目次
旅路で思い出す、私と旅することの関係性
ふたたび旅をはじめ、訪れた場所で受ける感動、旅の醍醐味というものを思い出してきた。
日本の外に出られない2年間で、海外への旅は、すでに“懐かしいあの頃”という感覚になっていた。
楽しかったなぁ、またいつか行けることができたらそれは幸せだけど。と思いながらも、日常にも心のときめきや冒険が溢れていると感じられるようになっていた(旅で培った物の見方やフィルターは、外側じゃなくて自分の内側にそれはあるような感じ)。
けれど、やっぱり外に出てみると、その場所なりの空気感、日本とは違う人の活気や自分では作り出せないベクトルがあって。これこれ、この感じ。奥底から湧いてくる純粋な気持ちに心が満たされていく。
やっぱり海外への旅は私の原動力。旅中にそんなことを思ったのでした。
マヤファミリーと過ごすひと時
マヤ先住民族のファミリーのお家で彼らと生活した時のことを書いていきます。
首都グアテマラシティから車で3時間ほど山道を越えて、やっと辿り着いたソロラ県。
この街から眺める先には、碧く澄んだアティトラン湖があり、その周辺にはマヤ文明の名残のある村が点在しています。私が訪れたのは、パナハッチェルという場所からローカルバスに乗って10分ほどの場所にある集落。標高1900メートルの場所です。
滞在先は、ホームステイとして観光客を受け入れているところを事前に調べました。
この集落は、観光地の色が全くない場所。すれ違う人たちは、みんなマヤ先住民族の人々です。気さくに私たちに挨拶をしてくれました。
ステイ先の家に着くと、さっそくティータイムのおもてなし。パンと「チャンプラーダス」というグアテマラのクッキーをいただきました。
色鮮やかな、手作りハウス
学校がお休みの間、私たちの案内人としておもてなしと、集落の案内をしてくれたジャック。
フィルムで撮影した、少しシャイな彼のキラキラした笑顔が溢れる1枚は宝物。
セルフビルドしたという家の中は、可愛い色使いやインテリアが並びます。散らかっていてごめんねと言うけれど、カラフルな食器やバケツが並ぶキッチンは、中米のお家にお邪魔させていただいているな〜と嬉しくなる。
数日前から水が止まっているそうで、ここのバケツを使って生活。
集落の離れにある水場からこれだけ汲んでくるのはとても大変なこと。家族と分け合いながら、大切に大切に使わせていただきました。
数日間着ていて、汗が染み込んで少し臭う衣類をこの場所で洗濯させてもらいました。もちろん少ないお水で工夫して。洗濯機という、スイッチ一つで洗浄→すすぎ→脱水までしてくれる便利な機械がある環境に住んでいる私たち。バケツの中で洗っている時、また綺麗に着てあげようと服に愛着が湧く気がするし、洗った時に出る汚れを見て、今日も一日よく頑張ったなとも思える。この感情は私にとって生活の豊かさの一つかな。
数日前までいたコスタリカでは、湿度が高くて洗濯物を思いきり干せる場所がなかったから、屋上でカラッとした太陽の下でする洗濯干しが最高に気持ちよかった。鳥小屋にはペットの七面鳥。ジャックが楽しそうに庭を散歩させてあげていました。
グアテマラの、どの家庭でも見かけた水汲みのツボ。
とても可愛くて便利。市場で見つけて日本に買って帰りました。帰国する際は、常に一緒だったから、まるで魔法の壺を持ち歩いているかのような姿に。
ディナータイムにみんなで食卓を囲む
パンデミック前は定期的に人を迎え入れていたそうで、ゲストノートにはたくさんのメッセージや写真が。
今はまだ数少ないお客さんのみ。この日もお母さんは、朝早くから隣の村の建設現場へと働きに出るお父さんへお弁当を作り、ジャックのお姉ちゃんは集落にある商店へと働きに行っていました。
家族が家を空けている間は私も街に出ていたけど、帰宅後は夕食を一緒にとることができて、お母さんの手作り料理をいただけました。
家族間ではスペイン語ではなく、カクチケル語を話していました。スペイン語とは全く異なっていて、教えてもらっても一つの文字を発音することさえ難しかったです。
日本のアニメはこの集落でも人気のようで、キャラクターの絵を描いたら大喜びしてくれました。共通の話題が持てると一気に距離が近くなって嬉しい。世界に誇れる日本のカルチャーに感謝。
グアテマラの朝支度、トルティーヤ作り
グアテマラの主食はトウモロコシから作るトルティーヤ。
南の島のココナッツを削る朝、東南アジアのヌードルスープの出汁を取る朝、
いままで色んな国の朝の支度を見てきたけど、
グアテマラの女性たちの朝の仕事は、トウモロコシの粉を混ぜてこねること。ここから一日が始まります。
水で手を少し湿らせて、丸い生地をパタパタと左右の手で叩いて伸ばしていく。
簡単そうに見えるけど、これが難しい。
スクランブルエッグと、グアテマラの国民食「フリホーレス」という小豆のようなものを煮たペースト。日本のこしあんが塩味になった感じです。
できたての、ホカホカのトルティーヤはトウモロコシの味がしっかりしてかなりの腹持ち。お皿の横にはコーヒーを添えて。おいしい朝ごはん。
マリンバの音色と共に過ごした夜
マヤの民族衣装を着せてもらいました。こういう体験ってとっても嬉しい。パパが一生懸命ピントを合わせようとして撮ってくれた1枚。この写真もみんなと楽しく過ごした時間を閉じ込めた宝物。
お姉ちゃんが、私の髪の毛を編み込んでくれました。あなたはこれが似合うと思う、と着せてくれたレースのトップスもゴージャスでいいでしょう。
国のシンボルとなっているマリンバの音色に合わせて、グアテマラの舞踊も教えてもらいました。意外と難しいステップを踏みながら輪になって踊ります。はじまりの踊り〜おわりの踊りまで何章かに分けて順番があり、みんなでケラケラ笑いながら楽しい夜を過ごしました。
私が自分の部屋に戻った後も、その日あったことを報告しあって、楽しそうに家族の時間を過ごしている様子に穏やかな気持ちになります。
この家の住人の1人となって、身近な生活に触れることができました。しばらくの間、訪れた国の人々と新しく出会ったり、交流したりすることができなかったので、ふたたびこのような時間を持てたことを心から嬉しく思います。
ネットワークを持たない彼らとは、メッセージのやり取りができないけれど、これからも幸せに暮らしていってほしいと遠く離れた日本から願っています。
コスタリカ、グアテマラと4回にわたって連載した AOIのふたたび旅はじめ。日本から思いっきり離れた地へ赴いて、日本にはないスケールの大陸に立ち、自然の中に身を置き、たくさんの感動や刺激を受けました。
見て感じた光景、出会った体験そして旅先で触れた愛情は、一生の経験と宝物。これからの自分の在り方のヒントになっていくことでしょう。
言葉という枠には入りきらない、たくさんの想いたちがまだまだ自分の中にはありますが、旅の記憶を綴っていき、改めて旅の思い出に浸ることができました。
最後まで読んでいただき、ありがとうございます。
みなさんにとっての人生の旅も、かけがえのないものとなりますように。
Have a beautiful earth journey.
END
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プロトラベラー/動画クリエイター
東京と高知を拠点に、旅とライフスタイルをカメラで表現するクリエイター。旅先や日常のワンシーンからインスピレーションを受け、独自の目線で切り取ったエモーショナルな作品を発信している。