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【表現者が人を撮る理由 #5】西山 勲

変化する被写体「人」を独自の視点と作風で表現する写真家たち。
ふとした表情、予想もつかない動き…人に魅了され、夢中でシャッターを切ってしまう表現者たちの熱量、被写体との間に生まれるケミストリーを胸いっぱいに感じてください。
#5は、世界各国を巡りながら現地のアーティストを撮影する写真家の西山 勲さんです。

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西山 勲

写真家 1977年生まれ、福岡県出身。35歳でグラフィックデザイナーから写真家に転向。約2年間、世界各地の芸術家を訪ねながら取材・撮影・編集を行い、雑誌Studio Journal Knockを発行。帰国後は関東を拠点にフォトグラファーとして活動しながら、同雑誌を手掛けている。9月、初の写真集を発売予定。9/22~10/12、BOOK AND SONSにて写真展を開催。
愛用カメラ:Hasselblad 500C/M、PENTAX 67II
愛用レンズ:Carl Zeiss Planar T* CF 80mm f/2.8、SMC PENTAX 67 90mm F2.8,、SMC TAKUMAR 105mm F2.8

世界を旅して

映画『おじいちゃん、死んじゃったって。』主演の岸井ゆきのさんをインド・バラナシで撮影したスチールオフショット。「作為的なことはせず、周囲の人たちの反応も含め、ありのままを撮りました。ガンジス川沿いを悠々と歩く岸井さんが、ただただ眩しく輝いて見えたのを覚えています」。

写真を介してパーソナルな側面に触れた時、ありがたい気持ちになる

「僕がポーランドで宿泊したアパートの管理をしていたゴシュア。立ち話でパフォーマンスアーティストとして活動していることを知り、後日撮影させてもらった1枚。大きな窓から差し込む美しい光と彼女の静かな佇まいが印象に残っています」。

見知らぬ土地に暮らす、見知らぬ人の人生模様を物語るような1枚を

旅先でその地に暮らす人物を被写体に、撮影するのが好きだという西山さん。
「その人に出会うまでの道程や偶然性、自分の感情を含む物語が写り込む気がするからです。個人的なプロジェクトとして芸術家を撮影する時はさらに、人間性や生き方、芸術を介して今という時代や社会とどのように関わっているかという側面まで、丸ごと写したいと思っています。そこに足を踏み入れた自分にしか撮れないという事実を噛みしめながら、祈るような気持ちでシャッターを切っていますね」。

その時、その場所に立って、被写体となる人物と関わりを持ち、そこで交わされた関係性の中で生まれる写真は自分にしか撮れない

身体的なパフォーマンスと並行して詩を創作するオアナ・トゥドランは、ルーマニア・ブカレストを拠点とするアーティスト。「彼女の持つ神秘的な雰囲気としなやかな動きを写真で捉えるにはどうすればよいか、悩みながら夢中でシャッターを切りました」。

ポーランドの若手画家アガタ・クスはヨーロッパで注目される実力派。
「屋根裏部屋のような場所で創作の合間に、一服する彼女の姿を別の窓から撮影。ふとした瞬間に素顔を垣間見たような一瞬でした」。

可能な限り、被写体となる人物と関わりを持った上で撮影することを心がけているそう。
「できるだけ心理的に接近して、自分という人間を理解してもらえるように、敬意を持って向き合います。写真を介して被写体のパーソナルな面に触れた時、喜びというよりも、ありがたい気持ちになりますね。その人が信じていることや大事にしている考えを打ち明けてくれているような気がします。旅したからこそ出会えた人と親密な関係を築き、その動かぬ事実として写真がある。見知らぬ土地に暮らす、見知らぬ人物の人生模様を1枚の写真が物語ってくれるとしたら…そんな思いに駆られながら撮影することも。その感覚が写真を見る人にも伝われば、うれしいですね」。

雑誌『TRANSIT』から初めて依頼を受け、ブラジル各地を巡った時、日が落ちる頃、ボア・ヴィアージェンというビーチで撮影。
「絶対に良い写真が撮れる!と衝動的に海に入り、カメラも逆さま、構図も露出も適当で、撮れていたことに驚きを感じました。いろいろ考えるより、とにかく動くことの大切さを教えてくれた1枚」。

「ベルリン空港のバス停で、一瞬の出来事を無意識のうちに撮りました。夕日がそうさせるのか、出会いと別れを伴う空港という場所がそうさせるのか、幸せで、寂しい。夕暮れ時の空港に物悲しい感情を掻き立てられます」。

西山 勲 Instagram
Studio Journal Knock Twitter

GENIC VOL.58 【表現者が人を撮る理由】
Edit: Yuka Higuchi

GENIC VOL.59

特集は「だから、人を撮る」。
最も身近にして最も難しい、変化する被写体「人」。撮り手と被写体の化学反応が、思ってもないシーンを生み出し、二度と撮れないそのときだけの一枚になる。かけがえのない一瞬を切り取るからこそ、“人"を撮った写真には、たくさんの想いが詰まっています。泣けて、笑えて、共感できる、たくさんの物語に出会ってください。普段、人を撮らない人も必ず人を撮りたくなる、人を撮る魅力に気づく、そんな特集を32ページ増でお届けします。

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