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【わが街の道の上で:3】藤原さやか<広島・尾道>

玄関のドアをあければ、そこは被写体の宝庫。毎日通る道、慣れ親しんだ場所。そこには、自分の視点だからこそ写し出せる「何か」がきっとある。地元フォトグラファーの写真から、ファインダーを通して自分の街を愛する方法を学びます。
3人目は、尾道へ移住し「残したい日常の風景」の撮影をしている、藤原さやかさんです。

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藤原さやか

Web制作 1985年生まれ、島根県出身、広島県在住。長女妊娠を期にデジタル一眼カメラでの撮影を始め、山口県への移住を期に風景写真を、尾道への移住後に「残したい日常の風景」の撮影を開始。瀬戸内を撮影した写真で数々のコンテストに入賞している。
愛用カメラ:FUJIFILM X-T3、FUJIFILM X-H1、RICOH GR II
愛用レンズ:フジノンレンズ XF35mmF1.4 R、フジノンレンズ XF16mmF1.4 R WR、Carl Zeiss Jena Flektogon 35mm F2.8 Zebra

わたしにとっての「尾道」

「“迷う楽しさを教えてくれた場所”です。歩けば迷い、迷えば新しい景色を見せてくれる。歩けば歩くほど好きになります。波の当たる音、渡船の音、グラデーション豊かな空。潮の香り、散歩中の猫、穏やかな風、美味しいラーメン!ここに暮らせて幸せです」。

迷う楽しさを教えてくれた場所

下校時間の商店街で。「尾道では商店街を通って通学する小学生も多いんですが、至る所で遊びながら帰っていて、その光景が懐かしくて大好きです」。

「尾道へ来て最初に好きだと感じた道です。住宅エリアに階段がたくさんあるんですが、ここは階段が四方にぐにゃぐにゃわかれていて、こういう真っ直ぐではない所が尾道っていう感じがします」。

「尾道の空と、駅舎のアクセントカラー、点字ブロックの黄色が“尾道の色!”と感じます。だからシアンとイエローを見ると撮りたくなるんです」。

尾道を歩くと記憶の片隅にあるような懐かしさを感じる瞬間に出会う

「走っている場所が限られてきましたが、尾道の街の中に溶け込みながら走る黄色い電車はとても存在感があり、大好きな光景です」。

「冬の尾道商店街は、光の射し方がとても綺麗です。学生さんの未来への明るさを感じて撮影。この辺りの学校は制服や靴等の校則がきちんとしていて、尾道の光景を守る尾道愛を感じます」。

子供が出来たとわかった時に「ダカフェ日記」の森友治さんの写真と出会い、カメラを買ったという藤原さん。「今でも毎日のように家族の写真を撮っていますが、写真を始めるきっかけとなった“ありのままの日常を残したい”と言う気持ちは、街のスナップを撮るうえでも大切にしています。尾道は、歩いていると記憶の片隅にあるような懐かしさを感じる瞬間があり、そう感じた瞬間にシャッターを切るようにしています。テーマは“残したい日常の風景”です。尾道らしさを写真に込めるために、早朝は山エリア、夕方は海沿いエリア、など光の入る時間帯を考えて歩く場所を変えます。尾道で生活する人の営みを感じる光景も好きなので、昼間は商店街や飲み屋街を歩くことも多いです」。

歩けば迷い、迷えば新しい景色を見せてくれる

「瀬戸内の島々をつなぐ橋と穏やかな海はとても美しく、いつも心を穏やかにしてくれます。白滝山は頂上から360度その光景が楽しめる場所です」。

「階段や道の端っこでくつろぐ猫さんの姿に、春の尾道を感じます」。

「尾道の街は奥行きを感じる場所が多いので、奥行き感のある構図を狙うなど、尾道を知っているからこその写真が撮れたらと思っています。尾道は、山、海、島など自然が豊かで、決して飾った物はありませんが、あるがままを五感で楽しめる“何度も訪れたくなる街”。私の写真を見て、尾道に遊びに行きたい!と思っていただけたら嬉しいです。これからも、自然、人、動物など、被写体となってくれたすべてのものへの感謝の気持ちを大切にして、ありのままを切り取っていきたいです」。

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GENIC vol.63 【わが街の道の上で】

GENIC vol.63

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ただの一瞬だって同じシーンはやってこない。切り取るのは瞬間の物語。人々の息吹を感じる雑踏、昨日の余韻が薫る路地、光と影が落としたアート、行き交う人が生み出すドラマ…。想像力を掻き立てるストリートフォトグラフィーと、撮り手の想いをお届けします。

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