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色に恋して。デジタル写真をフィルム風に「FUJIFILM フィルムシミュレーションの魅力」vol.16 Bea/べあ

デジタルカメラで撮影した写真を、フィルム写真のようなカラーに。そんな夢のような機能が、富士フイルムのデジタルカメラに搭載されています。その名も「フィルムシミュレーション」。フィルムを交換するような感覚で色再現を楽しめる機能で、その数なんと20種類。フィルム時代から90年以上にわたり、色の表現を研究してきた富士フイルムだからこそ作れる機能です。

「Xシリーズ」「GFXシリーズ」すべての機種で使用できるとあって、この機能に恋して、富士フイルムのデジタルカメラを愛用し続ける写真愛好家やフォトグラファーも多数。

そこで本連載では、「フィルムシミュレーション」の魅力をお届け。毎回1名のクリエイターがお気に入りのフィルムシミュレーションで撮影した作品とともにその魅力を語ります。第16回は、建築士でありフォトグラファーのBea/べあさん。富士フイルムの「X-T30 III」で撮影した作品とともに、お気に入りのフィルムシミュレーションについて紹介します。

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目次

プロフィール

Bea/べあ

建築士/フォトグラファー 1998年生まれ、岐阜県出身、愛知県在住。7年前よりカメラを始め、2024年12月には個展「青綴」を開催した。

写真は、時間とともに色褪せていく記憶の保管庫

私はほぼ毎週、休日に写真を撮りに行きます。大切にしていることは、その場所で感じたことや雰囲気を、自然体で残すこと。季節を感じるものも好きで、よくカメラを向けています。

私にとって写真とは、褪せることない記憶の保管庫です。人って、大事なことを案外すぐに忘れてしまう。どこへ行ったとか、何をしたとか、表面的なことは覚えていても、その時、何を感じ、何が楽しかったのかといったことは、時間と共に色褪せていくと思うんです。その点、写真は写る人の表情やふと目に入った景色など、自分が覚えておきたいと思ったものを素直に残せます。写真を見返したときに、その場の雰囲気や自分が見た景色を思い出すことができ、さらに構図や色味などから、その時の自分の感覚も垣間見える。まるで、自分の”好き“の歴史までも残してくれているように感じます。

camera:X-T30 III lens:XF50mmF2 R WR
フィルムシミュレーション: CLASSIC Neg.
「目的地である山の頂上に向かう途中、ススキが広がるきれいな場所が目に入り、すぐに車から降りました。山の中のススキ野原に木の隙間から光が入っている様はなんとも言えない幻想的な雰囲気で、いまにも妖精が出てきそうでした。CLASSIC Neg.で撮影したのですが、その階調には毎度驚かされます。明るいところから暗いところへのグラデーションが美しく、本当に大好きです」。

はじめて富士フイルムのカメラを購入したのは、2024年の3月でした。友達が富士フイルムのカメラを使っていて見せてもらったのですが、一瞬で、フィルムシミュレーションのCLASSIC Neg.の質感に惚れました。それからすぐに、X-T30 IIを購入。今でもCLASSIC Neg.が一番好きです。まるでフィルムカメラで撮ったかのような写真を、フィルムの消費を気にせず何枚もパシャパシャ撮ることができ、撮影中も楽しくて仕方ありません。

富士フイルムのカメラの魅力はまさに、フィルムシミュレーションを駆使した色、質感表現だと思います。他メーカーのカメラも、カメラ本体の設定である程度色味や質感を変えられますが、富士フイルムのカメラは全くの別物になるレベル。また、フィルムシミュレーションに、ホワイトバランスなど自身で調整したレシピをプラスすると無数の表現ができるので、おそろしいと感じるくらいです。

camera:X-T30 III lens:XF50mmF2 R WR
フィルムシミュレーション:ACROS+ Ye FILTER
「木々の隙間から差し込む夕暮れの光に惹かれ、モデルに即座に立ってもらった一枚。シルエットが美しく照らされて幻想的なところが気に入っています。レンズフィルターを曇らせて、柔らかい光の拡がりを表現しました。明部から暗部への段階的なグラデーションがとても好きです。ACROS+ Ye FILTERは、光の細かい描写も、白黒ながらしっかりと残してくれます。非常に優秀なフィルムシミュレーションだと感じます」。

今回使った富士フイルムのカメラは、X-T30 III。

一番の魅力は、軍艦部についたフィルムシミュレーションダイヤルです。その場に合わせて手軽にフィルムシミュレーションを変えられるし、自分の好きな設定を反映させたレシピを、ダイヤルに3つまで登録できるので、よく使う設定をすぐに呼び出すことができます。これまでもフィルムシミュレーションのレシピをカスタム登録して使っていたのですが、私の愛機X-T30 IIだとカスタム呼び出しボタンを押して、選んでという2操作が必要です。それが、ダイヤルを回すだけの1操作で済むので本当に使いやすかったです。

そして、ボディのクラシカルなデザインと、とにかく軽いことも魅力です。持っていても負担を感じず、持っていることをたまに忘れてしまうくらいでした。また、AFの速さも驚いた点。普段、暗い場所ではAFが合いにくくて結局MFでピントを合わせることがよくあるのですが、X-T30 IIIは速さ・正確さともに素晴らしかったです。自分のX-T30 IIとも比較してみましたが、圧倒的なまでに向上していました。

camera:X-T30 III lens:XF23mmF1.4 R LM WR
フィルムシミュレーション:ETERNA
「ETERNAの落ち着いた色味の中で、際立つ雑誌。暗い色調で合わせたリビングの中で雑誌のパステルな色合いが一際存在感を放つ様がとても気に入っています。ETERNAは落ち着いた色味で優しく写してくれるところが好きです。またコントラストが低く、柔らかい印象の写真に仕上げてくれます」。

そしてやはり、私にとって富士フイルムのカメラの一番の魅力は、フィルムシミュレーションです。

撮ったあとのデータ確認の際にたびたび思うのですが、フィルムシミュレーションによって写真がまったく異なります。本当に同じカメラで撮ったのかと思うほど。このシーンならどれが合うかな、あえてこっちを使ってみようかななど、撮るだけじゃなくて、「遊ぶ」要素が付け加えられるのがフィルムシミュレーション最大の魅力だと感じます。使いたいフィルムシミュレーションのために撮るものを探す、という逆転のムーブをしてしまうこともあるほど楽しい機能です。

少しレトロなものはNOSTALGIC Neg.で雰囲気をプラス、大自然はVelviaで迫力満点に、残したい日々はCLASSIC Neg.でエモーショナルに…。残す写真に一つひとつこだわりを追加できることがどれほど楽しいか、フィルムシミュレーションが実感させてくれます。

ちなみに、私がフィルムシミュレーションでよく使うレシピ設定は2つあって、1つはCLASSIC Neg.でシャドウ+1 、ハイライト+1、ホワイトバランス:Auto -3.+1。もう1つは現在は生産終了した富士フイルムのカラーネガフィルム「FUJICOLOR NATURA1600」の雰囲気が表現されたレシピで、スナップの時によく使います。

My favorite フィルムシミュレーション

今回の撮影で特に活躍してくれたのが、「CLASSIC Neg.」と「ETERNA」、「ACROS+ Ye FILTER」でした。

1:CLASSIC Neg.

CLASSIC Neg.は、フィルムらしさを一番感じます。低彩度ハイコントラストで見ていて懐かしさを感じる心地よさが本当に大好きです。一番好きなフィルムシミュレーションで、日常から作品まで、常用しています。スナップや日常の何気ない一コマなど、どんな場面もフィルム風に残してくれます。

camera:X-T30 III lens:XF50mmF2 R WR
フィルムシミュレーション: CLASSIC Neg.
「朝のリビングは少し寒くて、モデルが寒そうに丸まっていました。大きなパーカーに身を包み、はみ出した足がかわいらしく、また寒そうな空気感と、太陽光の暖かさが混在するところが気に入っています。陰影がはっきりしていて、フィルム写真っぽさも全開で、CLASSIC Neg.の真骨頂のような一枚です。CLASSIC Neg.のフィルム再現度はやはり群を抜いていると思います。硬いコントラストの質感の中に柔らかい階調や色味が加わって、空気感がより一層伝わってきます」。

camera:X-T30 III lens:XF23mmF1.4 R LM WR
フィルムシミュレーション: CLASSIC Neg.
「この日の夕焼けは本当にきれいでした。シルエットが映えてとても好きな一枚です。実はレンズにラップを被せ、光の拡がりを表現しています。柔らかさも加えられるのでよく使う技法です。CLASSIC Neg.はハイトーン部がマゼンタに寄るので、夕焼けを撮ると、オレンジや赤が強調されます。私はこの夕焼けの色がとても好きで、夕焼けはほぼCLASSIC Neg.で撮っています」。

2:ETERNA

低彩度低コントラストで、落ち着いた質感のETERNAは、まるで映画のワンシーンのような一枚を残せます。私は特に暗いシーンで使用することが多く、静かな雰囲気を作り上げてくれるフィルムシミュレーションだと感じています。今回は宵の時間、街とモデルの少し寂しげな雰囲気を出すために使用しました。

camera:X-T30 III lens:XF50mmF2 R WR
フィルムシミュレーション: ETERNA
「宵の時間、河川敷から橋の上の友達をモデルに撮った一枚です。自然体な写真が好きなので、モデルにはあまりポーズの指示は出しません。ETERNAの優しい質感はまるで映画のワンシーンのよう。この写真はレタッチ前のETERNAだと空が灰色だったので、少し彩度を上げました。彩度を上げて気づいたのですが、しっかりと空の青色が残っていて、感動しました」。

3:ACROS+ Ye FILTER

白黒のフィルムシミュレーションは、スナップやスタイリッシュな写真に使うことが多いです。その中でも、ACROS+ Ye FILTERは暖色を明るめに写してくれるので、人の肌色や太陽光を強調したいときによく使います。今回、もみじとモデルを撮ったときに光やもみじの色を明るめに表現するために使用しました。

camera:X-T30 III lens:XF50mmF2 R WR
フィルムシミュレーション: ACROS+ Ye FILTER
「もみじに1箇所だけ太陽光が当たっていたので、モデルに手をかざしてもらい撮った一枚。手のひらに当たった光が指の隙間から漏れて温もりを感じるところに惹かれたのですが、ACROS+ Ye FILTERでもみじが明るく写り手の陰がより強調され、より素敵な一枚になりました」。

Bea/べあさんが恋したフィルムシミュレーションの特徴

1:CLASSIC Neg.とは?

スナップシューターに愛用されてきたネガフィルム「SUPERIA」がベース。メリハリのある階調と、彩度を抑えつつも明部と暗部の色味を変えることで深みを増した色で、立体的な表現が得られます。

camera:X-T30 III lens:XF50mmF2 R WR
フィルムシミュレーション:CLASSIC Neg.
「宵の時間、河川敷で友達を撮った一枚です。暮れていく空と街の灯りに溶け込むモデルが自然体で、街灯がつき始める時間帯の冬の空気感も堪らなく好きでした。日頃から写真に寒色を多くのせていますが、CLASSIC Neg.の深い青がとても好きで、CLASSIC Neg.の沼にハマっている理由の一つです。この重厚感のある深い青色を愛してやまない人は多いのではないでしょうか」。

2:ETERNAとは?

映画用フィルム「ETERNA」がもととなるフィルムシミュレーション。ETERNAを写真に使うと、階調はフラットに彩度も抑えられる。動画に最適化されたルックであることを理解して演出したドラマティックなポートレートや建築写真で使うのに効果的。静観さと精緻な様子は、止まった時間の豊かさを伝えてくれる。

camera:X-T30 III lens:XF50mmF2 R WR
フィルムシミュレーション: ETERNA
「暮れる空とついたばかりの街灯を撮った一枚。街灯がとても好きで、特に夜になる前の夕方の街灯の灯りと、まだ少し明るい空の写真はいつも撮りたくなります。大きな余白の中にポツンと佇む抽象的な表現も気に入っています。ETERNAはやはり映画のような質感に仕上げてくれるので、シネマチックに残したい写真には持ってこいです。レタッチもしやすいので、困ったらETERNAで撮るなんてこともよくあります」。

3:ACROS+ Ye FILTERとは?

コントラスト強調フィルターの中では最も効果が弱いため、フィルム時代には常用している人も多くいたACROS+ Ye FILTER。空を暗く落ち着かせるだけでなく、黄色より波長が短い緑も吸収するため「緑の中にある花」といったシチュエーションでもコントラストが変化します。ACROSの繊細な階調を活かすために効果の違いを理解すれば、ネイチャーやストリートで活躍するルックです。

camera:X-T30 III lens:XF50mmF2 R WR
フィルムシミュレーション: ACROS+ Ye FILTER
「夕方の公園に伸びる斜陽がとても美しく、そこにいる人たちのシルエットから物語性を感じました。多くの人たちが紅葉を楽しみに訪れていた公園で、団らんする人、帰り支度をする人、走り回る子供…、そんな一人ひとりの生活を感じて不意にシャッターを切りました。光と影を本当にいい塩梅で表現してくれるACROS+ Ye FILTER。ついついスナップを撮りたくなります。特に暖色部分を明るく写してくれるYe FILTERは、ACROSシリーズの中でも夕方の太陽光を強調してくれる本当に扱いやすいフィルムシミュレーションだと感じます」。

Bea/べあさんが使用したカメラ

X-T30 III

2025年11月に発売されたばかりのXシリーズ最新機種。裏面照射型約2610万画素を誇る「X-Trans™ CMOS 4」センサーと、高速画像処理エンジン「X-Processor 5」を搭載。クラシカルなフィルムカメラを思わせるXシリーズの気品ある佇まいのボディは、ポケットサイズでなおかつバッテリーとメモリーカードを含んでもわずか378gという小型軽量を誇る。また、最新のAF予測アルゴリズムを採用しているため、動体への追従が必要なシーンや、コントラストが低い環境下でも高精度なAFで被写体を捉えてくれる。動きのあるポートレートはもちろんのこと、スポーツや動物等、幅広い被写体を正確に追随する。

90年以上にわたり富士フイルムが培ってきた写真フィルムに関する画質設計のノウハウをデジタルで継承した「フィルムシミュレーション」ももちろん搭載。カメラボディの天面にはフィルムシミュレーションダイヤルを採用しており、直感的にフィルムシミュレーションの変更が可能。また、個別に設定した自分だけの「FSレシピ」を保存できる至れり尽くせりの操作性と機能を備えている。

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