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【青春の肖像:2】藍嶋しお

誰にでもある、甘酸っぱくて、愛おしい日々。眩くて、儚くて、美しい時間。そんな青春世代に近い感性を持つ若手写真家4人による、人生の中でかけがえのない瞬間を切り取った写真をご紹介。宝石のようにキラキラと輝く作品は、まるで至極の青春ダイアリーです。
2人目は、みずみずしい感性が印象的な10代フォトグラファーの藍嶋しおさんです。

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藍嶋しお

フォトグラファー 2003年生まれ、北海道出身。“何気ない日常に潜む美しさ”をテーマに、四季を感じさせるモチーフや景色を撮影。日本の伝統色や季語と写真を組み合わせた作品や記事を作成し、SNSを通して発信。
愛用カメラ:OLYMPUS PEN Lite E-PL3、Canon EOS Kiss X7
愛用レンズ:M.ZUIKO DIGITAL 45mm F1.8、 Super Takumar 55mm F1.8

ちょっとだけ特別な日

人生の「第一章」の、ちょっとだけ特別な日々のときめきを表現

「蒸し暑い2階の部屋で、親友とスイカバーを食べた日。ただただ馬鹿笑いしながら、語り合いました」。

「青春とは、人生の『第一章』のようなもの。人生の大部分を占めるわけではないし、想像を超えるような特別なことも起きない。だけど何かにつけて思い出したり、ふとした気持ちの高ぶりがあったり、その後に伏線が回収されたりする。私が切り取る青春の写真は、小説のクライマックスのような高揚感はないけれど、『第一章』を書くにはちょうど良い、ほんのちょっとだけ特別な日々のときめきが表現されています。そもそも私が写真家を目指したのは、日々の中で自分の心が揺れた瞬間をその場の空気ごと記録したい、共有したいと思ったことがきっかけ。特に今しかない若い時間には、その瞬間、その環境、その年齢の時にしか感じられないときめきがあり、それを逃さずに写真に残したいという想いがあります。そして、人が纏うあたたかい空気感が好きだから、人を撮ります」。

私たちの何でもない日々は、とんでもなく芸術的だと伝えたい

「親友が私の誕生日に、カスミソウをプレゼントしてくれました。青々としたカスミソウと、制服の紺のコントラストがこだわり」。

「人を撮る時に大切にしているのは、その人をとにかく『そのまま』撮ること。会話や触れ合いなどを通じて、写真を撮っている状況を意識させないようにします。ポーズ依頼などはせず、その人の素の仕草や表情が垣間見えた時、シャッターを切ります。人を情景の一要素として捉えることを意識しているのですが、深く人について考えない私自身の今の年齢だからこそ、それができる気がします。写真を通じて、私たちの何でもない日々は、とんでもなく芸術的だということを伝えたいです」。

「高校2年の秋、放課後の廊下で大きな窓から光が放射線状に広がって人々を包んでいる様子に圧倒されて撮影。廊下のザワザワした雰囲気、ハイライトが少し滲んでいる感じ...雑だけれど繊細で愛おしい記憶の断片のようで、気に入っています。本当にこの瞬間にしか撮れなかった一枚」。

「ぱたぱたと足音が聞こえてきそうな、友人の足元。あえてブレさせることで、躍動感をプラスしました」。

「野球の全校応援。今にも音が聞こえそうな感じがお気に入り。灼熱の太陽と同じくらい、みんなの応援の熱が感じられました」。

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GENIC vol.65 青春の肖像
Edit:Satoko Takeda

GENIC vol.65

GENIC1月号のテーマは「だから、もっと人を撮る」。
なぜ人を撮るのか?それは、人に心を動かされるから。そばにいる大切な人に、ときどき顔を合わせる馴染みの人に、離れたところに暮らす大好きな人に、出会ったばかりのはじめましての人に。感情が動くから、カメラを向け、シャッターを切る。vol.59以来のポートレート特集、最新版です。

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