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【青春の肖像:1】徐引子

誰にでもある、甘酸っぱくて、愛おしい日々。眩くて、儚くて、美しい時間。そんな青春世代に近い感性を持つ若手写真家4人による、人生の中でかけがえのない瞬間を切り取った写真をご紹介。宝石のようにキラキラと輝く作品は、まるで至極の青春ダイアリーです。
1人目は、中国・杭州を拠点に、若者の煌めく姿を撮影するフォトグラファーの徐引子さんです。

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徐引子

フォトグラファー 1995年生まれ、中国・杭州出身。アーティスト写真やCDジャケット撮影、写真レッスン講師など幅広く活動中。2021年に第4回写真出版賞にて、青山裕企賞・アート部門最優秀賞をW受賞し、日本で作品集を出版する機会を得る。
愛用カメラ:OLYMPUS μ ZOOM 140、Minolta α9

The Sparkling Youth

二度と戻ることのないあの頃の気持ちを、写真を通じてもう一度感じたい

「今回の写真は、すべて友人たちを写したもの。ほとんどの撮影では、事前に制服やシーンなどの準備をします。そこに撮影当日のひらめきがプラスされてたまたまシャッターを切って、お気に入りの一枚になることもあります。この写真は緑の風船を2つ用意して、緑の陸橋を通過している瞬間。緑に囲まれた中で2人が出会い、太陽の下で手を繋いで突進...〝ときめき〞の瞬間を写した一枚になりました」。

中国の杭州で生まれ育ち、若者のキラキラと弾けるような瞬間を切り取って発信している徐さん。
「ティーンエイジャーの写真を撮り始めたのは、5年前から。私自身の青春が少し退屈で冴えなかったからか、当時22歳の私にとっては少し前になる思春期の若者の姿が眩しく見えました。若者ならではの無邪気さやときめきなど、二度と戻ることのないあの頃の気持ちを、写真を通じてもう一度感じたいと思ったのです。写真を始めた当初は自分が何を好きか分からず、他の人と同じようにいろいろなスタイルを試しましたが、撮影経験が増えるにつれて、10代の若者の魅力に取り憑かれていきました。悲しい時、落ち込んだ時などに希望を感じてもらえる一枚になることを願いながら、若者たちを撮っています」。

「眼鏡のような地面に寝転び、まばたきみたいな動作をしながら見つめ合うイメージで撮影。全体の色合いもいい感じで、ここでシャッターを切ることが必然の、不思議で面白い瞬間」。

「彼らの魅力を引き出す私なりの秘訣は、誠実に接すること、友達として話すこと、自信を持たせること。そして、勇気を出してカメラの前で自分をさらけ出し、バカなことをためらわずにやるよう伝えます。満足いく一枚が撮れた時は、私自身が生きていることを実感し、幸せな気持ちになります」。

「笑うことが私自身とても好きなためか、若い女の子の笑顔を撮らずにはいられません。笑顔と幸せは私の人生の不変のテーマで、どんなトラブルがあっても、笑顔で元気がチャージされます。私の作品は、ハッピー、癒し、パワーを与えてくれると、よく言われます」。

「ここで紹介するのは、22歳から26歳の私が撮影した写真ですが、振り返ってみると、とても未熟な写真もあります。でも、これらの写真は私の人生の旅の証人です。シャッターを切った時の心躍る気持ちは、どの瞬間も忘れられません。私の写真は『まるで動画のようで、次の瞬間には写真の中の人が動いている』という嬉しいコメントをいただいたことがあります。眩しくて若々しいティーンエイジャーのような、いつも希望に満ちた写真を撮りたいと願っています。残業、ケンカ、別れ、退学...人生にはさまざまな悩みがあります。帰り際に携帯電話を開いた際にふと私が撮った写真を目にして、生きていてよかったと感じてもらう。私が撮りたいのは、そんな一枚です。そして今後は若者に限らず、元気な人や素敵な人、さらに年齢や肌の色、国籍が違うさまざまな人を撮りたいと思っています」。

友達とちょっと変なことをするのって、本当に楽しい

「台湾で友人と食事に行った時の一枚。私が幼い頃の祖父母の家の一角のように、生活感にあふれている点がお気に入り。料理している祖父母の横で鍋の蓋を被るいたずらをして、よく怒られました」。

「撮影時に突然雨が降ってきて、軒下で雨宿り。偶然にも後ろの歩行者が黄色い傘をさしていて、全体の色が調和しています」。

「曇り空だったけど、みんなの笑顔や若々しい表情を見ていたら、私自身も若さを謳歌している気分になって撮影。私が人を撮る理由は、相手への好奇心と、美しいものへの愛。人間の喜怒哀楽は、なんて面白いのでしょう」。

「弾ける表情、飛ぶスカート、白いシャツ、汗...活気に満ちた夏の日の記録。見る人が一陣の風と共に悩みを忘れ、10代の若者のように軽やかに宙に浮くような幸せな気分になってもらえたら、と思います」。

「雨が降ってきたので、傘に顔をギュッと押し付けて撮影。仲のいい友達とこういうちょっと変なことをするのって、本当に楽しい」。

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GENIC vol.65 青春の肖像
Edit:Satoko Takeda

GENIC vol.65

GENIC1月号のテーマは「だから、もっと人を撮る」。
なぜ人を撮るのか?それは、人に心を動かされるから。そばにいる大切な人に、ときどき顔を合わせる馴染みの人に、離れたところに暮らす大好きな人に、出会ったばかりのはじめましての人に。感情が動くから、カメラを向け、シャッターを切る。vol.59以来のポートレート特集、最新版です。

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