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【#写真家が撮る日常:2 】東海林広太

光がきれいだから、今が楽しいから、撮る理由はいたってシンプル。なにげない日々のなかで、大切な時間や場所を記憶にとどめ、未来に残してくれる日常写真。写真家6名が捉えた日常、それぞれの切り取り方をご紹介します。
今回は、常に変化しながら、絶えず存在する曖昧な美しさを切り取る写真家 東海林広太さんです。

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東海林広太

写真家・フォトグラファー 1983年生まれ、東京都出身。アシスタントを経て、2007年にスタイリストとして独立。2014年より独学で写真を始め、写真家として活動。カメラ歴6年。現在では国内外問わずコマーシャルワークから作家活動までジャンルレスに活動中。

Everything matters

すべてのことは重要で個人的なことである

<Everything matters> というテーマで写真を撮り続けている東海林さん。
「すべてのことは重要で個人的なことである」。

写真は自身の生活の記録であり、ある意味ではセルフポートレート

花束を持ったシルエットのセルフポートレート。
「尊敬する写真家へのオマージュ。最近は意識的にセルフポートレートに取り組んでいます」。

写真を撮る行為は日常と非日常の間、あるいはどちらの側面もある

「生活はすべて日常ですね。写真を撮る行為は日常と非日常の間、あるいはどちらの側面もあるという気がしています。撮りたいと思ったときに撮れる状態にはしておきたいので手元にカメラがあることは多いですが、撮ることを目的にはしたくないのでカメラはあまり意識しないようにしています」という東海林さん。日常の中で思わずシャッターを切りたくなるのは、「何かが立ち上がってくる気配があるとき。単純に自然の美しさや光に気がついたとき」。
「自分らしい写真というのは正直よくわからないのですが、完璧なものにはあまり興味がなく、対象が何であれ、決定的な物事の前後や何でもない物事や場所などに惹かれます」。

「自宅のバルコニーにて、愛猫<光>を撮影。光に委ねて、そのまま写しました」。

僕個人に紐付いた物事から発生した物語

「身の回りで本来の役割を失ったものを自宅の室外機の上に集めて、定点観測のように定期的に写し続けています。自宅の窓はすべての窓と繋がっているという考えのもと、旅先でもそのときどきに収集したものを窓際で撮影しています」。

枯れて落ちた百合の花弁をバルコニーで撮影。

写真を撮るときに大切にしていることは、撮る対象に委ねる。対象に入れ込みすぎない

バルコニーにて、愛猫<光>と<祈>を撮影。
「猫も好きですが、動物が好きです。本能的なところと何を考えているのかよくわからないところが好きです」。

「祖父の三回忌で親族を撮影。素直にまっすぐ撮りたいと思いました」。

本当に大事なものは誰とも共有しない自分だけの写真

東海林さんが撮る対象は、「自分自身に紐付いていることはすべて」。
「日常を撮るとき、構図や視点はなるべく意識しません。撮った写真で何かを直接伝えたいということは特にないですが、何かが伝染していくように写真を見た人に伝わっていくことはあると思っています」。
日常を撮って写真に残していくことは、「自身の生活の記録であり、ある意味ではセルフポートレート。あまり見返すことはしませんが、もう会えない人に会えたり、もう存在しない場所に戻れたりするのが、写真の素晴らしさだとは思います。残ってしまう残酷さもありますが」。

友人夫婦を夕暮れに撮った1枚。
「友人を撮ることは苦手なので、後ろ姿の写真が多いです」。

自宅にて、愛猫<光>と< 祈>を撮影。

尊敬する写真家へのオマージュ。

写真とはコミュニケーションのひとつで個人的なこと

「自分の携帯電話を撮影。この時期、宇多田ヒカルばかり聴いていました。個人の所有物はその人自身より、その人を表していると思ってます」。

「自宅の寝室は好きなものと大事なものだけで埋め尽くされています」。

普段、撮っていて喜びを感じるのは写真を撮りたいと思う瞬間

自宅で撮影した愛猫<光>と< 祈>。
東海林さんがフィルムで撮る理由は、「フィジカルで(物質として)残すことに意味があると思っているから」。

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GENIC VOL.60 【写真家が撮る日常】

GENIC VOL.60

特集は「とある私の日常写真」。
当たり前のようでかけがえがなく、同じ瞬間は二度とないからこそ留めておきたい日常を、表現者たちはどう切り取るのか。フォトグラファーが、クリエイターが、私たちが、それぞれの視点で捉えた日常写真と表現、そしてその想いに迫ります。

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