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コスタリカで憧れのジャングルステイ
国のほとんどが緑に溢れているコスタリカ。
熱帯雨林が広がるサラピキでは、日本で見ることのできない色彩豊かなカラーリングを身にまとった生物に出会えます。
私も豊かなジャングルに棲む生き物に出会うことを夢見て、はるばるやってきたうちの1人。バックパックにカメラと数日分の服だけを詰めて、日本からコスタリカへドロップイン。
レンタカーでの周遊編に続き、今回はジャングルにステイした模様をお届けします。
夫婦が手作りしたエコロッジ「ピエレジャガーデン」へ
コスタリカ出身のウイリアムと、クリスティーナ夫婦が本来の森を取り戻そうと、自分たちの手でジャングルを育てた私営の保護施設、ピエレジャガーデンへ訪れました。
WEBサイトにあるクリスティーナのWhatsAppナンバーを立ち上げてコンタクトを取り、ブッキングすると、インフォメーションと共にまさかの「Arigato Gozaimasu ! 」の返事が。パンデミック前は日本から野鳥観察をしに来る人がよくいたらしい。日本語のフレーズをいくつか知っていて、一気に親近感。
ジャングルには野生生物が棲み、植物がモリモリと生い茂っています。彼らが育んだこの愛のジャングルは、エコロッジとしてゲストを迎え入れています。
コスタリカでは、だいたいの野生動物は保護地区の中で暮らしていて、観察するにはツアーに参加しなければならないことがほとんど。蝶々も見たいし、哺乳動物にも出逢いたい!となると、それぞれの目的地へ行くことになるけど、ピエレジャガーデンには私の見たい、体験したい!が全て揃っていました。
ジャングルの中には、手作りの高床式ロッジハウスがふたつ。
テラスにあるハンモックに揺られながら、聞こえてくる鳥の鳴き声や、何なのかわからない生き物の遠吠えに、胸が高鳴ります。
シャワーも完備(お湯は出たらラッキー)。ベッドには蚊帳が設置されているので、虫刺されが気になる人も安心ですね。
夜には明かりを求めて虫やコウモリが遊びに来たり、たまにヘビも遊びに来たりすることも。みんなで過ごす、最高なジャングル生活のはじまり。
生き物を大切に想う人たちが集まるこの場所は、ゆったりと穏やかな空気が漂っていました。
夜のジャングルを探索できるナイトツアーへ
暗くなってくるとクリスティーナから「さぁ、夜の生き物を見に行くわよ」とナイトツアーのお誘いが来ました。
私が訪れた5月は、夜になると、スコールが降ることがしばしば。雨が降るたびにみずみずしさを増すジャングル。雨ガッパに懐中電灯を持って、いざジャングルを探索。
クリスティーナがガイドとなって、私たちを案内してくれます。「あの木の上を見て!」とスコープを覗かせてもらった先には親子のナマケモノ。なんて可愛いんだろう。
クリスティーナは生き物のことをとてもよく知っていて、私たち以上に夢中になって解説してくれます。目をキラキラと輝かせ満面の笑みで話してくれる彼女からは、心の底から生き物が好きだということが伝わってきます。明るく気さくな人柄は誰からも親しまれる彼女の魅力。
ナイトツアーでは、アルマジロやイグアナ、ホタルをはじめとする、夜に活動的になる生き物を見ることができました。
ピエレジャガーデンのキッチンより
朝ごはんは地元のフルーツが盛りだくさん。手作りカカオがトッピングされているバナナがとってもおいしかったです。
クローズアップの写真を撮り忘れてしまいましたが、右下のお赤飯のようなものが、コスタリカの国民食Gallo Pinto (ガジョピント)という黒豆ごはん。日本人にも馴染みのある味わい。
バナナのココナッツソテーやオムレツ、たくさんのフルーツとフレッシュジュースをいただきました。
私たちの滞在中は、毎回近所の方が手料理を作りに来てくれました。
私の数少ないスペイン語ボキャブラリーの中からひっぱりだしてきたワードを使って、料理のお話で盛り上がりました。
旅先で色んなキッチンを覗かせてもらうことがあるけど、ピエレジャガーデンのキッチンで発見して嬉しかったのが「チャーテ」。
チャーテはハヤトウリのこと。私の祖父母の土地でもチャーテという名で馴染みのある、ウリ。呼び方も同じで嬉しくなりました。
カカオからのチョコレート作り
コスタリカは、カカオ栽培も有名。
カカオがいい状態で育つには高温多湿が条件で、年間の降水量は最低でも1000mm以上が必要。そして日陰があると良いそう。ピエレジャガーデンの気候は、カカオにとっても好条件。あちらこちらで、ワイルドに育っています。
ピエレジャガーデンの自然の恵みをたっぷり浴びて、色づき丸みをおびたカカオ。
これが、私たちが普段食べているチョコレートの原料になっているカカオ。
カカオポッドと呼ばれるラグビーボールのような形の堅い殻の中には、パルプという白い果肉があり、その中にカカオ豆が入っています。
カカオパルプはこのまま食べることもできて、ふんわりした食感で甘酸っぱくておいしい。このまま食べられる地域が羨ましい。
カカオパルプの中にあるカカオ豆をローストすると、馴染みのあるチョコレートの香りが漂ってきます。
ローストしたカカオ豆の皮を取り除き、中身を砕いてカカオニブに。そしてさらに細かくパウダー状にしてカカオマスに。
クリスティーナはコンデンスミルクを加えて甘みを足し、ホットチョコレートをおもてなししてくれました。
このホットチョコレートが、今回の旅の忘れられない味に。日本に帰ってから、この味をもう一度味わいたくて何度か試行錯誤しているところですが、クリスティーナのようなホットチョコレートになかなかならない。
ドームの中で暮らす蝶
ピエレジャフォレスト内では、蝶は野鳥などに捕食されてしまうことがあるので、ドーム状のハウスの中で飼育されています。
日本にいる時も蝶園へよく行っていたので、コスタリカで出逢える蝶もとても楽しみにしていました。
あざやかな青い発色の、モルフォ蝶やユニークな蝶たちがドームの中で飛び回っています。
ピエレジャフォレストで飼育された蝶のさなぎは、大切に管理され、世界各地の博物館へと運ばれていくそうです。
シロヘラコウモリと遭遇
コスタリカのジャングルに棲み着くキュートな生き物、シロヘラコウモリに遭遇することができました。シロヘラコウモリは、大きな葉っぱの裏に集まって暮らしています。
小さくてふわふわで、ピョンとした耳がチャームポイント。夜行性のため、昼間はこのように木の裏に隠れて寝ています。夜になると、巣を離れフルーツを探しに飛び立ちます。
バナナの葉っぱのような形をした、ヘリコニアという特定の木の裏を住処にします。時間が経つと葉も段々としおれてくるので、定期的に住処を変えるそう。
ピエレジャガーデンで感じたこといろいろ
今回、たくさんお世話になったウイリアムとクリスティーナ。このジャングルの生き物たちをホストしている2人は、ジャングルの整備や私たちゲストのもてなしに一生懸命でした。すっかり仲良くなって、帰る頃には寂しくて寂しくて。
「もうあなたたちはファミリーなんだから、好きなだけこの場所にいなさい」と言ってくれたり、車のタイヤから異音がしてるからとオイルを売っている場所を探しに行ってくれたり。みんなでケラケラ笑って過ごして、何から何までお世話になりました。遠く離れた地に、あたたかい父と母を持ったような気分です。
ただ植物や動物を愛でて楽しんでいるだけではなく、そうすることが自分たちの心の豊かさにも繋がっていくことを幸せに思っている2人。そして誰かに同じように楽しんでもらおうと提供している2人。
ピエレジャガーデンを知り、2人に出会い、コスタリカに棲むさまざまな生物を観察し、今まで自分にはなかった領域の、新しい愛情の深さを知ることができました。
旅先で触れるいろんな愛の形。
この旅でも素敵な愛に触れることができました。
私は無意識のうちに、愛が深い人の元へ導かれるような旅をしているのかもしれないな、と思いました。
豊富な自然資源とそこに暮らす生き物の楽園、コスタリカ。どんなに想像しても到底追いつけない生態系で溢れていました。
たくさんの動物や植物たちが暮らす環境やその背景を目の前で見てワクワクし、命の奥深さを知り、自分がいかに世の中を平面的にしか見ていなかったかを改めて考えさせられ、再認識できたコスタリカ。
その場所へ足を運んでしか知ることができないことがたくさんあります。
いくつ年を重ねても、自分の中の新しい発見や気づきにつながることに対して、積極的でありたいです。
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プロトラベラー/動画クリエイター
東京と高知を拠点に、旅とライフスタイルをカメラで表現するクリエイター。旅先や日常のワンシーンからインスピレーションを受け、独自の目線で切り取ったエモーショナルな作品を発信している。