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プロフィール

木本日菜乃
写真家 1994年生まれ、東京都出身。大学で幼児保育を学び、卒業後、株式会社アマナを経て2020年に独立。フリーランスの写真家として活動中。第50回APAアワード2022写真作品部門に「光の部屋」で入選。
愛用カメラ:CONTAX T2、CONTAX RTS II QUARTZ
愛用レンズ:Carl Zeiss Planar 50mm
1杯の白湯からはじまる愛しき日々
日々生きていて大事にしていることは、自分のペースで物事を考えたり、感じたりすること





いくらでも見過ごしてしまう美しい瞬間がそこに在って。それこそが、暮らしの素晴らしさだと思う


機微を楽しむことが暮らしていくということで、写真を撮る理由は、その小さなゆらぎや光をただ見たいと思うから



まず暮らしがあって、その一部として写真がある
「暮らしにおいて、私は自分のペースで物事を考えたり、感じたりすることを大切にしています。誰かと話をしている最中であっても、良い光を見つけたら、一旦会話を止めてまでもその光を見てしまいたくなる。かなり自分勝手ですが、見て感じることを大事にしたいと思っています。その日食べたいものを自分で作って、うまく行かないことがあったら、音楽を聴きながらよくわからなくなるまで考えたり、ときには考え過ぎることをやめてみたり。視点を変えれば大抵のことがなんとかなると思えてくるので、自分の機嫌を取ることは容易いです。それらはつまり、生きていくことは自分の好きを見つける時間でもあるということ。具体的な場所ではなくて、心地よい居場所を探しながら、1日1日を暮らしています。そしてその暮らしには、撮ること自体も含まれています。毎日が違うし、自分の調子によっても日々の感じ方は変わっていくものだから、生きているうちは、何かを感じる瞬間に出会うことが続いていく。そういう機微を楽しむことが暮らしていくということで、写真を撮るのは、その小さなゆらぎや光をただ見たいと思うから。私にも、他者にも、すべての人の暮らしには美しさがあって、それらはいくらでも見過ごすことができるけれど、私は見たいと思っている。それと同時に、そのときにはもう写真を撮っている。だからこそ、よく見てよく生きる、ということをしなければと思うのです。でないとそもそも、写真は撮っていないかもしれません」。
GENIC vol.74 【Life is Beautiful. 私の愛する暮らし】
Edit:Chikako Kawamoto
GENIC vol.74

2025年4月号の特集は「It’s my life. 暮らしの写真」。
いつもの場所の、いつもの時間の中にある幸せ。日常にこぼれる光。“好き”で整えた部屋。近くで感じる息遣い。私たちは、これが永遠じゃないと知っているから。尊い日々をブックマークするように、カメラを向けてシャッターを切る。私の暮らしを、私の場所を。愛を込めて。