Yusuke
グラフィックデザイナー フォトグラファー 東京都出身。小学生の時に香港に移住し、その後「University of Technology, Sydney」でデザインを学ぶ。帰国後ランドスケープデザイン、グラフィックデザイン事務所を経て2016年に独立。企業のVI・サインデザインを主軸に、ランドスケープやインテリアなどの建築系デザインの撮影を行う。
愛用カメラ:Sony α7R Ⅱ、FUJIFILM Xpro2、RICOH GR Ⅱ
愛用レンズ:Sonnar T* FE 55mm F1.8、Vario-Tessar T* FE 16-35mm F4 ZA OSS、FUJIFILM XF35mmF2 R WR
In the frame.
フレームに収めると、日常や人生が垣間見られるような気がする
GENICの表紙となった1枚。「浅草雷門通りで撮影。この犬はコンビニの前で飼い主を待っているようでした。犬が好きで、普段からよく撮ります。面白いショットになったと思います」。
「靖国神社で撮影。神門を通じて見える満開の桜、座るご老人、奥に見える人々の雰囲気が美しく、シャッターを切りました。このショットは10~20枚ほど撮って納得できるカットをセレクトしています」。
「日常的風景を切り取るということを常に心がけていて、『In the frame』は言葉通りフレームで切り取ったシリーズです。窓、ドア、建築物のほか、独自感覚的に捉えた枠を採用することも多い。偶然通りかかった人や店をフレームの中に収めると、それが物語のシーンとなり、それぞれの人生が垣間見られるような気がします」。
グラフィックデザイナーの視点で“自分らしさ”を投影する
「御徒町辺りから秋葉原へ歩いている時に、高架下の歩道で見つけた場所です。フレーミングの中の一部に完璧なピースをセットできたようで、見つけた時は嬉しかったです」。
「銀座線の車窓は、興味深いシーンに出会うことが多いです。この1枚は、車窓を壁にかけた写真のようなイメージで撮りました」。
グラフィックデザイナーの視点で“自分らしさ”を投影する
「夜の新橋で撮影。仕事帰りのサラリーマンが考え事をしているような仕草が見えたので、瞬間的にシャッターボタンを押しました。その姿とインパクトのある暖簾からちらっと見える情景が気に入っています」。
「東京駅八重洲口周辺で撮影。タクシーから降りる男性に目がいった瞬間、八重洲地下街への入口のフレーミングが映画のワンシーンのように感じられ、瞬間的にシャッターを切りました」。
グラフィックデザイナーでもあるYusukeさんがストリートフォトを撮り始めたのは、大学の時。「街中で見つけた看板、道路標識のタイポグラフィーを撮影し、それらのイメージを使って雑誌をデザインするという課題がありました。その時にストリートフォトというものがあることを知ったんです。僕の写真には、街中で見つけた線、色、形、パターンがある写真が割と多くあるのですが、職業柄そういった要素に目がいく。グラフィックデザイナーとしての視点で撮っていることが、"自分らしさ"の投影になっています」。
その上で、大切にしているのが構図。「仕事で建築物やインテリアなどを撮影することが時々あります。構図への気遣いやデザイン的なアプローチがストリートフォトにも反映されているのかなと思います。とはいえ、狙ったイメージが、実際に現れたエネルギーみたいなものに裏切られたような写真が撮れた時、喜びを感じますね」。
GENIC vol.63 【街の被写体、それぞれの視点】
Edit:Chikako Kawamoto
GENIC vol.63
GENIC7月号のテーマは「Street Photography」。
ただの一瞬だって同じシーンはやってこない。切り取るのは瞬間の物語。人々の息吹を感じる雑踏、昨日の余韻が薫る路地、光と影が落としたアート、行き交う人が生み出すドラマ…。想像力を掻き立てるストリートフォトグラフィーと、撮り手の想いをお届けします。