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なんでもない特別な日
「大好きな弟に手遊びを教えている双子。三姉弟となり新生活に不安もありましたが、双子の頼もしいお姉ちゃんぷりに何度も助けられました」。
「幼稚園の年中さんに進級した双子。コロナ中ほとんど着る機会のなかった制服を着て、久しぶり登園した記念に」。
今日はちょっと上手に卵焼きが作れたとか、窓からの日差しが暖かかったとか。そんな些細な日常を書き留めた、日記帳のような写真
スナップ写真には難しいアレコレを、横に置いて見られる素直さがある
「入っちゃいけないキッチンに侵入し、怒られる5秒前の一枚。切られすぎた前髪とひっそり持ち出されたリモコン、怒られる前の微妙な表情に惹かれて」。
「初めてのおうちプールに大はしゃぎの双子と、まだちょっと水が怖い弟」。
「スナップ写真ってとても素直な写真だと思うんです。写っているものも、撮影してる時の気持ちもそう。例えば、今日はちょっと上手に卵焼きが作れたとか、窓からの日差しが暖かかったとか、旅先で早く遊び出したい子供たちに『一枚だけ!』とお願いして撮る集合写真だったり。日常の些細な片鱗、いいことも悪いことも、なんでもない日も特別な日も、つらつらと書き留めた日記帳のような写真。私は考えすぎてしまう性格なのですが、スナップ写真は難しいアレコレをちょっと横に置いて見られる。そんな素直さに魅力を感じます」。
「自分の時間を確保するためには、何事も同時が肝だ!と試行錯誤し、ようやくダブルミルクが叶った日の一枚。互いに頭を支えあって、懸命にミルクを飲む姿に感動」。
「娘のおままごと。『みんなで寝ましょうね~』とちょっと重そうな布団に悪戦苦闘」。
「カメラを始めた頃は、最初の子が双子だったこともありお揃いの服で並んだふたりの写真でデータフォルダが溢れていました。少しお姉さんになった今、お互い服の好みも変わり、横並びの写真はめっきり減りました。そういった子供達の成長を、写真を通じて記録し続けられることは価値のあることだと感じています。昔の写真をふと見返す時、学生時代に撮った友人との写真は楽しかった記憶がぶわっと溢れるんですが、子供たちの写真からは愛おしさや多幸感にプラスして、辛かった、苦しかった、憎いとすら思った……そんな負の感情さえも重なるんです。特に母としての自分に自信がない私は子供達を撮り続けることで、子供達とも、自分自身とも、少しずつ対話ができている気がします。だからこそ、これからもずっと撮り続けたいんです」。
千代美沙子 プロフィール
千代美沙子
主婦 1988年生まれ、東京都出身。双子姉妹と末っ子長男、3児の母。ミルクティーと怖い話が好きで料理は苦手。PENTAXフォトコンテスト2021 PENTAX部門グランプリ受賞。カメラ歴は約7年。
愛用カメラ:PENTAX K-1、RICOH GRⅢ、Nikon F100
愛用レンズ:HD PENTAX-FA 43mmF1.9 Limited、中一光学 SPEEDMASTER 85mm F1.2、SIGMA MACRO 50mmF2.8 EX DG
GENIC vol.69【愛しき記録と記憶。我が子を撮り続けるということ】
Edit:Megumi Toyosawa
GENIC vol.69
1月号の特集は「SNAP SNAP SNAP」。
スナップ写真の定義、それは「あるがままに」。
心が動いた瞬間を、心惹かれる人を。もっと自由に、もっと衝動的に、もっと自分らしく。あるがままに自分の感情を乗せて、自分の判断を信じてシャッターを切ろう。GENIC初の「スナップ写真特集」です。