目次
プロフィール
笑子
写真家 1998年生まれ、東京都出身・在住。写真学科を卒業後、本格的に活動を開始。ファッション、ポートレート、アーティスト写真などの撮影を手がけている。主な展示に「私が撮りたかった女優展 Vol.4」(2022年)、「sumu」(2025年)などがある。写真集にフィンランドの作品集『sumu』(ギローチェ)がある。
愛用カメラ:CONTAX G2、Nikon F3
余白の旅
フィンランド── それは「静けさの中にある光」
ただときめいたモチーフや、光、色を自然に集めて撮っていた
光の移ろいや、静けさの中に感じるあたたかさに惹かれる場所
「フィンランドを初めて訪れたのは7歳のとき。家族が好きな国で、以来、年に1~2回は通うようになりました。行くたびに新しい発見があって、光の移ろいや静けさの中にあるあたたかさに惹かれています。写真を撮っていてとても楽しいですし、デザインや建築のバランス感覚から学ぶことも多いです。私にとって写真を撮ることに集中できる場所であり、心を整える場所でもあります。好きなところは、のんびりとした時間の流れ、都市と自然の距離の近さ、そして冬の厳しい寒さと夏の光を全身で楽しむ人々の対比も。特に夏は陽が出ている時間が長く、フィルムで写真を撮れる時間が長くて楽しいです。今回掲載している写真は、2025年7月に撮影したものを中心に、これまでの旅で撮ってきたものも織り交ぜています。『フィンランドといえば!』という写真ではなく、日常の中の一コマのような、静かに残る瞬間を選びました。フィンランドだからということを意識しすぎず、ただときめいたモチーフや、光、色を自然に集めて撮ったものです。おすすめのスポットは、ヘルシンキ中央図書館とエスポー近代美術館。あとはサウナに入ったりして、のんびりとした時間を楽しんでほしいです。これまでは旅としてしか訪れていないので、いつか暮らすように過ごしてみたいと思っています」。
ポートレートのように構えるのではなく、ふと目にした瞬間を切り取るような感覚
何か決まったものを撮るのではなく、空気のようなものを撮る
「私にとって旅は、新しいものに触れてわくわくしたり、気持ちを切り替えたりするために絶対に必要な時間です。外の世界を見ながら、同時に自分の内側と向き合う時間でもあります。旅のスタイルは、事前に行きたい場所を調べておいて、当日は気分や天気に合わせて自由に組み立てる『余白の旅』。撮影も何か決まったものというよりも、空気のようなものを撮ることが多いです。フィンランドでは人の写真をよく撮ります。ポートレートのように構えるのではなく、公園で絵を描いていたり、湖のそばで日向ぼっこしていたり、一人でのびのびと過ごす人の姿を、ふと目にした瞬間に切り取るような感覚。その自由さや空気感が、日本とは少し違うなと感じています。フィンランドをひとことで表すなら、『静けさの中にある光』。色や文字の情報量が圧倒的に少なく、駅や標識などもすっきりしていて、だからこそ光や空気に集中できるのかもしれません。これからも見る人の中に静かに残るような、呼吸の通る余白を持った写真を撮っていきたいです。1枚の写真から何かを伝えるというよりも、見てくれた人の記憶や感情が重なって、ひとりひとり違う景色に見えてくれたらいいなと思っています」。
GENIC vol.77【Best Destination 写真家が選んだ、最高の旅先】
Edit:Megumi Toyosawa
GENIC vol.77
2026年1月号のテーマは「写真家が選んだ、最高の旅先」
どんな旅をしたらいい?
その答えは、As you like. お好きなように、自分らしく。ルートを持たない余白たっぷりの旅でも。行先を詰め込んだ時間割びっしりな旅でも。
だって、旅は表現だから。
さて、旅人でもある写真家たちが選んだ「最高の旅先」はどこでしょうか?何かがあなたの心を撫でたなら、そこは次の目的地かもしれません。
永久保存版、GENICらしい、新しい旅のガイドブックの登場です。