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【#伝わるクリエイティブ:2】大西日和

商品を魅力的に伝えなければならい広告写真。自身の価値観やメッセージを発信するオリジナルワーク。
人の心を動かす、欲求を掻き立てるようなクリエイティブはどのように生まれるのか?クリエイターたちの「伝える力」に迫ります。
今回は、広告を中心に活動しているフォトグラファー、大西日和さんです。

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ADVERTISING

大西日和

フォトグラファー 1994年生まれ、京都府出身。2017年に京都市立芸術大学ビジュアルデザイン専攻卒業後、株式会社hue(現・株式会社アマナフォトグラフィ)に入社。3年半のアシスタント経験を経て、2020年にフォトグラファーとして独立。現在は広告を中心に活動している。
愛用カメラ:Canon EOS 5D Mark Ⅳ
愛用レンズ:Canon EF24-70mm F2.8 Ⅱ USM、Carl Zeiss Planar T* 50mm F1.4

見る人に寄り添って共鳴させる

「ともコーラの3周年記念に作られた日本原生の素材を使った商品の広告。里山で摘んできた素材の中に商品が自然に寝そべっているイメージ。自然光の柔らかさも手伝って”自然の一部”感が出せました」。

自分の写真が、見た人の安らげる場所、深く呼吸できる場所のような存在でありたいと常々思っているという大西さん。
「ポジティブなものを見るのがしんどいときでも受け入れてもらえるような写真を、仕事でも作品でも目指しています。現代人はみんな頑張りすぎなので”自分のことを大切にして、心の声を聞いてみて”というメッセージを伝えたい。見る人が自分自身の中に深く潜って安らいでゆける手助けをしたいんです」。
また、ご自身の写真は、何をどんな風に撮っても”陰り”と”湿度”を感じると大西さんは言います。
「”陰り”という負の感情にこそ本音が宿っているし、そもそも陰っていることは悪いことじゃない。そんな”陰り”の部分に反応して写真を撮っているのかもしれません。それを見守り、美しく昇華することで肯定したいという気持ちがあるので、人の気配を感じるような”湿度”のある写真になるんだと思います。自分の撮った写真が見た人の”陰り”に共鳴して、寄り添って癒すことができる存在になれたらいいなと思っています」。

1.伝えたいメッセージを自分の中で細密描写する

「日本の食文化や作物の魅力を、コーラを通して伝えていきたいという「ともコーラ」さんの想いに共感し、撮影とプロップスタイリングのお仕事をさせていただくことに」。

「日本各地の素材を使って作られたご当地コーラのビジュアルは、日本家屋のハウススタジオで撮影。広縁の机の上で、ご当地コーラたちがそれぞれの方言で楽しくおしゃべりしているような写真に」。

「”シティ感のある食卓風景”がイメージ。真俯瞰でグラフィカルに見せつつ、ピザやタコスをかじりかけにしてリアリティとシズル感をなくさないように。プロップはヒアリングしながらリースしてきたものや、古谷さんの私物を使っています」。

プロデューサーの古谷さんには明確なビジョンがあったので、それをより効果的に見せるためにはどうすればいいかを考えたとき、クライアントが伝えたいメッセージを、フォトグラファー自身の中で細密描写することが大事なのではないかと気づきました。

「古谷さんからのオーダーは”さまざまな素材の上に鎮座するコーラ!”でした。硬めの光で撮影しレタッチでさらにコントラストを高めましたが、完全無添加のコーラに入っている素材なので、果物のテクスチャの生っぽさは残るように仕上げました」。

2.自分が感じたことを見る人にお裾分けするように写真にする

「初めてMiYO ORGANICの製品を見たときに感じた『地球にやさしくて、モノとしてもこんなにイケてる製品があるんだ!』という驚きを、写真を見る人にもお裾分けしたいと考えました」。

「衛生商品なのでクリーンに見えることを第一に考えた上で、”違和感・清潔感・新鮮さ”などのキーワードを元に、スタイリングも担当させていただきました。MiYO ORGANICの製品を使うことのワクワク感を表現するため、放射状に商品を配置したり、製品の豊富さを伝えるためにプロップも交えつつ商品をすべて並べたりして、楽しい画に仕上げました」。

3.クリエイターとの共作で化学反応を起こす

「プロップスタイリストの早野アレックスさんとの作品”Awesome Menu”。他のクリエイターと一緒に作品を作ると、自分の想像を超える物が出来上がります。普段は自分自身と対話しながら作品を作っていますが、共作の場合は作品で表現したいことをクリエイター同士深く話し合った上で、クリエイティブの化学反応を楽しむように撮影しています」。

「旬の素材の魅力を伝えることをテーマに撮影した作品。プロップと組み合わせることで、自然物らしい、形のユニークさが際立つんです」。

4.「整えていく」とは違う自分なりの美しさを探る

「かじられていたり、果汁がしぼられていたり、中身が溢れていたり、『整えてゆく』方向とは違う、自分なりの美しさの伝え方を探りながら撮影した、アシスタント時代の作品です。この作品を撮ったときに、自分の写真の軸が出来たと思います。みずみずしい果物がお店に並んでいて、撮らなきゃ!という使命感に駆られたのを覚えています」。

大西日和 Instagram
大西日和 Twitter

GENIC VOL.61 【表現したいことをカタチにする力 伝わるクリエイティブ】

GENIC VOL.61

テーマは「伝わる写真」。
私たちは写真を見て、何かを感じたり受け取ったりします。撮り手が伝えたいと思ったことだけでなく、時には、撮り手が意図していないことに感情が揺さぶられることも。それは、撮る側と見る側の感性が交じり合って起きる化学反応。写真を通して行われる、静かなコミュニケーションです。

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