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No Route, Just Mood 計画のないロードトリップ 黄瀬麻以

いつ頃からか車移動の旅が好きになった、というカメラマン 黄瀬麻以。安全性を確保できる最低限のところだけを事前に決めて、あとは流れに任せるそう。「予想もしない景色や人に出会える車移動の旅で、衝動的に写真を撮る。小さなハプニングが起こることもありますが、それは写真を撮る上でストーリーになります」、「旅先で、撮影しても良いか声を掛けたりジェスチャーしたりするときに生まれるコミュニケーションが喜び」と語る黄瀬麻以の“No Route, Just Mood”な旅をお楽しみください。

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目次

プロフィール

黄瀬麻以

カメラマン 1984年生まれ、京都府出身、東京都在住。日本大学芸術学部写真学科卒業。フリーランスカメラマンとして、雑誌、広告などで活動中。
愛用カメラ:Leica M10、Leica SL2、Pentax 67II

No Route, Just Mood 計画のないロードトリップ

旅先でのハプニングは写真を撮る上でストーリーになる。

アイスランド「島の東を目指していた運転中に出会った馬たち。なぜか一列に並んで動かず、強風に吹かれていた」。

「いつ頃からか明確ではないですが、車移動の旅が好きになりました。公共交通機関で行くことが難しい場所に魅力を感じたり、自然の中に行けたり、時には車中泊をすれば(おすすめはしませんが笑)宿代も浮いたり…。そもそも、あまり計画的になりすぎない旅が好きなので、安全性を確保できる最低限のところだけ事前に決めて、それ以外は行ってから決めるスタイルが気に入っています。特に車移動の旅では、予想もしない景色や人に出会えたり、自分で考えて判断するために情報がどんどん知識となって自分に蓄積されていき、経験が自信となったりすることも。また、何かしら小さなハプニングが起こることもありますが、それは写真を撮る上でストーリーになったりします」。

ジョージア「トビリシからカズベキに向かう道中のお土産屋さんで売られていた、羊の毛で作られた帽子」。

ジョージア「カズベキの山岳地帯で見かけた住居らしい建物の窓」。

自分で考えて判断する旅では、情報が知識となって蓄積されていく。

ジョージア「車内から見えるカズベキの山々。かなり運転テクニックが必要とされる山道を、チャーターしていた地元のドライバーさんは慣れたハンドルさばきで通過」。

アイスランド「スコゥガル民族博物館の中。昔の家が再現されていて、ここにいた人々の暮らしを体感できる」。

アイスランド「リサイクルショップで人形の髪をずっととかしていた、経営者のマダム。撮影を快く承諾してくれたのに、目をつむった瞬間を撮ってしまった」。

アイスランド「アイスランドの馬は、とても友好的。立ち止まってカメラを構えると、人懐こく寄ってくる」。

予想もしない景色や人に出会える車移動の旅で、衝動的に写真を撮る。

「作品を撮る時は何かを伝えるためではなく、自分の記録として撮っている部分が多くを占めています。あまり頭で考えず、“衝動的”に写真を撮ることが多いかもしれません。とはいえ、何が起こるかわからない旅先でいつでもカメラを構えているのは疲れてしまいます(旅先での健康管理は一番大切)。その日の気分に従って、カメラを持ったり持たなかったり…。その土地に暮らす人々の生活や文化にとても興味があるので、旅先ではそういった日常風景をよく撮ります。また、人を撮る時には、撮影してもいいか声を掛けるのですが(言語がわからない時はジェスチャーでも)、その時に生まれるコミュニケーションに喜びを感じます。自分のわがままな気持ちや欲でその土地の人たちの生活を邪魔するような行動を慎むことは、最低限の礼儀ですし、コミュニケーションをとることで見せてもらえる日常の風景がたまらなく楽しい。そこで学べることも多い。旅は、いつ何時も同じではないというのもまた面白いです。同じ国に何度か訪れる機会があると、より一層、その思いは強くなります。また、いつもいる自分の居場所から移動することで、日常の自分への解像度も高まります」。

いつもいる自分の居場所から移動することで、日常の自分への解像度が高まる。

ジョージア「カズベキの街。この写真を撮った後、犬に追いかけられてズボンの裾を噛まれた。少々パニックに」。

ジョージア「カズベキに向かう山道から見た風景。厳しい冬の情景と深い谷に恐怖感を抱いた」。

北海道「旭岳へ上がるロープウェイからの眺望。微かに差す夕日がとても美しく、粉雪に反射していた」。

Mai Kise's Favorite Place

ジョージア

「友人の誘いに乗って最近初めて訪れた国。祖父が第二次世界大戦の際に満州に行っていたことから、いつかロシアを横断する旅をしたいと思っていましたが、戦争の影響で難しい状況に。ジョージアはロシアに隣接していて、今回旅したカズベキはロシアにとても近いエリア。山や谷が多く厳しい寒さを目の当たりにして、祖父がいた場所とは違いますが、少し似た景色を見られたことが感慨深かったです。写真に収めたのは、日常の風景と自然の景色。街並みや自然の色味が自分にはあまり馴染みがない配色だったので、興味深く撮影しました。お気に入りの場所はカズベキの山岳地帯と、トビリシの美術館や博物館」。

アイスランド

「アイスランドに惹かれたのは、2020年に東京都現代美術館で展示されたオラファー・エリアソンのインスタレーションに出会ったことがきっかけ。再生エネルギーや気候変動に対するアプローチで構成されていて、ダイヤモンドビーチと呼ばれる場所を題材とした作品には特別な思いを馳せて興味を抱きました。2024年の夏に2週間ほどかけてキャンプをしながら一周。アイスランドはとにかく自然が圧巻で、どこに行ってもその壮大さを感じられます。見たことのない景色に興奮して、自然、そして光をたくさん撮影しました」。

北海道

「自然が豊かで、ご飯も美味しくて…季節を問わず大好きな場所。現地の友達ができ始めてからは楽しみ方がよりディープになり、旅するというよりも好きな場所に帰るというイメージでよく訪れています。特にお気に入りのスポットは、旭岳。道内一の高さを誇る山ですが、ロープウェイで山頂付近まで登れるので、気軽に街中とは違う世界へ行けます。北海道で多く撮るのは、やはり自然。季節ごとに大胆な変化を観ることができるので、いつ行っても驚きが絶えません」。

GENIC vol.77【No Route, Just Mood 計画のないロードトリップ】
Edit:Satoko Takeda

GENIC vol.77

2026年1月号のテーマは「写真家が選んだ、最高の旅先」

どんな旅をしたらいい?
その答えは、As you like. お好きなように、自分らしく。ルートを持たない余白たっぷりの旅でも。行先を詰め込んだ時間割びっしりな旅でも。
だって、旅は表現だから。
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永久保存版、GENICらしい、新しい旅のガイドブックの登場です。

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