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色に恋して。デジタル写真をフィルム風に「FUJIFILM フィルムシミュレーションの魅力」vol.20 野口花梨

デジタルカメラで撮影した写真を、フィルム写真のようなカラーに。そんな夢のような機能が、富士フイルムのデジタルカメラに搭載されています。その名も「フィルムシミュレーション」。フィルムを交換するような感覚で色再現を楽しめる機能で、その数なんと20種類。フィルム時代から90年以上にわたり、色の表現を研究してきた富士フイルムだからこそ作れる機能です。

「Xシリーズ」「GFXシリーズ」すべての機種で使用できるとあって、この機能に恋して、富士フイルムのデジタルカメラを愛用し続ける写真愛好家やフォトグラファーも多数。

そこで本連載では、「フィルムシミュレーション」の魅力をお届け。毎回1名のクリエイターがお気に入りのフィルムシミュレーションで撮影した作品とともにその魅力を語ります。第20回は、写真家の野口花梨さん。富士フイルムの「X-H2」で撮影した作品とともに、お気に入りのフィルムシミュレーションについて紹介します。

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目次

プロフィール

野口花梨

フォトグラファー 1999年生まれ、大阪府出身。高校で写真部に入部したのをきっかけにカメラを始め、高校時代は地元の職人などを訪ね撮影・取材を行う。2023年、日本大学芸術学部写真学科卒業。農業や暮らしをテーマにした都内出版社の社員カメラマンとして約3年間勤め、 2025年に独立。「わたしが撮りたかった女優展 in PARCO 2019〜2023」、上白石萌歌 写真集『かぜとわたしはうつろう』などの参加経歴を持ち、ポートレートが高く評価されている。

半逆光ぎみの、やわらかい光に惹かれる

写真は私にとって、行動の幅を広げてくれるものです。写真を始める前は、旅行もそれほど行きたいと思ったことはありませんでしたが、今では遠い海外も含め、いろいろな場所に行って、そして写真を撮りたいと思うようになりました。異国の地は建物ひとつとっても日本とは異なり刺激的。海の広さも、その場所がまとう空気の色さえも異なります。すべてが刺激となり、写真を撮ることがとても楽しいです。

普段もなるべくカメラは持ち歩くようにしていて、人も自然も、被写体はあまり関係なく、光がきれいだと感じたときにシャッターを切っています。半逆光ぎみの、やわらかい光に惹かれます。

camera:X-H2 lens:XF60mmF2.4 R Macro
フィルムシミュレーション: CLASSIC CHROME
モデル:佐々木ありさ@arisa_sasaki_
「この日は曇っていましたが、この瞬間は晴れ間が出て、場所と光がマッチしていると感じ撮影しました。CLASSIC CHROMEは肌の色が明るくなる印象があります。逆光ぎみで、露出を上げたわけでもないのですが、その場の光を上手に拾い、人物の顔が映えていることに感動しました」。

富士フイルムのカメラを使うのは、今回がほぼ初めて。“ほぼ”というのは、以前少しだけ使う機会があったからです。一時的な使用でしたが、コンパクトなのにとてもよく撮れるな、と感じたことが印象に残っています。

今回X-H2を使用して、改めてそのことを実感しました。本当にボディが軽くて、使用したのがすべて単焦点だったこともあり、レンズもコンパクト。軽やかな気持ちでシャッターを切ることができ、機動力にすぐれていると思いました。レンズのボケ感がとてもきれい。片手でカメラを持ち、反対の手で前ボケアイテムを持っての撮影もとてもしやすかったです。

camera:X-H2 lens:XF23mmF1.4 R LM WR
フィルムシミュレーション:CLASSIC CHROME
「虫眼鏡をかざして前ボケを作っています。虫眼鏡は前ボケによく用いるアイテムで、縁の部分を塩梅よく入れると、背景が水彩画のようになって残るところが気に入っています。CLASSIC CHROMEは今回使った3つの中ではコントラストが高く、グラデーションの透明度が増すような描写がお気に入り。ベタッとしない雰囲気の残し方が絶妙です」。

普段は描写優先で中判カメラを使用しているのですが、X-H2はAPS-Cセンサーでも描写の質感がよく、写真全体におけるバランスが良いと感じました。ポートレートではとくに肌の質感が大切になりますが、階調がなめらかで、シャープだけれどシャープすぎない描写がとても好みでした。X-H2は目で見たままの表現に近い表現をしてくれて、それでいて、ちゃんと雰囲気も残るカメラです。

camera:X-H2 lens:XF35mmF1.4 R
フィルムシミュレーション:REALA ACE
「REALA ACEを使うことによって、曇りでもハイライトがちゃんと立ち、奥行きが出て立体感のある描写になりました。わずかなグラデーションをしっかり拾って印象を引き締めてくれるため、このときの光と相性がぴったりだと感じました」。

写真の色表現は、撮影のときに感じた色、温度感を大切にしています。色が温かいね、と言っていただくことが多いですが、編集の段階では青を意識しています。写真を作品にするにあたり、編集作業はとても大事です。そのため普段は、レタッチすることを前提に撮影し、編集ではどうフィルムライクにしていくか、デジタル特有の表現を抑えていくかということを考えて作業しています。

ところが今回は、フィルムシミュレーションのおかげで、パソコンに取り込んだ段階で、ほぼそのままいける描写でした。実際撮影中も、仕上がりのイメージが見えやすく、撮っていて気持ちがいいし、現場での判断もしやすかったです。編集作業もまた、普段の半分くらいの時間で終わり、描写の美しさを実感しました。20種類と多彩なため、ちゃんと自分の好みに近いフィルムシミュレーションを選べるのも、満足度が高い理由だと感じます。

camera:X-H2 lens:XF60mmF2.4 R Macro
フィルムシミュレーション:PRO Neg. Std
「ぐっと寄って撮影したこの1枚は、PRO Neg. Stdを使用。髪の毛の質感がしっかり出て、かといってコントラストが強すぎるわけではなく、目で見た印象に近いです。瞳にもほどよい強さが出て、温度感を感じる1枚になりました」。

My favorite フィルムシミュレーション

多種ある中から、自分の好みに近い、やわらかい描写をするフィルムシミュレーションを、お気に入りとして選びました。REALA ACEとPRO Neg. Std、CLASSIC CHROMEの3つです。

1:REALA ACE

やわらかさの中でも、黒が締まる発色のいいフィルムシミュレーションでした。人物の肌が明るくなり、頬に赤みが出ます。シャドウは締まるため、ポートレートの撮影にとても合っていると感じました。そのままでも素敵ですが、編集で色温度や色被り、彩度を少し調整すると、REALA ACEのよさが引き立ち、見違えるような作品になると感じました。

camera:X-H2 lens:XF35mmF1.4 R
フィルムシミュレーション:REALA ACE
「すごくきれい。真っすぐな感じで、背景のボケもいいです。REALA ACEはけっこう赤く出るのですが、それを編集で若干抑えています。少し青っぽく調整したのですが、人物の顔にREALA ACEのピンクが残り、初夏に撮った写真だけれど冬のような、それでいて温かい描写になったと思います」。

2:PRO Neg. Std

PRO Neg. Stdは、比較的写実的な描写をしてくれます。今回使ったなかでは一番クセがなく、目で見ているのに近い。コントラストは意外と控えめで、黒が締まりすぎることがありません。人物の肌も生っぽく、被写体をそのまま残したいようなときに選んでいました。

camera:X-H2 lens:XF35mmF1.4 R
フィルムシミュレーション:PRO Neg. Std
「ミモザの花をかざして前ボケを作りました。この写真自体、どう転んでも印象が強いものになるところですが、それをPRO Neg. Stdがいい意味で抑えてくれました。現実と想像の境界をいくようなやわらかさがとても好きです」。

3:CLASSIC CHROME

編集の軸をしっかり作ってくれる、もっとも自分に馴染むフィルムシミュレーションです。全体的に彩度がそこまで高くなく、編集で青ベースにしても肌の色がきれいに出ます。ノスタルジックな印象になり、人物の撮影にとても使いやすいと感じます。

camera:X-H2 lens:XF35mmF1.4 R
フィルムシミュレーション:CLASSIC CHROME
「海岸に続くスロープで、手前の手すりを前ボケに入れています。水平に撮影していましたが、少しバランスを崩したほうが面白くなりそうだと思い、斜めにカメラを振っています。CLASSIC CHROMEを使うと、砂浜をはじめ背景の彩度のバランスが整い、背景が背景に徹してくれていると感じました」。

野口花梨さんが恋したフィルムシミュレーションの特徴

1:REALA ACEとは?

世界初の「第4の感色層技術」を導入したネガフィルム「REALA ACE」がベース。目で見たままに近い忠実な色再現を目指し、さまざまなシーンにおいて使いやすくしながらも、階調にメリハリを持たせることで立体的な表現が得られます。

camera:X-H2 lens:XF35mmF1.4 R
フィルムシミュレーション:REALA ACE
「撮影中とにかく『素敵!』と感じていて、引きの写真からだんだん寄って、もっとも寄った写真がこの1枚です。REALA ACEは人物の瞳の強さを引き立たせてくれます。瞳のハイライトは高くなり、シャドウ部は引き締まり、でも全体的にはやわらかくなる。REALA ACEは曇りの日との相性が本当に素晴らしいと思います」。

2:PRO Neg. Stdとは?

プロ用ネガフィルム「PRO160NS」がベース。階調と肌色のやわらかさが特徴で、作りこまれたライティングでのポートレート撮影に適しています。また、ニュートラルな階調により、撮影後に画像加工を行う際にも最適なフィルムシミュレーションです。

camera:X-H2 lens:XF23mmF1.4 R LM WR
フィルムシミュレーション:PRO Neg. Std
「砂浜についた足跡など、どこかはかなさを感じながら撮影していました。それを表現したいと思い、虫眼鏡を使って前ボケを入れたのですが、幻想的になりすぎず、あくまで写実的な部分を残すのにPRO Neg. Stdがとても効きました。モデルが自然に動くその瞬間を撮ったので、狙っていない感じを出したいと思っていたのですが、PRO Neg. Stdによって実現できました」。

3:CLASSIC CHROMEとは?

20世紀のグラフジャーナル誌に使われた写真のような色再現を目指したフィルムシミュレーション。彩度は低め、暗部の階調は硬めに設計されており、ドキュメンタリータッチでリアリズムを求める写真を撮る際などに最適です。

camera:X-H2 lens:XF35mmF1.4 R
フィルムシミュレーション: CLASSIC CHROME
「波打ち際で撮りたいなと思って撮影した1枚。静かに寄せる波を階調豊かに写したいと思っていたのですが、CLASSIC CHROMEはそれを見事に表現してくれました。曇りの日の淡い濃淡がすごくよく出ていて、同時にほどよく締まる黒が絶妙です」。

野口花梨さんが使用したカメラ

X-H2

Xシリーズ第五世代となるX-H2は、スピードと高解像という2つの進化を遂げたXシリーズのフラッグシップモデル。新開発となる裏面照射型約4020万画素「X-Trans™ CMOS 5 HR」センサーと、高速画像処理エンジン「X-Processor 5」を搭載し、Xシリーズ史上最高画質を実現している。高画素を生かしたハイクオリティな写真のみならず、高精細な8K/30Pの映像を撮影可能。Xシリーズの静止画・動画撮影の領域をさらに拡大し、幅広いニーズに応えてくれる。高剛性ボディに5軸・最大7.0段のボディ内手ブレ補正機構も採用している。写真と映像両方で、APS-Cというフォーマットを超えた圧倒的な高画質を提供し、表現を追求するクリエーター達に新たな可能性を切り開く。

FUJIFILM WEB

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