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余白の旅 笑子(フィンランド)|連載「写真家が選んだ、最高の旅先」第8回

どんな思考回路で「最高の旅先」を選ぶのか。人それぞれだからこそおもしろい。15名が選んだBest Destinationには、熱き想いとたくさんのストーリーが詰まっています。誰かの旅をなぞりながら、「いつか自分の目で」とウィッシュリストに書き加える。そんな楽しみ方をしてみてください。全15回の連載、第8回はやさしい色彩と澄んだ光で世界を包む、写真家の笑子さんが訪れたフィンランドです。

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目次

プロフィール

笑子

写真家 1998年生まれ、東京都出身・在住。写真学科を卒業後、本格的に活動を開始。ファッション、ポートレート、アーティスト写真などの撮影を手がけている。主な展示に「私が撮りたかった女優展 Vol.4」(2022年)、「sumu」(2025年)などがある。写真集にフィンランドの作品集『sumu』(ギローチェ)がある。
愛用カメラ:CONTAX G2、Nikon F3

余白の旅

フィンランド── それは「静けさの中にある光」

「エスポー近代美術館の前で新聞を読んでいる人の後ろ姿。夏のフィンランドには鮮やかな服を着ている人が多いなと思いました」。

ただときめいたモチーフや、光、色を自然に集めて撮っていた

「ポスターなどが貼ってある掲示板。大聖堂がちらっと写っているのがフィンランドならでは。景色とも違う、記録に近い写真」。

「ヘルシンキから日本に向かう飛行機の中で。また来られたらいいなと思いながら、窓際の席の隙間から見えていた景色を撮りました。特別な写真ではないけれど色がとても好きで気に入ってます」。

光の移ろいや、静けさの中に感じるあたたかさに惹かれる場所

「フィンランドを初めて訪れたのは7歳のとき。家族が好きな国で、以来、年に1~2回は通うようになりました。行くたびに新しい発見があって、光の移ろいや静けさの中にあるあたたかさに惹かれています。写真を撮っていてとても楽しいですし、デザインや建築のバランス感覚から学ぶことも多いです。私にとって写真を撮ることに集中できる場所であり、心を整える場所でもあります。好きなところは、のんびりとした時間の流れ、都市と自然の距離の近さ、そして冬の厳しい寒さと夏の光を全身で楽しむ人々の対比も。特に夏は陽が出ている時間が長く、フィルムで写真を撮れる時間が長くて楽しいです。今回掲載している写真は、2025年7月に撮影したものを中心に、これまでの旅で撮ってきたものも織り交ぜています。『フィンランドといえば!』という写真ではなく、日常の中の一コマのような、静かに残る瞬間を選びました。フィンランドだからということを意識しすぎず、ただときめいたモチーフや、光、色を自然に集めて撮ったものです。おすすめのスポットは、ヘルシンキ中央図書館とエスポー近代美術館。あとはサウナに入ったりして、のんびりとした時間を楽しんでほしいです。これまでは旅としてしか訪れていないので、いつか暮らすように過ごしてみたいと思っています」。

ポートレートのように構えるのではなく、ふと目にした瞬間を切り取るような感覚

「セカンドショップで少年が自分の欲しいものを選んでいる様子」。

「フリーマーケット。ものを大切に長く使って、壊れたら修理をする、使わなくなったら人に譲るという考えが根付いていて、とても素敵だなと思います」。

「イッタラビレッジの周辺で、鮮やかな黄色い花に差し込む日差しがきれいでした。窓枠や建物の色使いや質感、また地面を這うようにして生えている植物の多さにフィンランドらしさを感じました」。

「ヘルシンキのカイヴォプイスト公園でPCを見ている人がいました。こんな時間の過ごし方もいいな、と思いシャッターを切りました。日焼けしている背中に日の強さと、フィンランドで暮らす人々の夏への想いを感じます」。

何か決まったものを撮るのではなく、空気のようなものを撮る

「私にとって旅は、新しいものに触れてわくわくしたり、気持ちを切り替えたりするために絶対に必要な時間です。外の世界を見ながら、同時に自分の内側と向き合う時間でもあります。旅のスタイルは、事前に行きたい場所を調べておいて、当日は気分や天気に合わせて自由に組み立てる『余白の旅』。撮影も何か決まったものというよりも、空気のようなものを撮ることが多いです。フィンランドでは人の写真をよく撮ります。ポートレートのように構えるのではなく、公園で絵を描いていたり、湖のそばで日向ぼっこしていたり、一人でのびのびと過ごす人の姿を、ふと目にした瞬間に切り取るような感覚。その自由さや空気感が、日本とは少し違うなと感じています。フィンランドをひとことで表すなら、『静けさの中にある光』。色や文字の情報量が圧倒的に少なく、駅や標識などもすっきりしていて、だからこそ光や空気に集中できるのかもしれません。これからも見る人の中に静かに残るような、呼吸の通る余白を持った写真を撮っていきたいです。1枚の写真から何かを伝えるというよりも、見てくれた人の記憶や感情が重なって、ひとりひとり違う景色に見えてくれたらいいなと思っています」。

GENIC vol.77【Best Destination 写真家が選んだ、最高の旅先】
Edit:Megumi Toyosawa

GENIC vol.77

2026年1月号のテーマは「写真家が選んだ、最高の旅先」

どんな旅をしたらいい?
その答えは、As you like. お好きなように、自分らしく。ルートを持たない余白たっぷりの旅でも。行先を詰め込んだ時間割びっしりな旅でも。
だって、旅は表現だから。
さて、旅人でもある写真家たちが選んだ「最高の旅先」はどこでしょうか?何かがあなたの心を撫でたなら、そこは次の目的地かもしれません。
永久保存版、GENICらしい、新しい旅のガイドブックの登場です。

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