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プロフィール

ナカムラユウスケ(金曜日のミニシアター)
写真作家 香川県出身。2018年に人物撮影を開始し、参加していたフォトラボKの作品展に出展。翌年、個展「乗合馬車」を開催。2021年ドイツのコーヒーテーブルブックレーベル・Orvelioからモノクロ写真集『A love letter directed to the light』をリリース。2022年Lomography展示「手のひらサイズのポートレート」、2024年自主制作映画でのスチール撮影や制作班で参加。その他、ポートレート撮影、アートワークの提供を行っている。
愛用カメラ:Nikon F3、Sony α7R III、Hasselblad 500C/M
愛用レンズ:AI Nikkor 50mm f/1.4S
Q. ポートレートが楽しくなる3つの撮り方を教えて!
A. ①パーツで捉える、②ガラス・鏡越しに撮る、③多重露光で創る。大切なのは「ストーリー」と「感情」を残すこと
①パーツで捉える「余白と制限で想像させる」


「手や足などのパーツだけを写すことで、ストーリーや表情を想像させることができます。『制限の中に生まれる想像』は、その写真の可能性を広げてくれるものです。より、想像を膨らませてもらうために大切なのは、『余白を意識する』『背景を工夫する』こと。通常の人物撮影においても大事なことですが、より意識します。また、鏡などの小道具を組み合わせることで、より物語性が増します。とはいえ、格好良く仕上げようと意識し過ぎてしまうと、人間味が薄れてしまう可能性があるので、『今日はパーツのみの撮影もしてみよう』ぐらいの心持ちでやってみるのが、良いと思います」。
②ガラス・鏡越しに撮る「世界観を構築する」


「ガラスは街や車など撮影ポイントがたくさんあるし、時間帯や天候、光の角度など、多くの要件によって異なる表現ができるので楽しいです。また、壁にかかった鏡や手鏡なども、簡単に表現を広げてくれます。ともにその時の条件によって見えるものも効果も変わるので、とにかくレンズを覗いていろいろな角度から見てみることが大切です。何か心が動いたら撮ってみる、その繰り返しです。被写体と撮影者の間に何かを挟み隔たりを作ることで、心の距離感も離すことができれば、それを近づけたいという感情も写すことができると思っています。一枚の写真の中に時間の概念や感情の動き、哲学的な要素など、さまざまなものを込められます」。
③多重露光で創る「現実を非現実に導く」

「多重露光は現実世界を写しているのにもかかわらず、心で感じた非現実の世界を創り出したり、感情の輪郭を描くことができるのが魅力。何をどう重ねるか、撮り手の想像力の分だけ世界が拡張できます。大切なのは、出来上がりのイメージを持っておくことです。カメラは多重露光機能のあるEOS 5QDやNikon F3を愛用しています。基本的に1回目に撮った暗い部分に、2回目に撮った明るい部分が写ります。残したい部分は明るく、重ねたい部分は暗く、を基本に色々試してみると良いと思います。夜だと美しく仕上がることが多いと思うので、夜撮影から始めてみるのがおすすめ。数回の失敗で諦めず、何度も挑戦してほしいです。その過程も多重露光のロマンだと思います」。
- Model:
- ぴよくん @piyok_un
- 小夏ひな @konkawatashiwo
- おざきゆかり @she_s_zakky
- 桃子 @tanuki_udon83
GENIC vol.73【Portrait Q&A】Q. ポートレートが楽しくなる3つの撮り方を教えて!
Edit:Megumi Toyosawa
GENIC vol.73

2025年1月号の特集は「Portrait Q&A」。ポートレートの答えはここにある
人にカメラを向けるからこそ、迷いはなくしたい。自分の写真をちゃんと好きでいたい。そのためにどうするか?「答え」はここにあります。写真家や俳優、モデルなど41名が答えた、全45問のQ&A特集です。