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第3回:禅の里「永平寺町」で心洗われる新緑に会う
第3回は、禅の里と呼ばれる「永平寺町」。長い歴史を持つ曹洞宗大本山永平寺のおひざもととして栄えたこの町は、豊かな緑や九頭竜川などの自然に恵まれた場所でもあります。禅の心に触れ、爽やかな新緑に囲まれれば、きっとリフレッシュできるはず。生命力あふれる木々のパワーをもらい、心身共に軽くなるような旅をしたい人におすすめです。
「禅の里」で巡りたい!心身共に癒される観光スポット
凛とした緑に心打たれる「曹洞宗大本山永平寺」
曹洞宗の大本山である「永平寺」。鎌倉時代に曹洞宗の開祖、道元禅師によって開かれた、禅修⾏の道場です。永平寺へ向かう参道は歴史や景観を大切に整えられており、木造建築と豊かな緑に囲まれた道で、つい深呼吸をしたくなるほど。
永平寺の境内では、日々多くの修行僧が修行に励んでいます。すれ違うたびに手を合わせ会釈してくださる姿に、思わずこちらの背筋も伸びるよう。静寂の中、風の吹く音や鳥の鳴き声に囲まれて眺める新緑は、ひときわ青々と鮮やかに感じられます。
階段状の廊下の窓から見える新緑のコントラストも美しく、窓枠で切り取られた緑はまるで絵画のようです。豊かな新緑に癒されて、境内を出る頃には不思議と心まで軽くなっているはず。
曹洞宗大本山永平寺 基本データ
<住所>福井県吉田郡永平寺町志比5-15
<TEL>0776-63-3102
<参拝時間>8:30~16:30
※行持の都合により変更あり
<休業日>年中無休
※行持の都合により変更あり
<駐車場>
※駐車場は永平寺半杓橋すぐ近くのコインパーキングを利用
拝観料
大人 500円
小・中学生 200円
※坐禅の体験などは別途
行き方・アクセス
<車>中部縦貫自動車道「永平寺参道IC」から約10分
<電車・バス>えちぜん鉄道「永平寺口駅」から京福バスで終点下車、徒歩で約5分
町を一望できる「松岡公園」でひと休み
小高い丘に位置する「松岡公園」。永平寺町を一望できるスポットです。ひろびろとした公園内には気持ちのよい風が吹き抜けます。
園内のベンチをよく見ると……じつは恐竜モチーフ!恐竜で有名な福井県ならではの遊び心に、思わずくすっと笑みが。
公園の奥には、新緑を眺めながら一息つけるスペースも。しっかりとした屋根があるので、強い日差しや急な雨のときでも安心です。生い茂る緑に癒されながら、道の駅 恐⻯渓谷かつやまで購入した「恐竜発掘プリン」でおやつタイムもおすすめ。
松岡公園 基本データ
<住所>福井県吉田郡永平寺町松岡室
<TEL>0776-61-3948(永平寺町建設課)
<駐車場>あり
入場料
無料
行き方・アクセス
<車>北陸自動車道「福井北IC」から約5分
<電車>えちぜん鉄道「松岡駅」から徒歩で約10分
美しい水から生み出されるこだわりのお酒「吉田酒造」
「目が届く・手が届く・心が届く」を掲げて酒造りを行う「吉田酒造」。
名物の「白龍」は、永平寺町の豊かな自然の中で育った地元の米を使用しており、米本来の味わいを感じる仕上がり。
可愛らしい缶ボトル入りのDRAGON KISSは、フルーティーで爽快なスパークリング。発泡性の日本酒で新感覚の味わいです。すっきりと飲みやすく、ほのかな甘さで、普段日本酒に馴染みがない人にもおすすめ。初夏にぴったりです。
吉田酒造 基本データ
<住所>福井県吉田郡永平寺町北島7-22
<TEL>0776-64-2015
<営業時間>10:00〜17:00
<休業日>毎週水曜日、1月1日~3日
<駐車場>あり
行き方・アクセス
<車>北陸自動車道「福井北IC」から約10分、中部縦貫自動車道「上志比IC」から約3分
<電車>えちぜん鉄道「越前野中駅」下車、徒歩で約5分
心も喜ぶ、永平寺町グルメを味わう
「九頭竜天然鮎茶屋 さぎり屋」で清流の恵みを堪能
永平寺町を流れる清流、九頭竜川の恵みを心ゆくまで味わえるお店「さぎり屋」。名物である天然鮎の塩焼きは、「あつあつを味わってほしい」という思いのもと、注文を受けてから丁寧に焼き上げられます。手にするとずっしりとした重みのある子持ち鮎は、まさに絶品。
鮎というと塩焼きのイメージが一般的かもしれませんが、多様な調理法で堪能できるのもさぎり屋ならでは。鮎の甘露煮や、稚鮎の唐揚げ、鮎田楽など、どれも鮎の魅力を再発見できる料理ばかりです。鮎の他に、全国的に有名な九頭竜川のサクラマスのお造りや天然ごりなどの名物もいただけます。
料理の提供のみならず、店内では木彫りの鮎の色塗り体験(有料)などめずらしいアクティビティも行われています。子どもや若い人に川のこと、川魚のことを知ってもらえるようにという思いで始められたそう。どこまでも自然思いのお店です。
九頭竜天然鮎茶屋 さぎり屋 基本データ
<住所>福井県吉田郡永平寺町松岡上合月36-50
<TEL>0776-61-1123
<営業時間>10:00~18:00
<休業日>水曜日
<駐車場>あり(20台、大型バス可)
行き方・アクセス
<車>北陸自動車道「福井北IC」から約10分
<電車>えちぜん鉄道「松岡駅」から、徒歩で約10分
カフェ「茶まのおもてなし」で、心のこもった珈琲をいただく
大正14年から続く老舗「勝山酒店」の奥にある、隠れ家のようなカフェ「茶まのおもてなし」。落ち着いた雰囲気の店内で、看板メニューである「茶まブレンド珈琲」をいただきます。
珈琲と共に提供されるのは、なんと茶香炉。上に載せられた珈琲豆が熱せられることでふわっと香り立ち、良い香りに包まれます。
茶香炉の上のポットには、おかわりまで。お店の名前のとおり、嬉しい「おもてなし」を感じるひとときです。
やわらかな光が差し込む店内には、ゆっくりとした時間が流れています。和の空間でいただく珈琲は、いつもよりも優しい味わいに感じられます。
茶まのおもてなし 基本データ
<住所>福井県吉田郡永平寺町松岡薬師一丁目124 勝山酒店内
<TEL>0776-61-0368
<営業時間>11:00~17:00
<休業日>土・日・祝
<駐車場>なし
行き方・アクセス
<車>北陸自動車道「福井北IC」から約5分
<電車>えちぜん鉄道「松岡駅」から、徒歩で約6分
精進料理や写経体験など禅の教えに触れる宿
「永平寺 親禅の宿 柏樹関」で楽しみながら禅に親しむ
「永平寺 親禅の宿 柏樹関(はくじゅかん)」は、坐禅や写経、精進料理など、禅の世界を体験することができる「親禅の宿」がコンセプト。大本山永平寺認定の “禅コンシェルジュ” が、禅の世界を案内してくれるというユニークなスポットなんです。お寺のような外観ですが、中は旅館のような、くつろげる空間が広がっています。
広々としたお部屋はミニマルな内装で統一されており、気持ちがしゃきっとすると同時にリラックスもできる場所。引き算の美を感じられます。
夜は精進料理に舌鼓を。「精進料理」と聞くとどこか質素であったり、ストイックなイメージを持つ方も多いはず。柏樹関の精進料理は、そんなイメージをがらりと変えてくれます。
いろどり豊かな食材が並ぶことで、食べ物そのものが持つ美しさを、目でも味わえます。大根やにんじんなど、日常の食卓で食べ慣れた食材であっても、ひと手間をかけて工夫されていることで新しい味わいが生まれ、驚くほどの美味しさに。食材をなるべく無駄にせず、「もったいない」の気持ちを大事にし、すべての命に感謝することが、結果として味の深みを生み出しているそう。
中には、お肉やお刺身のように見える一品も。しかしよく見ると、野菜や大豆製品。日本に古くから伝わる「見立て」の文化を受け継ぎ、お肉や魚に見立てて、食べる人を楽しませてくれます。
朝ご飯は、色とりどりの小鉢とお粥。お粥には餡をかけていただきます。そうすることでなめらかな舌ざわりに。小鉢はそれぞれ単品でいただくもよし、お粥と一緒にいただくもよし。朝からボリューム満点ですが、優しい味わいなので、気づいたら食べ終えてしまっているかも。
柏樹関では、写経体験もできます。手書きの文字を書く機会も減りつつある昨今ですが、一文字ずつ丁寧に書いていくうちに自分でも驚くほど集中。終わる頃には、なんだか気分がすっきりしたような感覚を味わえます。
写経にはお手本が用意されているので、慣れていない人でも安心してトライできます。写し終わったあとは、永平寺に持参し奉納することもできます。
永平寺 親禅の宿 柏樹関 基本データ
<住所>福井県吉田郡永平寺町志比6-1
<TEL>0776-63-1188
<駐車場>なし
大本山 永平寺駐車場(コインパーキング)利用
行き方・アクセス
<車>中部縦貫自動車道「永平寺参道IC」から約10分
<電車・バス>えちぜん鉄道「永平寺口駅」から京福バスで終点下車、徒歩で約5分
豊かな緑に癒されて。「禅の里」永平寺町。
爽やかな緑に囲まれた「永平寺」をはじめとして、景色の良い松岡公園など、自然や歴史に触れられるスポットの多い永平寺町。美しい水のおかげで育つ鮎や日本酒を味わい、心のこもった珈琲に癒されます。写経体験で気持ちをリセットし、精進料理の教えに触れれば、禅の世界が身近に感じられます。歴史ある場所や豊かな緑に囲まれているうちに、いつの間にか心までリフレッシュしているはず。日常を抜け出して深呼吸するのにぴったりの町です。
片渕ゆり(ぽんず)
フォトグラファー/ライター 佐賀県出身・東京在住。大学卒業後、コピーライターとして働いたのち、どうしても長い旅がしたいという思いからフリーランスに。2019年から旅暮らしをはじめ、TwitterやnoteなどのSNSで旅にまつわる文章や写真を発信している。著書「旅するために生きている」を上梓。
藤井音凛(オリン)
フリーランスカメラマン 1999年生まれ、鹿児島県奄美大島出身。カメラ歴5年。看護学生時代にカメラを始め、2021年より本格的にカメラマンとして活動開始。心が揺らぐ言葉と写真を組み合わせた「オリンの世界」をSNS中心に発信中。一般の方から企業まで、それぞれの想いに寄り添いながらポートレート、商品、作品撮りなど幅広い分野の撮影を手掛ける。