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Duality 田中雅也

繊細なまなざしとグラフィカルな構図感覚で表現する、フォトグラファーの田中雅也。普段感じていることや考えていることなどを明確に打ち出せる場だという、自身のオリジナルプロジェクト「Duality(二元性)」について伺いました。

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目次

プロフィール

田中雅也

フォトグラファー 1989年生まれ、兵庫県出身。2014年に写真家として独立し、2018年よりTRONに所属。被写体の存在感を鮮やかに引き出す写真表現で、ポートレート、スティルライフ共に高い評価を得ている。Lula Japanをはじめ国内外のファッション誌で活躍し、数多くのカバーを手がける。その他、ブランドのビジュアルやカタログ、広告、俳優やアーティストの撮影といった幅広い分野で活動。繊細な目線と軽やかなユーモア、グラフィカルな構図から生まれるイメージを特徴とし、2025年5月、初の写真集『Lula BOOKS Duality』(Lula Japan Limited.)発売を機に、作家活動にも精力的に取り組んでいる。

Duality

自分の中にある根底的な美の感覚を言語化したもの、それが「Duality(二元性)」

「写真集の表紙にした1枚。1年ほど前、撮影中にライトの高さを調整しようと一旦置いてみたときに偶然できた形なのですが、無意識に作った光が絶妙な曲線を描いた立体物に見えて、思わずシャッターを切りました。それを後に見返しても自分にはいいと思えて、今回の軸となる作品に」。

「写真を始めて約10年という節目に際し、自分とは何かということ改めて出せればいいなと思っていました。そんな矢先、Lulaさんから写真集のお声がけをいだたき、8年くらい前から日々の現場や日課で気になった光や物体など撮り溜めていたものをプロジェクトとして進めることに。『Duality(二元性)』と名づけたのは、私が撮影で大事にしているのは、相反しているもの同士が共存する感覚だと、自分自身と向き合って気付いたからです」。

相反しているものが共存する感覚、意識と無意識が混ざったようなものの間を残したい

「被写体そのものが色をのせるキャンバスのように見えて、感覚的にその場で色を重ねました。奥で見え隠れしているモデルの目が、見えすぎないからこそ見えてくるような、強さと脱力感が同居する作品となりました」。

「この作品を撮る上で心がけたのは、作っているようで作っていない感覚や、無意識に生まれたフォルムを意識的に見せること。例えば創作物とスナップなどの狭間を大事にすることです。感覚的にも意識的にも撮りますが、飽きずに見ていられるのはその中間のような感覚があるものだと思うので、意識と無意識が混ざったものの間や共存されたものを撮れるといいなと思ってきました。白黒はっきりしすぎず、グレイッシュで、答えが複数あるようなものに対する美を見る人に感じてほしい。自分が持っている美の感覚に共感してもらえたらと思います。『Duality』自体は今後も継続していくと思いますが、今回、写真集という形で今現在の自分の感覚を残せて良かったです。このプロジェクトを行ったことで多くの方々と話す機会に恵まれ、新たな発見もありました。自分の中にはまだ、写真だからこうするといった固定観念があるように思い、もっと余白を持って物事を見られると面白いものができるのではと、更なる可能性を感じています」。

辛くても、自分を信じたり疑ったり、自問自答しながら、続けることが大事

「泡が割れる瞬間を狙おうとしていたのですが、実際に風を入れて写真を撮ってみるとコンマ何秒かで早くシャッターを切ったため、割れかけギリギリの泡と偶然、中にできた綺麗な気泡が撮れました。その二度とできないであろう外側のフォルムと、まるで守られているような気泡の形に惹かれて作品に」。

「ピンクの砂をケント紙に撒き、拾い上げて置いたときにこの形になっていました。『Duality』の表紙にした写真と同様、無意識にできた形に惹かれた1枚です」。

「オリジナルプロジェクトは普段感じていること、考えていることなどを明確に打ち出せる場です。仕事もプライベートも基本的に同じ姿勢ですが、パーソナルワークはより新しいことにチャレンジできて、より自身の成長を感じられるもの。そこでインプットできたものを仕事で試すこともできるというメリットもあります。プロジェクトを行う上で大事なのは、自分自身が“この感覚って、こういうことだったんだ”と確かめて心が動くこと。やり続けることやトライすることに意味があって、自分の中での完成形があるとは思っていません。ただ一生をかけて何かをやり続けていたいという気持ちはあり、もし撮り続けたいテーマに出会えて、一生そのワンテーマでやる気持ちが強く持てたら、それ一本でいいと思っています」。

いいなと思ってふと撮り、なぜいいと思ったかを深掘りすることで、自分らしさが生まれる

「8年ほど前に撮ったものですが、今と自分の感覚が変わらないことを象徴する、印象的な1枚です。リンクする双子の柔らかい優しさとクールな印象を同時に感じて、見ていると不思議な気持ちになる作品」。

「プロジェクトのテーマは、瞬間的に素敵だなと思った物体や風景があったとして、なぜそれが素敵に見えたのかを考えながら見つかることもありますし、惜しまず感覚的に撮ったものを批判的に見ていく中で、納得した1枚を見つけて、核となるものやタイトルを考えることもあります。日常の中でふと撮ってみること自体はいいことで、なぜそれをいいと思ったのかを突き詰めることが大切なのかなと。深掘りしていくことで自分らしさというものが生まれてくると思いますし、追求していくうちにテーマが見えて、それをベースに考えていけば、気づいたら作品になることもあるのではないでしょうか。それに気づくまでは辛い時間もあるかもしれませんが、自分を信じたり疑ったり、自問自答しながら続けることが重要。やっていくうちに楽しくなっていくものだと思います」。

Photo Book『Lula BOOKS Duality』

Amazon:田中雅也 写真集「Duality」

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