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Wonderland 岡﨑果歩 | 連載 PHOTOGRAPHY IS LIFE. 私が写真を好きな理由

写真を仕事にした今も、根底にあるのは写真が好きだという想い。だからこそ、ここまで続けてきた。写真とは自身にとって何であるのか、なぜこうも惹かれてしまうのか。6名の写真家に、“好き”の奥に秘められた理由を伺いました。全6回の連載、第3回はコミッションワークの他、独自の写真・映像作品を展開するフォトグラファーの岡﨑果歩さんです。

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目次

プロフィール

岡﨑果歩

フォトグラファー/ムービーメーカー 1993年生まれ。ロンドン芸術大学卒業後、奥山由之氏に師事。第21回1_WALLファイナリスト。主な写真集に『心臓』(2021年)。主な展示に「心臓」(2021年)、「春の短集」(2023年)。スタイリスト中本ひろみとのデュオnéné petitとしても活動中で、2023年には同名義では初の写真展「étude」を開催。2025年の夏にzine『Image Paper』をローンチ。
愛用カメラ:FUJIFILM GFX50S II、Mamiya645
愛用レンズ:Mamiya 80mm、GF45mm F2.8 R WR、GF63mm F2.8 R WR

Wonderland

写真によって、日常の延長線上にあるワンダーランドを作ることができる

ABRA FW24 modeling by YO(PUMP)& Mona Kawasaki(TOMORROW TOKYO)
「パリベースのファッションブランドABRAのデザイナーとスタイリストが東京に来た時に撮影。海外の人から見た日本の写真を撮りたいと思い、できる限りニュートラルに日本らしさを含んだ場所をピックアップ」。

写真集『心臓』より
「この車を見た時に埃を被っていると思う気持ちよりも先に、薄い膜が張っているみたいで綺麗だなと思えたことが嬉しくて撮った一枚」。

写真集『心臓』より
「3つの要素のバランスと、ゴミだけどなんだか清潔感がある雰囲気がお気に入り」。

普段知っているはずのものがいつもと違って見えた時、シャッターを切る

THE FOUR-EYED
「セレクトショップTHE FOUR-EYEDの店主の藤田さんに以前からマネキンを撮りたいと伝えていたら、この撮影で叶えてくれました。遠目からだと人間にも見えるし、なんだかホラーな一枚」。

grotesque starring by Takuma
Fujiwara styling by Hiromi Nakamoto
hair &makeup by Yousuke Toyoda
hair & makeup assistant by Ayano Kashiwada
「桐野夏生さんの『グロテスク』という小説からインスパイアされた写真作品。被写体のたっくんにコールガールを演じてもらい、200枚くらい撮った中のベストショット」。

「日常の延長線上にある、ワンダーランド感のある写真を撮ることが好きです。例えば、マクロレンズで寄りすぎた時には、その被写体が持っている情報が別の意味に変わってきたり...。日常のはずなのに非日常に見えるのはフレーミングとライティングが成せる技で、写真ならではの表現だと思っています。そんな普段知っているはずのものがいつもと違って見えた時、その瞬間を残しておきたくてシャッターを切ります。初めての写真集『心臓』では、情報や知識などの先入観を取り払って世界を俯瞰で見てみる、というのがテーマの主軸でした。これは私の願いであり、今後も写真を通して考え、伝えていきたいことです。
写真との出会いは、18歳。ロンドンの大学で写真の授業があり、スタジオ撮影の際に肉眼で見たものとはまた違う像が撮れていて、写真の楽しさを知りました。今まで感じたことがないくらい自分のテンションが上がり、そこから写真を撮りたいと思い始めたのです。この授業のすぐ後に、『フォトグラファーになる!』と母に電話で宣言した気がします。当初は初心者向けデジタルカメラを所持していましたが、フィルムの素晴らしさを知り、OLYMPUSのPEN EE-3を入手。店員さんの英語の訛りがキツく、なぜおすすめされているか正直よく分からないまま購入しました(笑)。それがハーフカメラであることすら知らなかった私は、なぜ36枚撮りフィルムなのにこんなにたくさん撮れるんだろう...撮れていないのかと心配になりながらもフィルムが巻き終わるまで撮り続け、現像後にびっくり。フレームに2枚の写真が入っている!よくよく見るとランダムに写真が並んだ偶然性が面白く、ロンドン時代はほぼこのカメラで撮っていました。帰国後にそのカメラは壊れてしまいましたが、後にMamiya 645を購入し、それから中判カメラの魅力に取り憑かれています」。

『GINZA』2023年3月号(マガジンハウス)
「バッグを大量に撮影するというお題のもと、白い犬ばかりを飼っている謎のセレブ女性という設定で個人宅にて撮影」。

写真集『étude』より direction by néné petit
「スタイリスト中本ひろみと一緒に活動しているnéné petitの初個展『étude』から。制作期間が2週間しかなく、限られた時間で100本の足を撮影。タイトル通りすべて即興で、これは中本とシェアしていた家のキッチンで撮ったもの」。

狙った画が撮れた時も、狙ってない画が撮れた時も楽しい

「私が写真を好きな理由は、“楽しい”から。狙った画が撮れた時も、狙っていない画が撮れた時も、写真を使って何か表現できた時も、楽しい。制作中は苦しいし毎回反省しますが、楽しいです。学生時代はとにかくプロの現場が見たくてフォトグラファー、スタイリスト、編集など職種を問わずアシスタントとしていくつかの撮影に携わらせていただきました。裏側を知ると完成品しか見たことがなかった写真への見方が変わり、撮る時の視線や光の読み方などプロセスを知れば知るほど楽しくて、写真の深みにハマっていった気がします。私にとって写真は、ワンダーランドを作ることができるメディア。写真との関わり方をいろいろ模索しながら、今後も撮り続けたいと思っています」。

GENIC vol.75 【PHOTOGRAPHY IS LIFE. 私が写真を好きな理由】
Edit:Satoko Takeda

GENIC vol.75

2025年7月号のテーマは「I love photography ただ、写真が好きで」。

写真は移ろいゆく季節に目を向けることを教えてくれた。
写真は心の奥にしまい込んでいた自分の感情に気づかせてくれた。
写真は自分らしく生きていいよと励ましてくれた。
写真はかけがえのない仲間と巡り会わせてくれた。
写真は素晴らしい世界の見方を示してくれた。

写真から、たくさんのものをもらってきた。
だから、好きな理由はひとつじゃない。

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