小林真梨子
カメラマン 1993年生まれ、東京都出身。カメラ歴10年目。大学入学をきっかけに写真を始め、「楽しいこと」を追求しながら写真を撮っている。ポートレートを中心に、月刊誌『MLK』を制作ほか、アパレルブランドなどの撮影も行う。
2021年8月、個展「みなさん、お変わりないですか?」開催。
愛用カメラ:Nikon FM2
MY DIARY
相手の内側から出ている空気感、心から笑っている瞬間を捉えたい
夏の始まりに千葉の海で。
「友達と遊びに行ったとき、自分の個展用として、“密”をテーマに撮影しました」。
何かを伝えたいわけではなく自分の日記がわりに撮る
小林さんが日常のなかで、思わずシャッターを切りたくなるのは誰かと一緒にいるとき。
「親しい人、何人かで集まっていると撮りたくなります。何の制限もなく、いろいろ試しながら思うままに撮れるときは、撮り終えた後にこれが今、自分が撮りたかった瞬間なんだと素直に受け止められる。とはいえ仕事でもプライベートでも、被写体が自然に笑ってくれたら違いはないと思っていて、心から笑っている瞬間が撮れたときはうれしいです。誰かを撮るときは相手の内側から出ている空気感まで捉えたいと思いますし、撮影後、“楽しかった”と思えるように、ということを毎度大切にしています」。
こちらは春に千葉の海で撮った1枚。
「周りで制作をしている人が多いので、制作過程を撮らせてもらうことがあります。制作過程もその人にとって作品の一部だと思っているので、そこを残せたらと」。
春の終わりに千葉の海へ、自然に触れに行ったとき。
写真の狙いは「青い空を大きく見せること」。
自然と触れ合うことを大切にしているという小林さん。
「夏が始まる頃、山梨県にキャンプに行ったときに朝方、撮影したもの」。
そんな小林さんが考える、日常を撮る意味とは?
「写真はそのときの空気感やその日のことを、ふと思い出させてくれるもの。何かを伝えたいとかはないけれど、自分の日記がわりに撮影することが多いですね。一人でいるときにカメラロールやパソコンのフォルダ、プリントした写真を見返すと、今度はここに行きたい、こういう風に撮りたいと思いついたり、撮ったときの空気感に浸れたりするのが楽しいです」。
撮影した後、「楽しかった」と思えるかどうかを大切に
人物を撮るとき、指示出しはあまりしないけれど「相手と心が通じ合ったときに、いい写真が撮れると思うから」撮りながら相手と話す時間を大切にしているという小林さん。
こちらは、冬の終わりに撮った1枚。
「友達と遊んだとき、光がきれいだなと思って」。
フィルムで撮る理由は「単純だけれど、色合いが好きだから」
小林さんが毎日通っている渋谷で、眩しかった太陽を撮影した“渋谷の光”。
「春、友達と出かけた公園で遊んでいる瞬間を撮りました」。
「友達から誕生日プレゼントをもらったとき、友達ともらった花とともに」。
そのときの空気感やその日のことをふと思い出させてくれる写真は日記
自分らしい写真とは「その場の空気感まで伝わる写真だと思っています」と小林さん。
こちらの写真は、桜の季節に公園で、友達5人と遊んでいるときに撮ったもの。
「自分の個展用に“密”をテーマに撮影。とにかくはしゃぎました」。
「暖かくなってきた頃、お散歩中に見つけた、光」。
GENIC VOL.60 【写真家が撮る日常】
GENIC VOL.60
特集は「とある私の日常写真」。
当たり前のようでかけがえがなく、同じ瞬間は二度とないからこそ留めておきたい日常を、表現者たちはどう切り取るのか。フォトグラファーが、クリエイターが、私たちが、それぞれの視点で捉えた日常写真と表現、そしてその想いに迫ります。