは、正直めちゃくちゃめんどくさいんですけど、じゃあ何でやるのかと言ったら、自分が納得できるかどうかに尽きます」。
この手法だけでやり続けて6年。ほどんど意地だと思っています
「HDR自体は機能として搭載されているカメラもありますし、LightroomにもHDRプリセットがあります。でもなんとなく使いたくなくて、一度も使ったことがありません。なので、ほとんど意地だと思っています(笑)。HDRは廃墟の風景にマッチしていると感じていますが、その他の写真も基本的に表に出すものは同じ処理をしています。理由としては、単純に自分のテイストを守りたいというだけですが、一枚一枚やるからこその出来栄えがあると思っています。この手法だけでやり続けてなんだかんだ6年、その間でブラッシュアップして今に至るので、これから先進化することがあっても、別の方法を試すことはしないと思いますね」。
STEP.1:まずはLightroomでアニメ調に現像する
「元画像。ハイライト部分が白トビしないようアンダーめに撮影しています」。
「コントラストを下げて明暗差をなくしていく、HDRにも近い、“アニメ調”の現像方法があります。最初にLightroomで、RAWで撮った元の写真にアニメ調と近いパラメータを当て、現像します。データ管理のしやすさからLightroomを使っていますが、この段階からPhotoshopでもOK」。
STEP.2:Photoshopに移動し、EV+0.5と-0.5の写真を複製
「STEP.1で現像したベースの写真をPhotoshopに持って行って、EV値(明るさ)+0.5と-0.5の写真を複製します。Lightroomでも写真の複製や合成ができますが、Photoshopだと手動で行うことができます」。
STEP.3:ベースの写真と複製した2枚の計3枚を合成したら完成
「STEP.1で現像したベースの写真に、STEP.2で作ったプラスの方からは明るい部分、マイナスの方から暗い部分を抜き出して合成する。ちなみに、僕はRaya ProのInstaMaskという機能を使って明るい部分と暗い部分の抜き出しをしていますが、Photoshopの色域指定でも同じことができます。合成したら細かい部分を調整し、完成です。ちなみにHDRは三脚を使ってブラケットで撮るのが当たり前なところがありますが、僕ももちろん三脚も使うけれど、手持ちで一枚の方が俄然多いです」。
GENIC vol.67【撮影と表現のQ&A】toshibo/“手動HDR合成”のやり方を教えてください!
Edit:Chikako Kawamoto
GENIC vol.67
7月号の特集は「知ることは次の扉を開くこと ~撮影と表現のQ&A~」。表現において、“感覚”は大切。“自己流”も大切。でも「知る」ことは、前に進むためにすごく重要です。これまで知らずにいたことに目を向けて、“なんとなく”で過ぎてきた日々に終止符を打って。インプットから始まる、次の世界へ!
GENIC初のQ&A特集、写真家と表現者が答える81問、完全保存版です。