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旅先で楽しむアドリブ撮影 高橋伸哉

スナップ撮影が大好きなのに、自分の手グセのようになってしまった切り取り方に飽き飽きして、撮る手が止まってしまっている。
そんな悩みを抱えていませんか?
そこから抜け出すために、スナップが素敵なフォトグラファーたちから、新たな視点を頂戴しましょう。それぞれのスナップ写真との向き合い方から、多くのことが学べます。
写真家に聞く「スナップの腕をあげる3つの極意」 1人目は、ドラマチックに光景を描き出す写真作家、高橋伸哉さんです。

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旅先で楽しむアドリブ撮影

自分が感じた、その場所なりの“気配”を写し取ることが大切

「ロシア、サンクトペテルブルグで夜散歩していると、カッコいい犬とパーカーを羽織った人が信号待ちをしていた。その佇まいが素敵だったので撮影。雨上がりで路面が濡れており、その反射が夜のスナップらしく、色使いも雰囲気良くできている好きな1枚。自分が考えるロシアっぽい雰囲気のある写真が撮れた」。

「スナップには、良いスナップも悪いスナップも特にないと思っています。最低限のモラルを守っていれば何を撮ろうが自由であるべきだと思っているので、自分の好きな場面を自由に撮ることができるのがスナップ写真の好きなポイントです。また、感性を磨く訓練もできるし、たくさん歩くので健康に良いのもいいところ。撮りたくなるのは、人物の歩く自然な姿や人物を正面から捉えたシーン。街を主役にして、そこに人や背景が溶け込むようなシーンが好きで、夕暮れや光と影が印象的なものを狙うことが多いです。理想のシーンを撮るために待つことはあまりせず、散歩しながら、気になるものを瞬間的に撮るアドリブ撮影にこだわっています」。

【TIPS 01】カッコよく撮ろうと思わずにたくさん歩いてたくさん撮り、ゾーンに入る

「インドネシアでは有名なケチャックダンスの場面。コロナ前だったので集まる群衆の熱気が凄かった。できるだけ絞り込み、全体にピンを合わせたのがこだわり」。

「スナップを撮るのも厳しくなったこのご時世。通行人の妨げになるような撮り方には気をつけています。それを踏まえつつも、カッコよく撮ろうと思わずに撮影しながらたくさん歩くことが大切。そうするとゾーンタイムに入ってすべての光景を撮りたくなってくるはず。理想のシーンを撮るために待つことはあまりせず、知らない街を歩いているときに撮れる偶然性を大切にしています」。

【TIPS 02】その国や街が醸し出す、独特の気配を残して撮る

ポルトガル、リスボン。「バスの窓から絶妙に体を乗り出し、外を眺めている女性。絵になるシーンに瞬間的にシャッターを切った。お気に入りの写真」。

「旅先のスナップは広角で撮ることが多いです。ワイドに街の雰囲気も生かしつつ、人波があるような情景など、その街や国の雰囲気がわかるようなシーンを残すようにしています。例えばロシアは寒くて人々も少し大人しいイメージ、逆にポルトガルは陽気で太陽の国というイメージ。インドは雑多な群衆の中で活気ある写真が撮れる。そういった、国や街が醸し出す独特の気配を残して撮ることが大事なポイントですね。引きの写真で街と人を溶け込ますこともこだわりです」。

【TIPS 03】膨大なスナップから「作品」をセレクトする力を身につける

インドにて。「真ん中の青年がこちらを意識しているのに対して、両サイドのふたりは自然体。この対比とインドらしい雑多な雰囲気を瞬間的にスナップした1枚」。

「とにかくたくさん撮るので、スナップはポートレートに比べて撮る枚数が圧倒的に多くなります。その中から作品となるものを選べる、セレクト力を身につけることも大事なこと。良い写真が撮れたと思ったらその写真を頭の中にインプットしておくと、膨大な中からセレクトするときにもある程度絞りやすくなります。たくさん撮影して、たくさんセレクトして眼力を身につけましょう」。

高橋伸哉

写真作家 1972年生まれ、兵庫県出身。オンラインサロン「写真喫茶エス」主宰。写真作家としての活動のほか、ライフワークとして海外、国内を旅しながら写真を撮り歩く日々。著書に『写真からドラマを生み出すにはどう撮るのか?』(インプレス)、『情景ポートレートの撮り方』(玄光社)がある。
愛用カメラ:Leica M10-R、Leica Q2、Sony α 7R III など
愛用レンズ:Summilux-M f1.4/ 50mm ASPH.、Summilux-M f1.4/35mm ASPH. など

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GENIC vol.69【写真家に聞く「スナップの腕をあげる3つの極意」】
Edit:Izumi Hashimoto

GENIC vol.69

1月号の特集は「SNAP SNAP SNAP」。
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