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TO EAT〜その周りにある風景 森本菜穂子 | 連載 好きよ、ごはん

生活に欠かせない3つの要素、衣食住。そのなかでも「食べること」は、生の根源を支えながら、暮らしをより豊かにしてくれるものでもあります。食の風景にカメラを向けるフォトグラファーたちに、その理由を伺いました。
全5回の連載、第5回は写真家の森本菜穂子さんです。

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プロフィール

森本菜穂子

写真家 2008年~、若木信吾氏に師事し、2011年3月独立。食、旅、ものづくりなどの取材を中心に、雑誌や広告で活動。2015~16年には 個展『To Eat』、2018年に2人展『banryoku The worth of worthless things』、2019年に個展『Boa Memoria』を開催。2022年に共著書『発酵ある台所』(亜紀書房)を発売。趣味はポストカードをつくること。
愛用カメラ:Leica M5
愛用レンズ:Summilux 50mm

TO EAT〜その周りにある風景

どこかの国や地域の、「日常の食べる風景」を残していけたら

2017年 韓国・ソウル

2015年 アメリカ・ニューヨーク

2012年 フランス・パリ

2010年頃 千葉県

2016年 台湾・台中

2012年 長野県

モノとして残したい気持ちがあって、シャッターを切っている

「食べる風景の写真をポストカードにした『To eat』シリーズ。2015年から展示会場、ブックフェアや書店などで細々と販売しています。日々持ち歩いているカメラのフィルムを現像したときに、誰かに見てもらいたいと思える写真は食べることにまつわるものばかりで、これらをシリーズにして発表してみようと思ったのがきっかけでスタートしました。このシリーズは、日常・旅先問わず、撮った写真を見返したときにカードにしたいと思った写真が10枚集まったときにポストカードセットを作る、というペースで作っているのですが、現在は20種類で少しずつゆっくりと増えています。今のところ作品は、すべてがフィルムカメラで撮った写真なのですが、フィルムカメラで撮るときはモノとして残したい気持ちがあってシャッターを切っていることが多いです。それに、写真を撮っておけばそのときのことを忘れてしまっても思い出せるのもいいところ。写真に撮った事柄は、思い出す際に自分のなかで少し脚色される気がして面白いです。今年は『To eat』シリーズを始めて10年になりますが、最初に作ったセットの写真を見返すと、懐かしいと同時に拙い感じがして恥ずかしくもあります。これからも写真を通して、どこかの国や地域の、どこにでもありそうでここにしかない、日常の食べる風景をお届けできたらうれしいです」。

GENIC vol.74 【好きよ、ごはん】
Edit:Izumi Hashimoto

GENIC vol.74

2025年4月号の特集は「It’s my life. 暮らしの写真」。

いつもの場所の、いつもの時間の中にある幸せ。日常にこぼれる光。“好き”で整えた部屋。近くで感じる息遣い。私たちは、これが永遠じゃないと知っているから。尊い日々をブックマークするように、カメラを向けてシャッターを切る。私の暮らしを、私の場所を。愛を込めて。

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