プロフィール
ヤスダ彩
写真家 1999年、愛知県生まれ。高校在学中に活動開始。
2022年に名古屋市立大学人文社会学部国際文化学科を卒業し、東京に拠点を移す。雑誌や映画のスチールなどで活動。
はじめまして。ヤスダ彩と申します。本を読み、写真を撮っています。
すでに存在するはずの現実を切断・再提示することで、実際に人々がまなざす世界と接続するための作品を作っています。この度は、4度目の個展「forlorn voices」を開催いたします。どうぞよろしくお願いいたします。
ステートメントと解説、展示作品の一部をご紹介
本作では曽祖母・祖母の故郷を訪ね、撮影を行った。
最後に訪れた20年前の記憶と、昔から何度もせがんで見せてもらった祖母の古いアルバム、そして祖母からの故郷に関する語りをもとに浜辺や古い町を歩く。わずかな記憶だけを頼りに想像の中で色をつけてきた白と黒の景色が、一気にフルカラーの立体として目の前に立ち現れてくる。
かつて存在したはずで、そして今もただ存在するシーンを写真として刷りなおした。
ここで撮るということはすなわち、祖母の語りを、自らが写真を通じて語りなおすという試みである。
あるいは生活史調査における語りから「鉤括弧を外」[※]して世界に還元するというフェーズを、文字ではなく写真で代替する試みと言えるかもしれない。
20年前の、唯一記憶にある曽祖母とのやりとりを思い出した。
みんなで海へ遊びに行ってから曽祖母の家に行った日、わたしは母親のガラケーで撮った海の写真を必死に曽祖母に見せようとしていた。
大人たちが「おばあちゃんはなあ、もう目があんまり見えへんから見せてもわからんで」とわたしを諭す。
わたしはその時、たしかに、どうしても曽祖母に写真を見せたかった。
わたしが見たものを、そこに存在したシーンをあんなちいさな写真で伝えたかった。
それ以上の理由は無いのに心から悔しかった。
ここで語り続けていれば、遠く遠くから曽祖母が見つけてくれる気がする。
[※]岸政彦 2015「鉤括弧を外すこと:ポスト構築主義社会学の方法論のために」現代思想—特集いまなぜプラグマティズムか
今作では曽祖母と祖母の故郷である鳥取の小さな町をを20年ぶりに訪ね、撮影を行いました。
祖母の語りや古いアルバムの写真による「多層的な窓」越しに現実世界を眼差した本作は、これまでの作品「白粉花の香りがしたら教えて」「Le Déclic Magique」のようなクィア・リーディング的な文脈からは外れながらも、"写真による時間的・空間的な切断は必ずしも、世界から物語を完全に切り離すものではない"という前提を共有しています。
記録を目的としてひとつの現実を切断し、それ自体を語りとするのではなく、眼前にあるひとつの現実を切断することで寧ろ、ありえた(ありえる)限りの「複数形の現実」と「語り」を、終わりのない螺旋のように繋ぐ作品です。
── ヤスダ彩 個展「forlorn voices」プレスリリースより
ヤスダ彩 個展「forlorn voices」情報
開催日時
2026年3月28日(土)~4月9日(木)14:00〜22:00
※土日祝は12:00~22:00
※時間は変更の可能性があるため、platform3の公式Instagramよりご確認ください。
入場料
無料
会場
platform3
- 〒154-0004 東京都中野区東中野1丁目56-5 401号室
- Google Map
行き方・アクセス
<電車>
JR中央・総武線「東中野駅」「東中野駅」から徒歩で1分
都営大江戸線「東中野駅」から徒歩で1分