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なにげない街角 吉森慎之介 | 連載 Best Destination 写真家が選んだ、最高の旅先

どんな思考回路で「最高の旅先」を選ぶのか。人それぞれだからこそおもしろい。15名が選んだBest Destinationには、熱き想いとたくさんのストーリーが詰まっています。誰かの旅をなぞりながら、「いつか自分の目で」とウィッシュリストに書き加える。そんな楽しみ方をしてみてください。全15回の連載、第1回は各地の風景を訪ね、自身の心象を重ねる写真家、吉森慎之介さんが訪れた北欧です。

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目次

プロフィール

吉森慎之介

写真家 1992年生まれ。熊本県出身、東京都在住。大学卒業後、都内スタジオ勤務を経て、2018年に独立。エディトリアルや広告、WEBなどの商業写真を撮りつつ、自身の作品づくりを行なっている。Photo Exhibition ”PAPA PLANTS”(2025年)開催。
愛用カメラ:Leica M10-P、iPhone 15 Pro、PENTAX 67
愛用レンズ:Leica Summarit 50mm f1.5、Carl Zeiss PlanarT* 50mm F1.4、smc Pentax 67 105mm F2.4

なにげない街角

北欧を訪ねて

Stockholm, Sweden
「ストックホルムの旧市街Gamla stan(ガムラスタン)で信号待ちをしているとき、左手からジブリに出てきそうな爺ちゃんが自転車で爆走してくるのを視界の端で捉え、急いで連写した中での一枚。パンフォーカスで背景がボケないがゆえに、一枚の絵画のような印象になっている」。

北欧が好きな理由は、デザインが日常に息づいているところ。あと、コーヒーとパンがとてもおいしいこと

「新婚旅行でヘルシンキ、ストックホルム、コペンハーゲンの北欧3都市を訪れました。2025年5月末~6月頭にかけて2週間ほどの期間です2人とも建築や家具、インテリアが好きなので、観光地巡りよりもアンティークショップなどを回ることを目的にしていましたが、まず訪れた季節がベストでした。3時に日が昇り、23時頃まで明るい白夜のシーズン。過ごしやすい気温で、天気も良く、光も安定しているので、撮影や散歩に最も適した時期でした。人々は長い冬が明けた喜びからか、遅い時間まで外にいて思い思いの時間を過ごしていました。今回、初めての滞在でしたが、乾いた空気と美しい街並み、イメージ通りの場所で、街にも人にも食事にも色が溢れ、その色使いもさすがだなと。なにげない街角さえも美しく、トラムや石畳、趣のある建物、それを彩る街路樹と写真を撮りたくなる要素がたくさんあり、うれしい悲鳴をあげていました。いつも旅先はその土地の人々のライフスタイルに共感できるかどうかで決めていますが、北欧を訪れてみて好きだなと思ったのは、デザインが日常の中に息づいているところと、コーヒーとパンがとてもおいしいこと。そして他人の目線を気にせず、それぞれが好きなスタイルで自分の時間を過ごしているように見えたことが強く印象に残っています」。

街がとてもポジティブな空気に包まれていて、ただ歩いているだけでこちらも幸せな気持ちに

Helsinki, Finland
「ヘルシンキで一番好きな、美味しいパンとコーヒーのお店Way Bakery。店内のインテリアも飾りすぎず、確かなセンスを感じる」。

Helsinki, Finland
「ヘルシンキから高速鉄道に飛び乗り、北上する途中の車窓からの一枚。駅の名前は忘れたが、青春シチュエーションと光、そして奥のハートも。合わせ技一本」。

Helsinki, Finland
「上記と同じ高速鉄道の車内、食堂車でもらってきた熱々のホットコーヒー。北欧は色使いがチャーミングなアイテムが多い。フィンランド語がこれまたいい味を出していると思う」。

歩いた分だけ街に慣れ、 良い写真を撮れるポイントが貯まる気がする

「今回は観光スポットよりも、街で見かけた人々や街角のなにげない風景を多く撮りました。旅先でのカメラの選択肢として、iPhoneでスナップ写真を撮ることが多く、この旅は特にその傾向が強いです。一番心に焼き付いているのは、ヘルシンキ→ストックホルム間のフェリー旅で見た船室からの眺め。アーキペラゴ(群島)をゆっくりと水面を滑るように進む船。その航跡や島々に垣間見える生活の様子に夢中で(スマホの)シャッターを切りました。仕事柄、ここは撮れるなあそこも撮れるなと、景色をロケーションとして見てしまう癖がありますが、今回訪れた3か国は光も抜群に良く、撮影地としてこれ以上ない環境だと思います。道ゆく人の衣服や建物はもちろん、交通標識、工事の案内ですら、その色使いにたびたびハッとしました。通りを歩いていて、広告や看板、もちろんデジタルサイネージも、目(や耳)にうるさいものに遭遇することがまったくありません。ヘルシンキ、ストックホルム、コペンハーゲンはすべて首都でありながら、雑踏、喧騒みたいな単語とは無関係な街。今後もずっとそうあってほしいです。とにかく街を歩いて、歩いて、歩きまくるのがおすすめ。歩いた分だけ街に慣れていきますし、良い写真を撮れるポイントが貯まる気がします」。

道ゆく人の衣服や建物はもちろん、交通標識ですら、その色使いにハッとさせられる

Copenhagen, Denmark
「コペンハーゲン国立美術館(SMK)のロッカーエリアでの一枚。大きなカフェが併設されていたり、テラスでピクニックをしていたり、みんなが思い思いの時間を過ごしていた」。

Copenhagen, Denmark
「SMKからの帰り。信号待ちをしている少年の鮮やかなアウター、ダストボックス、信号機の三拍子が揃った。それにしても公共の設備もいちいち可愛いデンマーク、うらやましい」。

Copenhagen, Denmark
「今回の旅の大きな目的、コペンハーゲン郊外にあるフィン・ユール邸。デザイン界の巨匠フィン・ユールの美意識が随所に散りばめられ、マスターピースが勢揃いしている様は圧巻だった」。

Copenhagen, Denmark
「言わずと知れたデンマークのインテリアブランドHAY。コペンハーゲン市街地にあるフラッグシップストアHAY HOUSEからの一枚。街を一望できる窓の“HAY”の文字が“YAH”になっていて元気が出た」。

Copenhagen, Denmark
「オードロップゴー美術館(Ordrupgaard Museum)の中庭で遊ぶ兄妹。改めて見返すとiPhoneの機動力だからこそ撮れた瞬間がたくさんあると思った」。

北欧3都市 Impression&Recommendation

「北欧はせっかく行くのであれば、数か国セットで旅をするのがベスト。それぞれの国の空気感、人々、お店の雰囲気も異なるので、その違いを楽しめます。ヘルシンキは素朴な落ち着く街、ストックホルムはスケールが大きくおおらかな街、コペンハーゲンはすべてが洒落ている街というのが私の印象。最初にフィンランドを訪れ、物価の高さ、日本円の弱さに驚きましたが、次に滞在したスウェーデンではもっと高くて驚きました。その次に訪れたデンマークはさらにその上をいき、ヒィヒィ言いながらモーニングを食べていたことを思い出します。最後に再びヘルシンキに戻った際にはユーロがとても安く思え、得した気分でした。食べることが好きな私のおすすめ店はヘルシンキのWay Bakery、ストックホルムのSTORA Bageriet、コペンハーゲンのAuren’s Deliです」。

GENIC vol.77【Best Destination 写真家が選んだ、最高の旅先】

GENIC vol.77

2026年1月号のテーマは「写真家が選んだ、最高の旅先」

どんな旅をしたらいい?
その答えは、As you like. お好きなように、自分らしく。ルートを持たない余白たっぷりの旅でも。行先を詰め込んだ時間割びっしりな旅でも。
だって、旅は表現だから。
さて、旅人でもある写真家たちが選んだ「最高の旅先」はどこでしょうか?何かがあなたの心を撫でたなら、そこは次の目的地かもしれません。
永久保存版、GENICらしい、新しい旅のガイドブックの登場です。

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