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東京路地裏散歩 酒井貴弘

透明感のあるポートレートで被写体の魅力を最大化する、フォトグラファーの酒井貴弘。表舞台に立つ人々の、普段とは違う表情や空気感、路地裏の懐かしさや日常にある面白さを伝えたい。そういう思いから、お互い自然体で撮影することを大切にしている、と語る酒井さんに、プロジェクトについて伺いました。

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目次

プロフィール

酒井貴弘

フォトグラファー 長野県出身。関東を拠点に活動。ソーシャルメディア時代ならではのアマチュア写真活動から、2019年にフォトグラファーとして独立。人物写真を主軸に広告や漫画誌、カルチャー誌、写真集、映像など分断のない領域で活動の幅を広げている。SNSでのフォロワー数は、延べ18万に及ぶ。近作は、NGT48 本間日向1st写真集『ずっと、会いたかった』、西垣匠1st写真集『匠-sho-』、「私が撮りたかった女優展Vol.3」参加など。2024年4月よりXICOマネジメント所属。
愛用カメラ:Leica M(Typ262)、Nikon Z6II、FUJIFILM GFX100S
愛用レンズ:Summilux-M f1.4/50mm ASPH.

東京路地裏散歩

お互いできるだけ自然体で、散歩の間だけでも友達のような感覚に

Model:yukino

Model:福井梨莉華

Model:実熊瑠琉

「以前から街中をモデルさんと散歩しながら撮影していましたが、“東京の路地裏”と“散歩”というワードを組み合わせると語呂がいいなとふと思いつき、2021年頃、名前をつけてシリーズ的に始めることに。企画になっているほうがプライベートで撮影を組みやすくなるなと思ったこともプロジェクト化した理由のひとつです。僕は東京という大都会の中にある華やかではない日常にこそ、そこに暮らす人々の物語が詰まっていると感じています。だからこそ、その路地裏で撮影することに意味がある。普段、表舞台に立つ人々の、いつもとは異なる表情や空気感。路地裏の懐かしさや日常にある面白さを伝えたい。そういう思いから、お互い自然体で撮影することを大切にしています。普段しないようなふざけたことをしてもらう一方、適当なタイミングでシャッターを切ることも意識。可能であればモデルさんには自前メイクや私服で撮影させてもらえるようお願いしています。ロケハンをしない、行ったことない駅に行く、といった行き当たりばったりを楽しむことも心がけ、機材も最小限に。被写体の人選は一緒に撮影したいなと思う人に声をかけたり、仕事の現場で会ってプライベートでも撮ろうという話になったり、至ってシンプル。散歩の間だけでも友達のような感覚になれるよう、カジュアルに接するようにしています」。

写真において大切にしているのが「セレンディピティ」であることに気づいた

Model:沢田京海

「『東京路地裏散歩』を始めて4年目になりますが、自分なりの撮り方が身についてきて、写真への理解が深まったと思います。その場でのセッション感や街角での偶然の出会いなど、自分が写真において“セレンディピティ(思いがけない幸運の意味)”を大切にしていることにも気づきました」。

撮影を生活の習慣にできること。自分自身を知ってもらえること。それがプロジェクトの意義

Model:岩波詩織

「プライベートでモデルさんと撮影する良いきっかけとなっており、仕事だけでなく撮影を生活の習慣にできていることにも意義を感じています。2025年4月、芸能プロダクションsejuさんと『東京路地裏散歩』のコラボ展示を実現できたので、今後は単独での写真展を開催したいです。また、いつか写真集として書籍化できたらいいですね。とはいえ明確なゴールは設けておらず、細々とでも長く続けていくことが理想だと考えています」。

タイトルは僕にとってはプロジェクトの核。決まらないと進まないこともある

Model:実熊瑠琉

「オリジナルプロジェクトを行うことの大きな意味は、自分自身を発信する場を作れるということ。“自分はこういう人間で、こういう写真を撮る”ということを伝えることができます。僕の場合はタイトルやテーマをまず決めて撮り始め、続けるうちに徐々に形になっていくことが多いです。逆にタイトルが決まらないと進まないこともあり、自分にとってはプロジェクトの核でもあり、継続する上でとても大切です。完成形は企画ごとに異なり、形として発表した方が良い場合もあれば、続けること自体が目的になることも。発表しない選択肢があってもよくて、理想やゴールは固定概念で決めるより、プロジェクトの意味合いから自然と見えてくるものなのかなと思っています。テーマが明確でなくても続けていくうちに見えてくることもありますし、逆に短期集中でやり切るスタイルが合う場合もあるかなと。いずれにせよワンテーマで撮り続けることで、被写体とより深く向き合うことができると思います。また自分の写真と向き合うきっかけになり、写真の楽しさにも難しさにも出会うことができる。結果として成長に繋がるはずです」。

一番大切なのは続けること。同時にそれが一番難しい

Model:向井怜衣

「自分から発信できるプロジェクトを持っていると、撮る楽しさが増すのはもちろん、認知度向上にも繋がると感じています。そこから自分自身のブランディングが生まれ、それが仕事の依頼に繋がることもあるからです。松本穂香さんの10周年カレンダーを撮影した際には、編集の方から、路地裏散歩の企画で撮りましょう、と提案があり、実際そのテイストで撮影することができました。個人的に行っているプロジェクトが求められ、仕事として派生したことがとてもうれしかったです。今、『東京路地裏散歩』のほかに、和室アパートのアトリエで撮影を続けるシリーズ、コンテンポラリーダンサーの身体表現を撮るプロジェクト、世界各国でのスナップをワンテーマでまとめるプロジェクトなどを進めていますが、ともかくも一番大切なのは、続けること。同時にそれが一番難しいとも感じていますが、時間や労力をかけるからこそ見えてくるものがある。だから難しく考えすぎず、ちょっとしたことでも始めてみると良いと思います」。

GENIC vol.76 【東京路地裏散歩】

GENIC vol.76

2025年10月号のテーマは「 撮ることのその先へ This is My Project.」

あなたは「何」を撮っていますか? 自分の表現を説明できますか?
タイトルをつけることができますか?
オリジナルのプロジェクトを持つことは、自分の写真を「言語化」すること。
1つの企画によってまとめられた作品群からは、“作家の声”が聞こえてきます。

あなたも、写真プロジェクトを始めませんか。
一歩進む。撮ることのその先へ。

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