とある私の日常写真
GENIC10月号の特集は「とある私の日常写真」。
当たり前のようでかけがえがなく、同じ瞬間は二度とないからこそ留めておきたい日常を、表現者たちはどう切り取るのか。フォトグラファーが、クリエイターが、私たちが、それぞれの視点で捉えた日常写真と表現、そしてその想いに迫ります。
【編集長コメント】
新しい時代がやってきた今だからこそ、「日常写真」にきちんと向き合ってみたいなと思いました。でも、いざ特集として考えていってみたら…。はて?そもそもなんのことを「日常」と言うんだろう?と。立ち止まりから始まった企画です。
人によって日常の捉え方は全然違う。家族で食卓を囲むことが日常という人もいれば、スタジオで撮影することが日常の人もいる。飼っている猫と遊ぶ瞬間も、せいいっぱい仕事している時間も、知らない街に訪れる時間も。
だから、日常写真に「サンプル」は存在しなくていいんだな、と気づきました。
みんながみんな違う日常だけれど、この特集に出演していただいた方に共通しているなと感じたこともあります。それは、大切に毎日を過ごしている、ということ。いろいろなものを丁寧に見つめながら、毎日を生きている。
そしてこの特集を通じて、日々の「記録」を写真として残すことは、未来の自分への「記憶」というプレゼントになっているんだな、ということもわかりました。
ぜひ、この特集を読み、たくさんの表現者の方々から記憶のおすそ分けをいただいてください。そして、読んでいる皆様も、どんどん写真を撮って、発表して、自分だけの日常の記憶を、誰かに共有することを楽しんでいただけたらな、と思っています。
カバーフォトの撮影は6151さん
今号のカバーフォトは、6151さんです。
【編集長コメント】
いつもどこかから私たちに届く、夕方のチャイムやメロディ、天気の注意を伝える声。「野外拡声器」は、その街に暮らす人々の日常を守り続けてくれている存在です。
フォトグラファーの6151さんがおさえた、美しいブルーの空にすくっとそびえたつその雄姿は、まさに「日常」の特集にぴったりの写真。
実際に目にしたことがある人は少ないかもしれませんが、あなたの街にもきっとある。6151さんが、日々の中で発見することの楽しさ、写真の切り取る喜びを教えてくれたような気がします。
究極にシンプルですが、その中に訴えるものがたくさん潜んでいる、力強い写真です。人はいつだって、気づこうと意識すればそこからたくさんのことを知り、考えることができる。
あなたは、この写真から何を感じますか?SNSなどで感想をお待ちしております!
【特集1】 写真家が撮る日常
光がきれいだから、今が楽しいから、撮る理由はいたってシンプル。今、ここにある日常を未来に残す。写真家6名が捉えた日々の写真を紹介します。
出演(掲載順):小林真梨子、東海林広太、大畑陽子、安藤瑠美、Nico Perez、女鹿成二
【編集長コメント】
「日常を撮った写真=特別な写真ではない」という意味で使われることもあるかもしれません。でもこの特集には、特別な写真が並んでいます。
アニバーサリーとうい意味ではなく、ひとりひとりが日常と向き合い切り取った "いつもの" 特別な写真たち。そこには、各写真家たちの日常への「想い」が宿っています。
何かを伝えるための写真ではなくても、私たちはこの写真たちから受け取れることがいっぱいある。見る側が何を感じるのか?それが日常写真の楽しみ方のひとつなのかもしれないな、と思いました。
【特集2】とある私の5ルール
毎日の生活の中で、これだけは譲れない。こだわりが強いクリエイターたちの、日々の ‶決めごと” を、彼らが切り取る写真とともにお届けします。
出演(掲載順):棚木悠太、花盛友里、市川渚、奥中尚美、ふうちゃん
【編集長コメント】
クリエイターの方とお話ししていると楽しいです。人とは違う角度で物事を見ていたり、ほんの小さなことから何かを感じ取ったり、偏愛があったり。きっと日常においても、しっかりと言語化できている何か「軸」を持っているはず、と思い、今回は生活における5つのルールを聞いてみました。大変におもしろいです。
そして、それぞれのルールを補完する、素敵な写真たちにも注目です。「写真」と「言葉」の掛け合わせが、ルールをよりいっそう際立たせる。GENICらしい特集になりました。
【特集3】スランプから抜け出す「写真の処方箋」
写真を撮っていくうちに必ずぶつかる壁、そしてハマる闇。どう壊すのか、抜け出すのか?悩めるみなさんを救うべく、3名の先生がお悩みにお答えします。
出演(掲載順):6151、高橋伸哉、酒井貴弘
【編集長コメント】
毎号、その特集に合わせた写真講座を企画しています。今回は「日常」というテーマで、いろいろなものが被写体になるので、どんな講座が合っているか?と考えた結果、お悩み相談室がいいな、と思ったんです。
写真をやっていると、楽しい反面、上達したくて日々悩みは尽きない…。そこで、頼れる先生方をお迎えし、皆様から募集した質問の中で、多かったものをまとめてお答えいただきました。
校了の作業中に、「写真講座」というタイトルよりももっと適切なものがあるのでは?と意見が出てきて、ギリギリでタイトル変更。そう、これは間違いなく処方箋です。この特効薬を飲めば、いろいろ治ります!
【特集4】ミニマルに切り取る日常
ミニマル写真を愛し、撮り続ける6名のフォトグラファーに、シンプルだからこそ重要な切り取り方、見慣れた日常の中から脱出する表現方法について伺います。
出演(掲載順):しふぉん、金本凜太朗、junko、Akine Coco、アスパラ、角田憲介
【編集長コメント】
最近特に、ミニマルな写真表現をSNSで多く目にするようになりました。そこで、特集です。
日常ってこんな風に切り取れるんだ!と感動する写真の数々。これを読んで、私もカメラを持ってミニマルを探しに出かけました。
各出演者のタイトルは、それぞれの方がミニマル写真をどう考えているのか?なぜミニマル写真を撮るのか?の回答になっています。
見ているだけで気持ちがよい写真たちをお邪魔しないように、ページのデザインも極力ミニマルに仕上げました。
【特集5】エモーショナルな日々
レンズを通して見ると、二度と戻らない日々の大切さに気が付く。泣きたくなるような、胸が苦しくなるような、そんな瞬間を写し取る4人にフォーカス。
出演(掲載順):イノウエ、宵月絃、tomosaki、相沢亮
【編集長コメント】
誰かの目の前にある日常を切り取った写真なのに、なぜだか見ているだけで心の奥がチクッとするような、そんな表現があります。自分はそこにいたわけではないのに、勝手に自分の記憶と結びつき、撮り手とリンクする感じです。
繊細で、ドラマチックで、底から静かに湧き上がるようなエネルギーを持った写真たちを見て、表現ってやっぱり素晴らしいな、と改めて思いました。
【特集6】Daily Life of Under23
多感な10代の頃から撮影依頼を受けるなど、爆発する才能がとどまることを知らない3名の写真家たち。感性豊かな、若き彼らが撮る日常写真に注目です。
出演(掲載順):吉川然、柘植美咲、室岡小百合
【編集長コメント】
「若手」という言葉では形容できない、「若き」写真家たちがいます。彼らは日常のどんなシーンを捉え、どのような想いでシャッターを切るのか。人と何か違うのか?そこに私たちが理解できない何かがあるのか?興味は尽きません。
幼きころからカメラを愛し、1st写真集で業界を揺るがせた吉川然、ポカリスエットの広告写真で鮮烈なデビューを飾った柘植美咲、写真家としてだけではなく作家活動も開始した室岡小百合。
3名の、ほとばしる感性と力強さに圧倒されてください。
【特集7】クリエイターたちの朝ごはん
きちんと作って、大切に食べる。その日を過ごす糧として朝食と向き合い、楽しむクリエイターたちに、ある日のメニューと写真を見せてもらいました。
出演(掲載順):茶々、misato、AKIPIN、吹春友介、Nao Kudo、shimizu_nobu、maru、瓶詰め / どめ、valo、のりまい、サイトウレナ、a_y___8__
【編集長コメント】
朝食の写真って、見ているだけでウキウキしませんか?トロリとした卵に、ほんのりと湯気が上がるお味噌汁、炊き立てのごはんや、焼きたてのパン。朝の光の中で撮れる朝食は、日常における最高の被写体でもあります。
クリエイターたちが考える「朝食」とは?の答えにも注目してください。朝食の大切さを再確認し、"朝の幸せ"を自分でも感じたくなる8ページです。
【Special Contents 1】石田真澄/光の気配、瞬く日々。
今最も注目されている若手写真家のひとり、石田真澄さんの視点から見る日常にフォーカス。いつもの風景に物語を生む、素晴らしい写真の数々をご覧ください。
【編集長コメント】
誰もが見たことがあるようなシーンも、石田真澄さんの手にかかると、別の世界に見えてくる。私たちが住んでいる世界は、暮らしている日々は、こんなにも美しいものだったっけ?と。
「私は自分が撮りたくて、自分が残したいと思うものだけを撮っている」という石田さん。ふとしたところに差しこむ光を、次々と捉えていきます。
石田真澄が見ている世界が見えるメガネ、が発売されたら買いたいです。
【Special Contents 2】小関裕太 <連載拡大版>/自分探しの旅「スキ」Vol.6
日常的な仕草には「感情」がつきもの、という小関裕太が、俳優・渡邊圭祐を【喜怒哀楽】にからめて切り撮る。拡大版6ページ、今回もすべて本人による構成です。
【編集長コメント】
「日常」というテーマの中、あえて連載初のスタジオ撮影。それは、「 "日常にする仕草" を "非日常" っぽく切り撮りたい」という小関裕太さん本人の想いから始まりました。
「写真に写る要素をできるだけ削ぎ落として、仕草と感情に目が行くように」照明のセッティングをしながら、丁寧に撮られた渡邊圭祐さんが、6ページに渡り次々と登場します。
9つのデザインパターンから少しずつ絞っていき、最終決定したページデザインにもご注目ください。
今回も、小関さんのクリエイテビティにノックアウトされました。
【Special Contents 3】向井康二 (Snow Man) /WORK, WALK, AND SHOOT.
向井康二 (Snow Man) /WORK, WALK, AND SHOOT.
小学生の頃にカメラを始め、現在も毎日撮影しているという向井康二。本人が写した‶日常”の写真、そしてカメラや写真に対する熱き想いを、6ページでお届けします。
【編集長コメント】
カメラがどれだけ向井さんの近くに寄り添っている存在なのか?向井さんがどれだけ写真と真剣に向き合っているのか?取材をしていて、とてもよくわかりました。カメラを愛し、写真を愛し、メンバーを愛し、家族を愛す。1つ1つの写真へのエピソードから、向井さんの愛にたくさん触れた気がします。
今回はすべて、向井さんがシャッターを切った写真での特集です。「ミラーに映った自分を撮るのも好き」という言葉どおり、セルフポートレートにも期待してください。
【別冊付録】Nikon Z シリーズが私にくれる “好き”があふれる日々
Nikonのミラーレスカメラ Z シリーズと出会い、日々写真を楽しむ12 人の女性たちが、Z シリーズのカメラで撮ったお気に入りの写真と、カメラへの想いを特集します。
出演:古性のち、ERIKO、AYUMI、AOI、伊佐知美、松波佐知子、AYANCE、SAORI、yuco、染谷ノエル、Hyun、YUUKI
連載
女優・橋本愛「日日是好日」
現実のなかに溢れる愛おしい瞬間を封じ込めた写真と、そのとき感じた想いを言葉にのせて。かけがえのない日々を写真と言葉で表現する、橋本愛の連載第7回。
KYON.Jが出会った“奇跡の一瞬”「Exploring the World」
世界を照らす美しい光を追いかけ続けるトラベルフォトグラファーKYON.Jが出会った、光溢れる大自然の姿、第9回「秋朝を呼び覚ます光」をお届けします。