プネーから夜行バスに乗って、横になり、ゆらゆらと、たまにぐらんぐらんと揺られながら窓越しにうつり変わる景色を眺める。
眠らないインドの街並みを横目に、うとうと一寝入りすると、あっという間に朝になり、12時間のバスの移動が終わる。
降り立った次なる旅先は、ムンバイとは言語も違えば、食文化も違う場所。
街にはそれぞれ文化があって、移動すると次の場所にはもうないものがある。
そんな陸路ならではの、うつりゆく旅のグラデーションに心が躍る。
ゴアの街を巡る
バスに揺られ、ゴアにたどり着くと、だんだんと海の香りが漂う。
夢に見たあれこれを探り始める。
今までとは違う、インドのリラックスした風にシフトしたのを肌で感じます。
ここではバイクを借りて、思いゆくままに走らせ、いろんな景色を巡っていきます。
なんてのどかな場所なのだろう。
フィッシュカレーに感動
ゴアでは、海に面した土地ならではのフィッシュカレーを食べることができます。
ココナッツミルク、タマリンド、スパイスなどから作られる「ゴアフィッシュカレー」。
魚には、スパイシーなマサラがすり込まれ、炭火で焼かれています。サイドに並ぶつけ合わせのアチャールを加えながら味の変化を楽しみます。
ゴアは、パーティータウンのイメージがあったけど、私が訪れたマルガオ周辺は、観光客はどこにもおらず、静かでのんびりした場所。
ゴアの中心部にあるマルガオマーケットでは、朝から女性たちが採れたての野菜やフルーツ、海産物を売っていました。
鮮やかなサリーを身にまとった女性や、色とりどりのずらりと並べられた食材たち。私は、おすすめしてもらった地バナナやジャックフルーツを購入。
思いがけないチャイのおもてなし
民家の近くを歩いていたら、「ちょっとうちに寄って、チャイ飲んでいかない?」と声をかけてもらいました。もちろん二つ返事で家へ。
ここでも、またレモングラスチャイに出会うことができました。
いつでも飲めるように、レモングラスは専用のケースに入れられていて、日常的にこのチャイが飲まれていることがわかります。作り方を教えて欲しいと頼むと、ひとつひとつの工程を丁寧に教えてくれて、手書きのレシピまで書いてくれました。旅の中で生まれた大切な宝物のひとつに。
それから南インドのケララ州コーチへ
南インドのケララ州には、「KOCHI(コーチ)」という場所があるのですが、まさに私が二拠点生活を送っている「高知」と同じ名前。
どうしても、その同じ名前の土地へ足を運ばずにはいられなかったので、もちろん行くことに。
私のパスポートにも「KOCHI」の文字が書かれているので、空港やホテルで喜ばれたりしました。
コーチは、港町。
漁師の町かと思えば、おしゃれなカフェやアパレルのお店も多くて、ここへ来て初めて観光客にも会いました。
「朝はここで一杯のチャイを飲む」をモーニングルーティンに入れておきたくなるような、素敵なTeapot Cafe。
旅の持ち物は、”カメラバッグひとつにトートバッグ”とミニマルに過ごしていた私も、コーチへ来てからは、お買い物モード。クッションやブロックプリントのファブリックなどを思いがけず衝動買い。
この先もまだ数日間移動するのに、気づけば両手いっぱいにお土産を抱えている。ここはお買い物天国だ。
コーチの中心部から南下していくほどに、思い描く南インドのケララ州らしい景色が広がります。
そよ風に吹かれる、とても穏やかな昼下がりの港の街。
ムナールはインドの避暑地
コーチからバスで5時間ほどの場所には、茶畑のある景色が美しいムナールがあります。インド国内から多くの人がこの場所を避暑地として旅行先に選んで来るそうです。
しっとりとした空気と、目の前に広がる緑のランドスケープが気持ちの良い場所。
南インドで定番のベジ(菜食)を中心とした定食「ミールス」もいただきました。
バナナリーフの上に並んだカレーを手で食べるこのスタイルが、南インドの定番。
辛味とフルーティーさを、自分の合わせ方次第で七変化させながら楽しみます。
スパイスファームから採れたカルダモンが麻袋にどっさりと。
新鮮なスパイスを買うのはこの場所が良さそう。
最後の目的地バンガロール
2週間ちょっとの旅路はあっという間に過ぎていきながらも、毎日の思い出はとても濃厚で「もっと長い期間インドにいるみたい」と思うほど。
バンガロールは、とても快適な気候。
ITで盛り上がるこの場所は、カフェに入ればチャイではなくコーヒー片手にプログラミング。
素朴さと新しさが交わるこの場所は退屈することがなさそう。
なんだか住みたくなってしまう心地よさ。
バンガロールでは、オリジナルのブロックプリントをオーダーしに、工房へ。
オーダーしてからしばらくかかるとのことだったので、バンガロールで知り合った知人に送ってもらうことに。後日、いくつもの海を超えて私の元へ届きました。
インドの人たちは本当に人懐こくてフレンドリー。出会う人々との交流のおかげで、旅がより充実しました。
みんなとドミノピザを頼んでマハラジャダンスをしながら宴を楽しんだり、日本語を学びたいと話しかけてくれた男の子と今では一緒に小さなプロジェクトの計画を立てていたり。
素敵な場所へ行くことはもちろんだけど、何よりも素敵な人たちと出会うことが旅を通して得られる嬉しい体験。
そして、その出会いのひとつひとつは、私のこれからの人生にいい影響を与えてくれるはず。
旅を終える頃には、インドの自然や人をもっと近しく感じられるようになりました。
さらに、こうやって丁寧に旅を振り返ることで、思い出たちはより愛おしくなっていくのでした。
次回は、30枚の写真で、私が出会った美しいインドを紹介します。
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AOI
映像クリエイター/プロトラベラー
東京と高知を拠点に、旅とライフスタイルをカメラで表現するクリエイター。旅先や日常のワンシーンからインスピレーションを受け、独自の目線で切り取ったエモーショナルな作品を発信している。