奈緒/sunao
女優/写真家
1995年生まれ、福岡県出身。ドラマを中心に女優として活動中。またイラストを描いたり写真を撮ったりと、マルチな一面も備え持つ。3月に開催された「私が撮りたかった女優展Vol.3」への参加をきっかけに「sunao」名義で本格的にフォトグラファーとしてのキャリアをスタート。
愛用カメラ:Konica Hexar、OLYMPUS PEN EE-3
愛用レンズ:Konica Hexar 35mm F2.0
Sense of Distance sunao's PORTRAIT
人と過ごす中で感じる刹那を、写真は永遠に変えてくれる
東京の母であるお母さんの優しい表情。あえて、手前に貼られた手書きメニューを入れた構図で、あたたかい雰囲気を引き出すように撮りました。
電車がトンネルから抜ける寸前を狙って。何気ない日常の中で働く人たちのかっこいい瞬間。車掌さんたちの背中にわくわくしました。
被写体になるべく嘘をつかせたくない。
「“撮る・撮られる”ということは感性の共有であり、双方の軌跡にもなることです。自分の感性を目一杯使って立っている人には、心を動かされます。私自身、どちらの立場になったときでも、目一杯の感性を捧げたい。携わった写真で少しでも誰かの日常が色づいたら嬉しいですし、その日1枚でも写真を撮ったり撮られたりするきっかけになれたらと思います」。
冬という季節の空気を感じている姿に心を惹かれました。雪景色と被写体のナチュラルな美しさを表現。
舞台の稽古場にて。ふと横を見たときに、先輩たちがとてもかっこよくて。3人の自然な表情を写しました。
言葉で説明するより写真で残したいと思った瞬間を撮る
女優・写真家として、撮って撮られてを行き来する奈緒さんだからこそ、人を撮ること・撮られることの楽しさと喜びを知っている。
「撮る理由は、シンプルに人が好きだからです。人と過ごす中で感じる”刹那”を写真は永遠にしてくれるから…。言葉で説明するより、写真に残したいと思ったその瞬間を、逃さないことだけに夢中になってシャッターを切りますね。撮ることも撮られることも、どちらも楽しいですが、今は撮ることで自分の心が動いた瞬間を残せるということが、とても楽しく感じています」。
その人の生命力や生活を感じられる心の距離になったときに撮りたいと思う
ドラマの撮影現場でスタッフの働きぶりが光るカット。照明部さんの仕事があまりに美しくてシャッターを切りました。空がレフ板に反射している角度で撮影。
スイスの街中でウィンドウショッピングを楽しむ老夫婦の背中。その町に溢れる生活と愛を、モノクロで光と影を感じながら撮りました。
写真家sunaoさんが撮りたくなるのはどんな人ですか?
「生活を感じる人。生活感があるというだけではなく、その人の生命力を感じたり、生活を感じられる心の距離になったりしたときに撮りたいと思います。自分自身がときめいた瞬間に嘘をつかず、そして被写体にもなるべく嘘をつかせないように。無理して距離を縮めることなく、その人の素の一瞬を切り取る。私にはまだ技術はありませんが、それでも愚直に美しいと思った人を撮り続けたいと思っています」。
日常で不意に起こる美しい瞬間。自然に差している光がとても綺麗だったので、そのまま切り取りました。
撮ることで自分の心が動いた瞬間を残せるということがとても楽しい
ニューカレドニアの男の子たちと一緒に遊んでいるような目線で撮影。言葉は通じませんでしたが、カメラを構えて一緒に遊ぶうちに、カメラに興味をもって覗き込んでくれました。この瞬間心の距離もとても近くに感じたのを覚えています。
カメラを構えて、ちょうど男の子が構図のセンターに来る瞬間を狙って。
Information
『私が撮りたかった女優展2021』
4,290円
2021年3月に開催されたフォトグラファー5名・女優5名が参加した写真展「私が撮りたかった女優展 Vol.3」で展示された作品を中心に掲載した写真集。sunaoさんが撮る上白石萌音さんの写真も多数掲載。
GENIC VOL.59 【撮って撮られて】
GENIC VOL.59
特集は「だから、人を撮る」。
最も身近にして最も難しい、変化する被写体「人」。撮り手と被写体の化学反応が、思ってもないシーンを生み出し、二度と撮れないそのときだけの一枚になる。かけがえのない一瞬を切り取るからこそ、“人"を撮った写真には、たくさんの想いが詰まっています。泣けて、笑えて、共感できる、たくさんの物語に出会ってください。普段、人を撮らない人も必ず人を撮りたくなる、人を撮る魅力に気づく、そんな特集を32ページ増でお届けします。