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色に恋して。デジタル写真をフィルム風に「FUJIFILM フィルムシミュレーションの魅力」vol.19 橋本 優

デジタルカメラで撮影した写真を、フィルム写真のようなカラーに。そんな夢のような機能が、富士フイルムのデジタルカメラに搭載されています。その名も「フィルムシミュレーション」。フィルムを交換するような感覚で色再現を楽しめる機能で、その数なんと20種類。フィルム時代から90年以上にわたり、色の表現を研究してきた富士フイルムだからこそ作れる機能です。

「Xシリーズ」「GFXシリーズ」すべての機種で使用できるとあって、この機能に恋して、富士フイルムのデジタルカメラを愛用し続ける写真愛好家やフォトグラファーも多数。

そこで本連載では、「フィルムシミュレーション」の魅力をお届け。毎回1名のクリエイターがお気に入りのフィルムシミュレーションで撮影した作品とともにその魅力を語ります。第19回は、写真家の橋本 優さん。富士フイルムの「GFX100RF」で撮影した作品とともに、お気に入りのフィルムシミュレーションについて紹介します。

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目次

プロフィール

橋本優

写真家/フォトグラファー 2000年生まれ、大阪府出身。ビジュアルアーツ大阪専門学校卒業後、フリーランスとして活動を開始。アーティストやライブ、ジャケット撮影、雑誌、webメディア、ルック撮影などで経験を積み、現在はアパレルブランドとのコラボレーションやアート作品を通して被災地への定期的な募金活動を行うなど、活動は多岐にわたる。

使い込むことで、もっと好きになっていきそうな予感がする

写真とは、自分自身が映る鏡のような、記録のような——。感情や熱を持ち、常に変化する生きたガラスのようなものだと感じています。以前はコントラストが高い写真や荒々しいモノクロ写真が好きでしたが、最近は淡くぼんやりとした光のような質感の表現も好きになりました。その表現を助けてくれるひとつが、富士フイルムの「写ルンです」。写ルンですの色味が大好きです。コンパクトで軽く、手軽にラフに撮れるスペックもありがたいと感じています。

写ルンですをこよなく愛していますが、実は富士フイルムのデジタルカメラを使うのは今回が初めて。フィルムカメラライクな重厚感のあるデザインは唯一無二で、実際に手にするのを楽しみにしていました。そして今回使用したカメラが、GFX100RFです。

camera:GFX100RF
フィルムシミュレーション: PROVIA
「シャッタースピードを遅くして、カメラを横にブラして撮影。軽いカメラでないと取り回しが思い通りにならないので、GFX100RFの軽さはやはり魅力です。木の色と空の青が合わさって、写真に新しい色が出ているのがお気に入り。PROVIAの緑の発色がとても好みでした。ワンパターンでなく、光のわずかな差でここまで多様に、そして繊細に表現してくれるのは素晴らしいです」。

カメラが軽いほど自分の目で見る世界に近い写真を撮れると、常々、感じています。その点、GFX100RFの軽さは、とても好ましいと感じました。この撮影を機に父と久々に出かけたのですが、重厚感をまとったフィルムカメラのようなボディに、「可愛いカメラで、なんか懐かしいな。ええやん」という、他愛もない会話ができたことも、今回うれしかった出来事でした。

もちろん見た目だけではなく、ボタンやダイヤルが大きく、配置もしっかり計算されていると感じます。シャッターを切る際、シャッターボタンに置く人差し指の位置と、ピントを合わせるために併せて行うAEL/AFLボタンの位置のバランスがよく、操作がとてもスムーズでしっくりきました。そのおかげで、撮りたい!と思ったのとほぼ同時に、瞬間的にピントを合わせることができました。

camera:GFX100RF
フィルムシミュレーション:PROVIA
「宇宙を感じさせる水面、悠々と泳ぐ金魚、淡い光、自分の姿が映ってできた影。私の目で見ている世界が、そのまま形として現れていると強く感じた1枚です。自分の好きな色に現像するとき、まさにこの写真のような仕上がりになります。それが撮って出しの時点で既にほとんど完成されている。フィルムシミュレーションは簡単に理想とする色の写真が撮れることを改めて感じました」。

また、GFX100RFで驚いたのが圧倒的な描写力。RAWで撮影すると1枚【200MB】と表示されて、「嘘だろ?」と思いましたが、パソコンで書き出してみたところ、細部まできれいに写っていて納得です。いい意味で騙しが利かない、しっかりしたカメラであることを実感しました。今まで見えていなかった写真全体の雰囲気も、GFX100RFなら圧倒的なまでに感じることができるはず。それを体験すべく、大きく引き伸ばした印刷物を作ってみたいと強く思いました。

camera:GFX100RF
フィルムシミュレーション:ACROS+ R FILTER
「風の揺らぎを意識し、あえて前ボケにして奥の花や緑たちを際立たせました。本当は黄色の菜の花なので色鮮やかにしたいところですが、ACROS+ R FILTERで撮ってみると、目では見えていなかった花びらの輪郭が現れました。コントラストを上げてその輪郭を強調しています」。

フィルムシミュレーションを使用すると、撮影時の選択肢が増え、世界が広がる感覚を覚えます。今までは編集のことを頭の片隅で思いながら撮影していましたが、その場で色を決められるようになると、そのときの気分に合わせて色を決めたり、豊富な種類からどれにしようかと考えたり、撮影がより楽しく、飽きがこないことも実感。撮って出しの時点で、かなり理想の色味であることも大きく貢献していたと思います。

フィルムシミュレーションは、他メーカーのカメラにはない、文字通りフィルムライクな色味にできる点が魅力です。とくに影の部分の表現は素晴らしく、まさにフィルム写真だと感じる独特の色味を出してくれる。使い込むことで、もっと好きになっていきそうな予感がしています。

camera:GFX100RF
フィルムシミュレーション:MONOCHROME+ Ye FILTER
「空と木を写すシンプルな構図ですが、この木はどこまで伸びているんだろう、雲はどこまで続いているんだろう…といった想像力が働くよう意識しました。優しさも出したいと思い、コントラストはかなり下げています。シンプルでありのままに、だけど少し温かみのある写真を撮りたいと思ったら、ぜひMONOCHROME+ Ye FILTERを試してほしいです。モノクロでありながら、写真から風や季節を感じることができます」。

My favorite フィルムシミュレーション

1:PROVIA

今回使ってみて、富士フイルムと言えばこの色味、と感じたのが「PROVIA」でした。もっともノーマルに近いフィルムシミュレーションで、人や風景、光、無機物など、どんな被写体にもマルチに対応できます。それでいて、ちゃんと“富士フイルムらしさ”がある。撮って出しですでに理想に近い表現ですが、そこからどう編集してもPROVIAのよさは残っているように感じました。

camera:GFX100RF
フィルムシミュレーション:PROVIA
「椿の花を、シャッタースピードを遅くして、カメラを半回転させて撮影しています。モネの抽象的な表現が好きなので、少しイメージしてみました。いろいろな色が混ざり、どの発色も被写体本来の色に近く、とてもきれいで美しいです」。

camera:GFX100RF
フィルムシミュレーション:PROVIA
「形が面白く、これなんだろう、というワクワク感だけで撮った植物。花の白にもPROVIAの色がしっかり活きて、全体の空気感をよりフィルムらしく、同時に目新しさも感じられることに感動。新しいカメラでありながら、昔からの写真の伝統が守られている気がして、とても好きでした」。

2:ACROS+ R FILTER

次いで使用したのが「ACROS+ R FILTER」で、とくに風景や空を写してみてほしいフィルムシミュレーションだと感じました。ほんの少しだけ青が濃くなるので、肌感としては冷たく感じますが、静寂を感じられる風景でよい表現をしてくれます。同時に、緊迫感があるような動きのある写真を生み出したい場合にも、よい働きをしてくれるのではと思いました。

camera:GFX100RF
フィルムシミュレーション:ACROS+ R FILTER
「昼間、まだ蕾の桜の木々。この日は春を感じさせる暖かさでした。蕾の段階の桜の木をよく見たことがあまりなかったのですが、見るととても力強く感じました。その美しさを細部までありのままに感じてほしいと思い、あえてコントラストはさわっていません。ACROS+ R FILTERの表現がまさにぴったりで、富士フイルムのカメラだからこそ生まれた写真です」。

3:MONOCHROME+ Ye FILTER

今回、普段あまり撮らない木々や植物をあえて撮ってみたのですが、「MONOCHROME+ Ye FILTER」の表現は注目に値するものがありました。ほのかに温かみがある淡い色がとても魅力的です。人肌を撮っているような、優しい質感で植物を撮れたのは初めての体験でした。また、コントラストを少し下げて淡く表現することで、温かみのある写真になります。生活、日常、親近感といった類のものに、自然に馴染む質感が生まれると感じました。

camera:GFX100RF
フィルムシミュレーション:MONOCHROME+ Ye FILTER
「夕方になる少し前の、光が被写体に対して上から均等に当たり、なおかつ空の色にむらがない時間帯、植物を無機物として捉えることに挑戦した1枚。MONOCHROME+ Ye FILTERは被写体の形や構図が際立つフィルムシミュレーションだと思います。被写体の素の姿を、シンプルに見せてくれます」。

橋本 優さんが恋したフィルムシミュレーションの特徴

1:PROVIAとは?

プロ用のリバーサルフィルムのスタンダードタイプ「フジクローム・プロビア」がベース。多くの方が心地よく感じる色再現を追求し、風景から人物まで、あらゆる被写体に対応するオールマイティなフィルムシミュレーションです。

camera:GFX100RF
フィルムシミュレーション:PROVIA
「白い鯉の尾ビレがとてもきれいだと思い、揺らめく瞬間を押さえたいと思いました。だいたいこんなイメージを撮ろうと思ってから、気づけば30分も経っていました。PROVIAは本当に発色がきれい。水面に映る雲と鯉では白の色が違います。被ってしまうことなくしっかりとそれぞれのよさを表現しており、フィルムシミュレーションの可能性を感じました」。

2:ACROS+ R FILTERとは?

"世界最高の粒状性 " と称賛されたモノクロフィルム「ACROS」がベース。豊かなシャドウディテール、高精細なシャープネスに加え、高感度では粒状感が増し、モノクロフィルムのような質感が得られます。レッドのフィルターは、吸収する波長が最も広く、コントラスト強調の効果も抜群。とくに青空と白い雲との強コントラストにおいて、白の明るさを維持したまま空を暗く沈めていくため、順光ではほとんど黒に近いほど濃く写ります。

camera:GFX100RF
フィルムシミュレーション:ACROS+ R FILTER
「昼過ぎに撮影した、アスレチックの網の影。今回撮影した写真の中で最も陰の占める割合が多い写真なのですが、陰を余白としてきれいに落とし込むことができ、とても好きな1枚です。コントラストを上げての撮影でしたが、ACROS+ R FILTERが理想的な黒の描写をしてくれました」。

3:MONOCHROME+ Ye FILTERとは?

モノクロ写真のモードに、通常のモノクロに加えて、コントラストを高める「イエロー(Ye)フィルター」を使用したような仕上がりに。ほか、同じくコントラストを高める「レッド(R)フィルター」、緑色を明るく、赤色を濃く表現する「グリーン(G)フィルター」もあり、表現意図に合わせた画質調整が可能です。

camera:GFX100RF
フィルムシミュレーション: MONOCHROME+ Ye FILTER
「午後の淡い光に照らされている桜の木。無数に枝分かれしている姿に生命の強さを感じました。触れると消えそうな光と、開花までもう少しの桜の蕾が、自然の中でもよいコントラストを表しています。MONOCHROME+ Ye FILTERを使ったことで、写真全体に温かさが生まれたと感じます」。

橋本 優さんが使用したカメラ

GFX100RF

2025年4月に発売した、1億2百万画素高速センサー「GFX 102MP CMOS II」と最新の高速画像処理エンジン「X-Processor 5」を搭載した、GFXシリーズ初となるレンズ一体型デジタルカメラ。富士フイルムが長年提供してきた写真フィルムやアナログカメラなどに由来する9種の多彩な撮影フォーマットを、シンプルな操作で切り換えられる「アスペクト比切換ダイヤル」を初搭載。被写体や撮影意図に応じて、アスペクト比をダイヤルで切り換えて選択するというアナログな操作感が、撮影体験をより楽しくさせてくれる。また、富士フイルムのデジタルカメラ初となる、精密なアルミの削り出し加工を施したカメラ軍艦部を採用。レンズリングやダイヤル類、底面プレートなど細部のパーツにも同様に削り出し加工を施すことで、カメラを手に持ったときに感じる金属の質感とデザインの統一感が一層高まり、所有する悦びを感じられる逸品に仕上がっている。新開発の35mmF4レンズ(35mm判換算28mm相当)が生み出す汎用性の高い画角と、最新のAI技術による被写体検出AF、高速・高精度AF機能により、趣味のスナップ撮影からルポルタージュ撮影などのプロの撮影現場まで、さまざまなシーンで卓越したパフォーマンスを発揮する。

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