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息子と感じた音とにおいと。 たしろゆり

構えずに、そこにある日常に焦点を当てシャッターを切ると、愛しい日々が溢れている。最も身近な存在ともいえる我が子を撮り続けることは、表現者にとってごく自然な行為なのかもしれません。撮り続けることで刻まれていく記憶と記録の断片を少しだけ見せてもらいました。
「愛しき記録と記憶。我が子を撮り続けるということ」3人目は、二児の母のたしろゆりさんです。

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目次

息子と感じた音とにおいと。

「北海道で雪遊びをする長男。躍動感が出るように水平はずらして撮影しました」。

「袖で鼻を拭く次男。泣いている顔が好きでよく撮ってしまいます。冬のにおいがしました」。

写真を撮ることは自分自身と向き合うきっかけにもなりました

日常のワンシーンが膨大なデータの中、流れてしまわないように

「かごマン長男。かごがあればとりあえず被ってしまうのが小学生」。

「どこでも寝てしまう長男。怒ったり泣いたり、笑ったり寝たり忙しない。不安定さと生活感を表現したかったので水平も日の丸構図もずらしています」。

「長男が4歳、次男が2歳の時に、子供の写真をきれいに撮りたいなと思い一眼レフを持つようになりました。撮る理由は単純で、ただただ子供が好きで、家族が私の頭の中のほとんどを占めているから。写真を撮ることで自分自身と向き合うきっかけにもなりました。スナップ写真の魅力はナチュラルなあたたかみを感じられるところだったり、予想外のシーンに出会えるところかと思います。今回は音やにおいを思い出せる写真や、息子と見た景色や触れたものをテーマにセレクトしました。こんな写真を撮りたいといった理想はないんですが、子供の成長に合わせていい距離をとったり、たまには踏み込んだりして(笑)、自分らしく撮れていればいいなと思っています。何気ない日常のワンシーンだからこそ、膨大なデータの中に流れてしまわないようにしたいです」。
作品を見る人に伝えたいことは?「表面的に見えているものだけではなく、見たことのない世界を想像し、目を背けているものに向き合うきっかけになったら嬉しいです。そして今より少しだけ優しい世界になればいいなと思います」。

「琵琶湖で水遊びをする長男の、逞しくなった背中。躍動感が出るよう水平はずらしました」。

「歩くことを拒否する次男。ただじっと立ち止まって意思表示。私も目で訴え返す」。

「カーテンを閉める祖母と次男。『長生きなんてするものじゃない』と繰り返す祖母」。

たしろゆりプロフィール

たしろゆり

二児の母 1989年生まれ、愛知県出身。カメラ歴4年。2022年初の個展「きみはいいこ」NAGOYA ON READINGを開催。2022年「僕、私が永遠に抱きしめたくなるほど大切な一枚展」おやまだ文化の森や、2023KYOTOGRPHIE 京都国際写真祭サテライトイベントKG+「JAPAN PHOTO AWARD+INTUITION2023」に参加。2024年7月に個展を開催予定。
愛用カメラ:Canon EOS 6D Mark II
愛用レンズ:SIGMA 50mm F2.8 EX DG Macro

GENIC vol.69【愛しき記録と記憶。我が子を撮り続けるということ】
Edit:Megumi Toyosawa

GENIC vol.69

1月号の特集は「SNAP SNAP SNAP」。
スナップ写真の定義、それは「あるがままに」。
心が動いた瞬間を、心惹かれる人を。もっと自由に、もっと衝動的に、もっと自分らしく。あるがままに自分の感情を乗せて、自分の判断を信じてシャッターを切ろう。GENIC初の「スナップ写真特集」です。

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