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プロフィール

林典子
ドキュメンタリー写真家。ジェンダーと記憶をテーマに活動し、近年は日本と朝鮮民主主義人民共和国の歴史的関係における個人の記憶と場所の概念を探究する長期プロジェクトに取り組んでいる。主な著書に「フォト・ドキュメンタリー 朝鮮に渡った「日本人妻」 - 60年の記憶」(岩波新書)、「キルギスの誘拐結婚」(日経ナショナル ジオグラフィック社)、「ヤズディの祈り」(赤々舎)など。英文芸誌GRANTA、New York Times紙、米National Geographic誌、独Stern誌、英The Guardianなどに寄稿。本展の作品は、朝日新聞「with Planet」の取材で撮影。英フォトエージェンシーPanos Pictures所属。
ステートメントと展示作品の一部をご紹介

アフガニスタンでは、花は人生の儚さや繊細さ、生命の象徴として、古くから美術や詩に描かれてきた。花を意味するペルシャ語「グル(gul)」は女の子の名前としても使われ、そこには、自然や精神的な美しさへの深い敬意が込められているという。2021年にタリバンが政権を掌握して以降、女性の社会参加は制限され、高等教育も禁止された。唯一例外として認められていた助産教育も2024年末に停止された。
それでも、外の世界でベールに包まれた女性たちの姿とは対照的に、彼女たちが暮らす部屋に足を踏み入れると、壁やクッション、窓辺にまでもが花模様で彩られ、鮮やかな色が広がっていた。2023年、私は北東部バダフシャン州の田舎の村で出会った、ある女性がかつてベッドシーツとして使っていた花柄の布を手にアフガニスタン各地を巡り、女性たちの言葉を記録し、その布を背景に一人一人の肖像を撮影した。
絶え間なく続いてきた戦争や、沈黙を強いられる厳しい時代の中でさえ、私が出会った女性たちは心の奥深くで抑圧に抗いながらも、現実を受け入れ、折り合いをつけ、あるいは、「わずかでも、変化をもたらせるはずだ」と信じながら、それぞれの人生と対峙していた。その姿は、灰の中で決して枯れることなく咲き続ける花のようだった。





林典子 作品展「In the Ashes, She Blooms — Portraits of Afghan Women」情報
開催日時
2025年10月24日(金)~10月30日(木)11:00~19:00
入場料
無料
会場

ソニーイメージングギャラリー
- 〒104-0061 東京都中央区銀座5-8-1 銀座プレイス6階
- Google Map
行き方・アクセス
<電車>
東京メトロ銀座線・丸ノ内線・日比谷線「銀座駅」A4出口直結
東京メトロ有楽町線「銀座一丁目駅」8・9番出口から徒歩で約6分
JR山手線・京浜東北線「有楽町駅」から徒歩で約8分