川栄李奈
1995年生まれ、神奈川県出身。近年の出演作に、大河ドラマ『青天を衝け』(2021)、ドラマ『知ってるワイフ』(2021)、映画『地獄の花園』(2021)などがある。連続テレビ小説『カムカムエヴリバディ』(2021)では、ヒロインの1人を演じて注目を浴びた。短編映画『半透明なふたり』がYouTubeで配信中。
佐藤俊斗
写真家 1991年生まれ、東京都出身。透明感のある人物撮影を得意とし、唯一無二の質感と優れた色彩感覚を強みにアパレルやオフィシャルカレンダー撮影、webメディアでの執筆をするなど幅広く活動。2021年には「東京カメラ部10選2021」にも選出。
愛用カメラ:Sony α7R IV
愛用レンズ:SIGMA 24-70mm F2.8 DG DN Art、Sonnar T* FE 55mm F1.8 ZA
色が無いのに色があるようだった
「雨の中で佇む女性の、曖昧で儚げな視線を切り取った1枚。その曖昧な表情は、悲しみの中に少し前向きな気持ちが見えます」。
Comment from Rina Kawaei
「佐藤さんは私をリラックスさせて自然と笑顔を引き出してくれるような方で、とても楽しい撮影でした。予定外の雨を生かして写真を撮ってくださったり、ここにはないお部屋での撮影も細かなアイディアがたくさん詰まった撮影でした。写真にも儚い空気感がでていて素敵でした。たくさんの方に作品を見ていただきたいです」。
Interview Photographer
Q.なぜ川栄李奈さんを撮りたかったのですか?
川栄さんは、人に色があるとしたら、色は無いのに色があるような人。どんな役でも演じきり、それが川栄さんにしか演じられない役になる。底知れない表現力のある方だと思っていました。自分の作品の中に描こうとしたときにどんな作品になるのかという純粋な気持ちと、新しい川栄さんが見てみたいという思いが湧いたからです。
Q.撮影コンセプトと撮影舞台設定について教えてください。
川栄さんの過ごす休日をイメージして、ふとした表情や仕草を切り取りました。予定では、晴天のもと河津桜の咲くロケーションを舞台に撮影を行う予定だったのですが、あいにくの雨。晴天×笑顔から雨×涙というシナリオに変更して撮影を決行しました。結果として、1つの物語を作り上げることができました。
Q.写真のアガリを見たときの感想を教えてください。
イメージを遥かに超える女優としての魅力、圧倒的な存在感を改めて感じました。撮影中の完成イメージとのギャップを感じ、まるで違うストーリーを見ているかのような新しい感覚。普段は撮影中に瞬時に完成イメージが描かれ、それに沿って撮影を行うのですが、今回だけは違ったように思います。
Q.今回の撮影が自分の人生にどんな影響や気づきを与えてくれましたか?
「晴天×桜」という自分の強みである撮影テーマを予定していたのに、撮影が困難なほどの雨。そんな中「もう傘はいらないです」という川栄さんの言葉。頭の中の構図や完成度ではなく、目の前の魅力を撮ることが使命だと気付かされました。技術よりも「撮りたい」気持ちが上回った撮影でした。極限の逆境、予期せぬ状況に向き合ったからこそ、自分自身の殻を破って新しい景色を見ることができました。
Q.自分だからこそ撮れる写真とはどのようなものだと思いますか?
自分らしさといえば、透明感、色彩、儚さなどが挙げられますが、分かりやすい言葉で表現することはなかなか難しいです。被写体を俯瞰して見る、そして会話をしながらその人が持つ空気感や距離感を掴み、魅力を引き出す。そして自分自身が描く完成イメージに合わせて切り取っています。視野は広く、こだわりは強く。髪の毛1本の動きまで見逃さない。その着眼点こそが自分の世界観だと思います。
Information
「私が撮りたかった女優展 2022」
3,900円(税抜)
展示し切れなかったアザーカットを含む写真集が発売中。詳しくはオンラインストア(https://actress-ex-onlinestore.com)をチェック。
GENIC vol.64【人生に気づきをくれた1枚】
Edit:Megumi Toyosawa
GENIC vol.64
GENIC10月号のテーマは「写真と人生」。
誰かの人生を知ると、自分の人生のヒントになる。憧れの写真家たちのヒストリーや表現に触れることは、写真との新たな向き合い方を見つけることにもつながります。たくさんの勇気とドラマが詰まった「写真と歩む、それぞれの人生」。すべての人が自分らしく生きられますように。Live your Life.